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五十嵐淳設計住宅見学in旭川

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風邪からの体調回復最優先の日ではありましたが、
やはり住宅見学の機会があると、足が向いておりました。
北海道佐呂間在住の建築家・五十嵐淳さんの最新住宅見学会。
旭川市内での見学会と言うことで
往復でもだいたい5時間前後、夫婦で交代で運転すれば、
カラダもラクだろうと踏んで、行ってきた次第です。
見学会では、見知ったみなさんにたくさん出会いました。
風邪の末期なので、他のみなさんに移してはいけないと、
マスクを掛けていたのですが、まったく効果はないものですね。
人間、目だけでもけっこう判別されるものなのでしょうか?

いつもいろいろな建築設計手法で、ユニークな空間作りに挑戦している
五十嵐淳さんらしく、今回の住宅もごらんの通りの外観。
たくさんの積み木を市街地に広げてみました、といわんばかり。
積み木は、いろいろな大きさですが、
どうも見た感じでは、おおむね四角形のようです。
上の写真方向で一番大きな印象を与えるのは、隣居のボリューム。
住宅としてのボックスの大きさ、ボリューム感が小さくて
このような外観では、まったく「主張性」は消えていくかのようです。
敷地環境との対話という側面から見ると
下の写真方向の方が、わかりやすいかも知れません。

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当初三角屋根ブロック住宅の集住形式の街が造成された一角。
時代変化を経て、あるいは一部が建て替えられたりしている。
そういった地域の角地の敷地にこの住宅は建っている。
ただ、住宅というボリューム感はイマイチ、持ちにくい。
そういう「違和感」こそが、作り手の仕掛けなのでしょうか?
ただ、外観だけ見ていると、「これはなんだろう?」
という素朴な疑問の方が強く感じられて、
近隣のみなさんと、どのような「関係性」が築かれていくのだろうか、
その部分に興味を覚えました。
たぶん、近隣の子どもたちにとっては、まことに突っ込みどころ。
公園の遊具の感覚に近い「建築」で、
ほどよい「高さ」なので、ちょっと上ってみたくなるような
そんな「誘引力」を持っているかも知れないな。という印象を持ちます。
五十嵐さんの作品はいろいろ取材掲載もしてきているので
そういった発展形として、予定的受容の範囲ではあるのですが、
計画を作って行く「手法」的な部分に興味があって質問してみました。
そうすると、外観的意図は別に、住宅内部側からの発想としては
「動線を最重視して計画しました」という答え。

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それはわかりやすいなと思われました。
たくさんの積み木状ブロックがつながり合っているワケですが、
そのひとつひとつはシンプルな四角形ボックスであり、
それぞれに主目的が割り振られた空間になっている。
それぞれの用途に対して、空間としての機能性・光環境などは
まさに過不足なく満たし、居心地も考えられている。
とくに天井高さ・床の高低差は、メリハリが利くように各ボックスごとに
全然違う空間感覚になっている。
そのように配置された各ボックスが微妙な角度で
お互いに接続されている。
居間と想定されたボックスのとなりに、食堂ボックスがあり、
その先に寝室とおぼしきボックスがつなげられ、
食堂が「ハブ」になって、キッチン・お風呂・トイレとつながっている。
それらをつなぐための主要な決定要素として「動線」計画がある、
というのは、わかりやすい解題だと思った次第です。
家具なども含めて「配置計画」が決まったら、
その各機能の間を、居心地良く「移動していく」ためには、
おのずとこの「動線」になるだろうと計画し、そのように建築的に
「固定化」させてみた、というのが実質のようだと感じました。
見学客が多数でしたので、五十嵐さんに話を聞く、
聞き取り取材はこの程度しかできませんでした。
外観的なワケわからなさと内部計画的な簡明さ、ということで、
建築を再度見直してみるきっかけになる、面白い住宅でした。

断熱は壁で充填100〜120mm+50mm板状断熱材付加、
基礎は板状断熱材外断熱、
屋根で板状断熱材150mmとされていました。
屋根は水勾配もない、完全フラット屋根。
サッシは一部で木製、ほかは樹脂製でした。
<とくに説明はなかったので、所員の方に聞き取りした次第>

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