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貴婦人の気品 1908年築 函館・香雪園 温室

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今週はこの函館・香雪園にて撮影した写真を中心に、
函館の文化風土について探求してみたいと思ったのですが、
つい、雑誌の方のご案内をうっかりしていたことに気付いて
そっちの方をアナウンスしておりました。
それはそれで、多くの反響をいただいていましたので、
これは、もうちょっと積極的な情報発信の必要性を痛感させられています。
ブログやFacebookでの活動をもっと強化したいと思います。
ブログについては従来と変わらず情報発信に努めますが、
Facebookの方については、従来個人アカウントのみで発信していましたが、
今後は、もうちょっと枠を広げた「Facebookページ」も同時に
活用していきたいと考えております。現在準備を進めておりますが、
公開の節はみなさん、よろしく「いいね」をお願い申し上げます(笑)。

さて本日はふたたび、この「函館・香雪園」の建築群にスポットを。
函館で江戸末期から商家を営んで成功された岩船家が
その財を投じて造営してきた庭園施設と建築群であります。
北海道全体の建築で言えば、明治初年から札幌を中心に
アメリカ東部の農業開拓文化が移植されてきて、
今に残る道庁赤煉瓦建築や時計台、北大のモデルバーンなどが
エキゾチックな文化移植として華々しく展開していた時代。
それに対して、より古くからの本州文化移植として、函館は独自に
和洋混淆の建築文化が展開されていた、その痕跡を確認できます。
先日は、和風建築の園亭の様子を取り上げましたが、
今回は、同じ庭園内の「レンガ造の温室建築」であります。
明治41年に建てられたといわれるレンガ造りの旧式温室は
現存するものとしては大変珍しく、赤と白のコントラストが美しい建築。
ヨーロッパ・フランスの様式らしく「ナポレオン様式」という説明。
用としては、13万㎡庭園造成のための植物の生産管理であることが明白。
まずは、広大なガラス面に驚かされる。
これより後の時代の札幌の建築でも窓のガラスは貴重品で
あんまり大きなガラスは使われない。細かい桟が縦横に渡され、
そのなかに小さなガラスが嵌め込まれるのが普通。
それに対して、ここでは大きな一枚ガラスがドーンと使われている。
この時代、ガラスはたぶん船で運ばれてきたと思うのですが、
これだけの大型ガラス、それも大量のものを
どうやって運んできたのか、いろいろに疑問が浮かんできておりました。
今後、このあたりをきちんと調べてみたいと思っています。
外観としては、なかなか見事なデザイン感覚であります。
赤と白のカラーリングには、驚くばかりの美しさが漂っている。
入って見ると、地面を掘り下げて建設されている。
用として、地熱を利用し、また太陽熱集熱機能も果たしていた。
壁面は煉瓦で構成され、集熱した熱をなるべく蓄熱させたに相違ない。

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端部では経年劣化の様子も見られるのですが、しかし、
いまでも現役でいろいろに利用されているようです。
ほどよい温熱・湿度感が感じられています。
また、引き戸などの動作もまったくスムーズ。
創建当時、いかにしっかりとした設計施工が施されたかが、
建物全体から伝わってきました。
ぜひ、きちんとした修復を行って欲しいと、強く思わされた次第。
老いてなお、貴婦人のような気品のある美しさを見せる建築ですね。

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