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マンションで漆喰塗り

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出張から帰ってきて、きのうも早朝から大忙し。
午後からの「建築家イベント」を前に
朝一番で、いまやっているマンションリフォームのメインイベント。
そうなんです、漆喰塗装仕上げをやるんです。
マンションといえば、ビニールクロスにカーペット仕上げというのが
定番だと思うのですが、
そういう既成観念を打破する工事をしたかった。
機能面で言えば、密閉性の高いコンクリート駆体のなかで
空気環境は、あまり考えられているとは言えないのがマンション。
構造は木造一戸建てとは違って、考慮のしようがないレディメード。
断熱も、外側でやりたいとなっても、
それはマンション自治会全体での取り組みにならざるを得ない。
ということで、区分所有のユーザーがマンションに手を加えるという場合は
水回り設備の更新くらいしかないと思われている。
なんとか建築的な感激をユーザーに感じてもらえる手はないか、
そんな考えで取り組んでみたひとつの答が、
この「漆喰の塗り壁」というものなのです。
まごうことなき、本物の質感を味わうことが出来る素材そのもの。
マンションという、どこか「仮設」的な生活装置に
一点だけでも、存在感のある、空気感を支配する
いわば、「沈黙を支配できる素材の世界」を演出できるとすれば、
やはり、圧倒的な量感をたたえる「本物の壁」しかないだろうと思った。
まぁ、言葉で言えばこんなことなんですが、
簡単に言って、静かにたたずんでいるときに、視線がなんとなくなごむような壁って、
結局、本物の素材しか、行き着かないんですね。
ビニールクロスの、陳腐な模様の壁だけを見つめていても
人間の心象風景に「質感を楽しむ」というこころが芽生えてこないのではないか。
どこか、そんな思いがするのですね。
きのうは、塗りむらの感じとか
オーナーさんに実体験もしてもらいたいと考えて
見ていただき、実際に塗ってもいただきました。
手応えのある漆喰自体の重量感も感じて、それが壁に仕上がっていくプロセスも
記憶の中にとどめていただくのですね。
よく塗り壁工事では、施主さんの手形があったり、こどもさんの足形があったりします。
こういう「手業」が残されている、というのも
ほかのどこでもない「特別な空間」としてのわが家、という意識を育む。
っていうことでしたが、
実はわたし自身が、いちばん、楽しい思いをしておりました(笑)。
いいんですよね、この「スイス漆喰」の壁って。
いやぁ、予想以上の「凛とした」壁、という印象を持てて、
まことに清々しい気持ちが立ち上っていました。
写真の壁面は大体、5m×3mくらいの壁なんですが、
そこに30kgくらいの漆喰が塗られるワケなんです。
よく「重量感のある壁」みたいな言い方をしますけれど、
本当に、それくらいの「重量物」が壁に加えられていくんです。
そういうことなので、下地としての壁も強度が考えられる必要がある。
前日までに、そういう下地処理も行っていただいておりました。
夕方、用事を片付けたあと、
ふたたびチェックしてきましたが、対面する2面の壁が
みごとに漆喰の穏やかな表情で出来上がっておりました。
なにかこう、グッとくだけてくるような雰囲気の空間を感じることが出来ます。
来週土曜日18日には、現場公開を考えています。
ぜひ、いい壁(笑)を感じていただければ、と思います。
北のくらしデザインセンター
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