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北海道 地域独自住宅基準のゆくえ

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きのうは北海道庁・建設部建築指導課の会議に参加。
「きたすまいる」という新たな地域住宅制度についての検討です。
いうまでもなく北海道は、これまで日本の地域の中で
積雪寒冷という気候条件の厳しさから
「住宅性能」についての地域独自基準をつくり、
官民一体となって、地域住宅技術資産を育んできました。
それが「北方型住宅」という名前で、それなりに
地域の中でも、高位の性能基準として認知も進んできていた。
そして、国の「長期優良住宅」というプロジェクトでは
常に全国をリードするような地域の力として、
この「北方型住宅」基準をベースにした独自規格を提案し、
毎年度採択され続けてきた実績もある。
いま、国は各省庁を挙げて「省エネ」施策・法制定に
突き進んでいるけれど、北海道は実質的にも実体的にも、
そういった流れを常に領導するような地域でした。
そもそも北海道の次世代基準、Q値1.6というものも、
国としてはもっと低位な基準にする流れだったのを
北海道側が頑張って、より高位な基準を定めたというのが経緯。
そしてこの「推進会議」の中核メンバーである北総研副所長・鈴木氏が
そのまま、国の住宅制度設計の主要な立場にも立っている。
こういった流れで、基準としての国の制度整備が進んでいく中で
地域としての北海道は、今後どのような「住宅制度」を持つべきか、
というのが、大きなテーマとして設定されている。

検討課題はおおむね3つ。
ひとつは、総体としての地域の住宅性能を見ると戸建注文住宅では
確かに大いに進んでいるとはいえ、共同・賃貸住宅などは
高性能化は遅々として進んでいない、
こういった現状の底上げはどうすべきなのか、という点。
2つめは、せっかく馴染んできていたこれまでの「北方型住宅」
というブランドとの整合性はどう折り合わせるのかという点。
そして3つめとして、長期間、涵養されてきた地域工務店の
高断熱高気密技術資産の発展をどう担保させていくのか、
という、地域の経済面も含めた独自性に関わるような点。
こうした論点を巡って活発に論議が展開されました。
この手の会議ではけっこう、事務局原案の追認というの形が
一般的には多いだろうと思いますが、
かなりリアルな部分にも迫るような論議だったと思います。
きのうの会議はメディア関係にも情報が告知されていました。
わたし自身も参加者ではありますが、情報拡散に努めたいと思う次第。
叩き台としての原案構築にやや時間がかかり、
成案に至らせるまでの時間は日程的にタイトではありますが、
地域の大きな資産である住宅性能技術がさらに発展するように
その基盤になるような、会議成果をめざしたいと思います。

<写真は、開拓期に建てられた迎賓施設「清華亭」>

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