本文へジャンプ

東大・前真之研究室「エネマネ」を語る

1870

ことし2月に経産省の肝煎りで住宅エネルギーの極小化に挑む
「エネマネ」が東京で行われた。
世界的には「ソーラーデカスロン」という各国代表による学生たちの
住宅コンクールが行われている、その日本版というのが位置づけでした。
で、東大・慶応・早稲田・芝浦工大・千葉大の5校による
実際に建てられたモデル住宅での省エネルギー競争で
コンペティションが実施され、東大チームがダントツで優勝した。
エネルギー使用実績で他大学チームに対して
ダブルスコアでの圧倒的な勝利でした。
この大会の模様については、その当時も触れていますが、
その後の推移も含めて、旧知のPVソーラーハウス協会全国大会にて
発表があると言うことで、取材してきました。
東大チームは前真之准教授のチームが中心的に関わり、
基本的には、断熱の徹底〜Q値1.3レベルの住宅性能の実現。
日射取得の徹底的活用。
さらに、潜熱蓄熱材を利用した熱のコントロールなどの
大きく3つの要素技術に着眼して、
さらにそれの制御手法をマネジメントして成果を収めました。
要約すれば、「断熱・日射取得・蓄熱」という基本要素を
徹底的に解析して、いわば「どパッシブ」な手法で勝利したといえます。
その詳細なプロセス、検討過程からシュミレーション、
制御方法の検討、実施に至るまでの報告がされた次第です。
午前中は直接がんばっていた学生さんたちによる発表。
引き続いて午後には指導した前真之准教授の講演がありました。

こうした住宅エネルギーの制御技術については
Replan誌面で前真之准教授に、連載で書いていただいているので
その詳細についての開示が聞けて、大変有益でした。
このエネマネもきっかけとなって、
「蓄熱研究会」が定期的に東大で開催されるようになって来て
また、全国的にもさまざまな動きが始まってきています。
いずれ内容をまとめて、紙面などを通じて発表していきたいと考えています。
前先生の発表は何回も聞いていますが、
今回、とくに気になったのが現状の日本の製造業技術について
総括的に触れられた部分でした。
東大工学部というのは、日本を作るという目的意識を持っている
そういった存在なのですが、
現状の日本のものづくりのスタンスが、あまりにもガラパゴス化していて
目先の日本市場での優劣のみに明け暮れるような構造になっていて
フラットな視点を持てず、世界市場の中で大きく停滞している
というような見方を披露されていました。
端的には「ウチワの論理」が、すべての組織に蔓延していて
ちょうどローマ帝国がゲルマン人に暴力的に滅ぼされるまで
ウチワだけの目先競争に明け暮れていて滅亡してしまった故事に
きわめて近似していると語られていた。
日本の大企業、官僚組織などに深く触れる機会が多いだろう先生から
そのような警句が発せられていることは、重く感じさせていただいた次第。
やはり多くの局面で見聞きする実態からも見えますが、
今日のニッポンが抱えている大問題は、そのあたりなのでしょうね。
「8〜9割は、もうニッポンはダメになるでしょうが」
という語り口には、しかし、戦闘的なパトスも感じたところです。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.