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日射制御と通風の伝統デザイン

1803

先日取材した「蓄熱シンポジウム」での発表で特徴的だった
「断熱・日射制御・蓄熱・通風」という4要素への
住宅性能、外皮性能のまとめが気になってきています。
北海道では、住宅性能の4要素としては
「断熱・気密・暖房・換気」が挙げられるのですが、
気候風土条件を踏まえると、こういった整理整頓がスッキリしている。
写真は、軒の出が確保された日本的な住宅建築での
開口部、というよりも柱間の様子ですが、
障子という紙と、自然素材の葦簀が
「日射制御と通風」に効果的な働きをしている様子が明瞭。
で、北海道の人間の立場からすると
このような住宅建築要素でのデザインが、
「日本的」と言われる生活文化に重要な役割を果たしていたことに
大いにセンシティブにならざるを得ない。
確かにこのような空間性は、
日本各地からの移住者によって構成された北海道開拓初期に
北海道内でも散見されていたけれど、
やがて、こういう住宅デザインは夏場のほんの1〜2週間
忽然と出現する季節感に対応しているだけで、
それ以外の時期には、素寒貧住宅の象徴のようだったのです。
それでも、こういった生活文化性には抜けがたいDNA的憧憬があり、
こういった住宅装置がそれとして機能する気候風土での暮らし、
感受性に、強いコンプレックスは持たざるを得なかった。
しかし、北海道はあるときから、こうしたコンプレックス自体
放棄することにしたものかも知れない。
東北の状況は、こういう部分で、捨て切れなさを抱いている。
関東以南ですら、捨てたいと思っている人も増えているかも知れないという、
いまがあるのかも知れません。

しかし、こういった風情が、
気候風土的な室内気候快適化装置でもあると
いわば科学的に見えてくるに及んで、
もう一歩、違う次元的な認識変化が起こってくるようにも思われます。
こういったインテリア空間にさらに科学的な取り組みを加えて
「断熱・蓄熱」という要素技術を加えていく方向もあれば、
「断熱・気密」化された空間に、こういったデザインを導入する方向もある。
たぶん、列島社会の中で、北と南から、
せめぎ合っていくような住宅技術の進化が止揚されていくのかも・・・
そんな妄想が沸き起こってきている次第です。
いいですよね、こんな空間性、大好きです。

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