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朽ちてなお・・その3

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北海道十勝地方の廃屋の写真、その3です。
建物左手の平屋の和風住宅の部分。
右手の床の間・書院の様子など、かなり素晴らしいしつらい。
塗り壁の質感など、ためいきが漏れるほどの雰囲気を見せています。
書院の格子の建具も本格的で、建築年代も考え合わせると
かなりの凝った注文住宅であった可能性が高いですね。
北海道では左手のような縁的な廊下というものが
大きな引き戸の開口部が寒さの元凶になるので、ほぼ姿を消してきた。
しかし、出身地の素性をあらわすようなインテリアとして
こうした空間にあこがれを抱くひとは多い。
こんな室内の雰囲気で、しかも暖かいという住宅もこんにち、実現してきています。
日本の住居は、木と紙で造られている、と言われますが、
通気性も持った紙によるインテリア、
障子というもので空間を仕切ってきた感性は、やはりすばらしい。
土壁・欄間・木建具・障子・和紙といった素材のハーモニーで構成される
こういう和のたたずまい、なぜこうしてうち捨てたのか
理解できないほどです。
しかし、確かに北海道では寒さへの住宅性能の対応に迫られて
一時期、こういう空間性を顧みる
ゆとりが持てなかったのも事実のような気がします。
そして、ようやく住宅性能のゆとりを持って、ふたたびこういう空間性表現に
むしろ自由になって、挑戦し始めているのも事実だと感じます。
そういう意味で、やっぱ北海道の家づくりは、面白い。

朽ちてなお、・・その2

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きのう取り上げた廃屋の写真は、
けっこう勇気を持って掲載したものです。
なんか、あまりにも個人的な部分での一種の「偏り」なので
どういう反響が帰ってくるのか、こないのか
不安を持っていたんです。
ところが、yahooの方からは、多くのコメントや投稿をいただきました。
写真としては、きちんとした撮影をしたものなので
構図や光線の調整、など一般的な住宅写真撮影の基本に
乗っ取って、撮影したもの。
とはいえ、テーマがちょっと、受け入れられるのかどうか
未知数だったので、こちらもびっくりした次第です。
それで、調子に乗って、この家の内部写真を掲載します。
きょうの写真は、たぶん居間として使われていた2階建て部分の
1階で、大きな窓の方向を捉えたものです。
構造は、真壁木造ですね。当然ですね、日本の建築の常識をもった
建築のプロたちは、この地でも当然のように伝統スタイルの構造で建てた。
あ、真壁って言うのは構造の柱や梁がそのまま外部にも現れているものです。
まぁ、洋風のデザインを取り入れるなど、
表層では北海道開拓地の、牧歌的なイメージの意識は、した。
しかし、冬場は零下30度という強烈な寒波が襲うこの地では
容赦ない、自然条件からの建物劣化が急速に進むし、
それ以前に、住むことの継続性が維持しにくい。
寒くて、住んでいられない。
この無防備な大開口で、夏の生活は楽しいかも知れないが
冬の猛吹雪、大寒波に立ち向かうのは
当時の住宅性能レベル、というか伝統様式では、不可能だった。
そういうものの一切が伝わってきます。
こうした建物が、まったく通用しないのだ、というところから
北海道の、日本の現代住宅性能技術は、始まったともいえるでしょう。

朽ちてなお、の魅力

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日本中に、って、大げさか。でも北日本全域
あちこちと住宅取材にカメラマンと行っています。
新築や、リフォームして立派になった家を取材することが多い。
当然ですね。
ところが、そんなツアーの中で、ときどき道ばたの建物に
妙に惹かれることがあります。
写真は、北海道十勝地方を取材していたときに、
ふと道端に発見した廃屋。
わたしのような年代の人間は、
北海道開拓期に入植した、自分たちの直接のルーツに、
父や、おじいさんたちの世代の生き様に、興味を深く抱くようになります。
彼らの日々の暮らしよう、息づかい
苦しみ、悩み、絶望、希望、よろこび
そんな感情を伴った、生活が立ちのぼって感じられるような契機として
こんな廃屋に、強く惹かれる部分があるのです。
外観は、平屋と2階建てが組み合わさっています。
しかも右側は洋風、左手の平屋は和風と、仕分けられていて
デザインのまとまりはとてもステキ。
内部も、和風の部分に残された建具など、たいへん立派で
もったいないと思えたほどの、渋く重厚なしつらい。
生活を感じる洋風部分は、開放的な窓面積の大きさが特徴的。
そして、台所に入って、
ここでの暮らしに別れを告げた様子が手に取るように感じられました。
耐えられないほどに寒かった、のだと。
デザインもほどよく、きっと愛着もあったのだろうけれど
やむなく家をうち捨てざるを得なかったのか。 単に壊すのも面倒だったのか、
あるいは離農の結果なのか。
さまざまな想像が沸き起こってきます。
まだ、こうした、時間を追体験できるような建物が残っているうちに
先人たちのくらしように思いを巡らせるのも、
けっして、無駄ばかりではないと、思います。

地域工務店の結集体・アース21

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北海道の地域工務店には、他の地域とひと味違うところがあるなぁ
と、感じることがよくあります。
それはどんなことかなと考えて、まっさきに思い当たるのが
地域工務店同士の結びつきの堅さ、交流の深さ。
北海道は積雪寒冷という自然条件の厳しさに向かううち、
家づくりの基本技術について、オープンに情報を交流する気風が
育まれてきたのではないかと思います。
まずこの土地に暮らす多くの住宅ユーザーが
「暖かい家」を求める強い基本的な要望があり、
同じように、そこに暮らして肌身でそのことの重要性を認識している、
製造業の工務店が存在していたのですね。
それがさらに、行政組織である北海道をも強く行動させる原動力になり、
大学・研究機関の研究者、設計者たちなどをも突き動かしてきた。
こうして北海道の家づくりに携わるすべてのひとが
「暖かい家」という共通目標に向かって、情報もオープンにして
一体となって、努力を傾けてきた結果なのだと思います。
そうしたなかでも、ユニークな存在なのが、アース21という工務店グループ。
わたしも、「賛助会員」というかたちで参加しています。
北海道各地域の元気な工務店が、2ヶ月に1回のペースで
建築工法技術の研究から、経営の具体的な情報交流まで
実に忌憚なく、活発に活動しています。
写真は、ことしはじめて、例会を首都圏地域で行ったときの視察現場。
理念は、地域に根ざした工務店としてのよりよい家づくり。
製造業としての工務店、って、実はたいへん孤立した存在で、
技術を学ぶと言っても、なかなかそうした情報もないのが現実なのです。
大手建材メーカー主導のフランチャイズというのは、ありますが、
やはり立場が全然違います。
工務店は、地域の住宅ユーザーに一番近く、その立場で
建築に関わる情報を、きちんと整理して、仕分ける必要が絶対にあります。
そうでなければ、日本の現実の中では、大手メーカーの寡占が進んで
結果として、ユーザー利益には結びつかないのです。
こうした活動が知られるようになり、
東北地域などでも、この会に参加したい、あるいは
自分たちでも自主的な情報共有を進めよう、という工務店の動きが出てきています。
健全な業界発展を考えたら、きわめて自然でよいことだと考えます。
基本的にリプランも、賛同する立場で情報発信しています。

北斎の「常州牛掘」

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先日書いた「北斎展」で購入した復刻版画が届きました。
富岳三十六景から「常州牛掘」です。
これは北斎の原画から、いまの絵師さんたちが版木を起こして
復元し、一定枚数を手刷りしたものです。
その意味では、本来の北斎版画と同じ手法で再生されるもの。
写真の額は一部破損していたので、取り替えてくれました。
常州牛掘というのは、水戸街道で茨城県の水路の要衝だったところとか。
冬の朝、苫船で朝の支度で米研ぎ汁を船べりから落としたら、驚いた水鳥が飛び去って、
水辺の芦のかなたに富士がそそり立っている、
という物語性の感じられるテーマを、ダイナミックな構図で描いています。
寒さの表現で、青と白を用いていて、そういう感受性も
北国に暮らすわたしたちに共感できて、とても魅入られました。
絵を見て、感動できるのって、すごく楽しいですね。
じっとみていて、実に飽きないんですよ。いろいろな想念が起こり
浮かんでは消えながら、ファンタジーが頭のなかに広がっていく。
かれが生きていた時代の、その自然と人間の距離感、感受性のありよう、
そういうすべてが、渾然となって、感じられてきます。
お米をといだとぎ汁の流し方、お米が落ちないように
注意深く、水を落としているさま、なんて、いい画題に注目するよなぁ。
船の描写が記録的、写述的で、
この時代のなかでの役割が伝わってきます。
富岳三十六景は、この時代の旅行のススメ、旅行雑誌みたいなものだったのでしょうね。
ロマンチズムと日常性のはざまに、この時代の空気、満ちています。
楽しくわが家の壁面を飾る、お気に入りが増えました。
家にいる時間が、またすこし楽しくなってくれるものですね。
こういう居心地の良さ、家には絶対欠かせない部分だと、強く思います。
それと、家づくりに携わる人は、こういう気持ちを
共感できる、っていうのが大切な部分なんじゃないでしょうか?

電化暖房リフォーム

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工事店さんの仕事の都合がつかずに
延び延びになっていた、わが家の電化暖房リフォームが完成しました。
2〜3階のらせん階段のある吹き抜け空間で、
上部には左右4.5m、天地3mほどの大きなハイサイドライトの窓があって、
さすがに木製3重サッシでも、コールドドラフト〜冷気流の下降が避けられず、
それに対して有効な暖房計画がいままでできなかったんです。
当初の間取りが大きく計画変更を余儀なくされて、
はじめから問題を抱えていた暖房計画の不備が大きくなっていたのです。
大きな吹き抜け空間には、ごらんの6Kの大型マイコン付き蓄熱暖房器。
3階の2室にはこれまで暖房器がなかったので、
それぞれに2Kの小型タイプを設置しました。
これまでの灯油セントラル床暖房でカバーする部分と組み合わせて、
ようやく一体的な暖房計画が出来ました。
やはり暖房計画は、適切な配置計画が大切です。
アンバランスな状態というのは、エネルギーの無駄を生んでいました。
ところで、今年の冬前の電気工事店、というか
200V暖房工事が出来る会社ということですが、
チョー多忙で、夜も突貫工事が続いている状況とか。
今回も、だいぶ前、2ヶ月前くらいから声を掛けていて
ようやく工事に来てくれた次第。
灯油の大幅な値上がりで、夏ころから着工していた住宅が
オール電化にスイッチする例が増えてきて
実績のある会社に注文が殺到しているんだそうです。
デザイン性がどうかな、と心配していたのですが
わが家の照明スポットをこんなふうに当ててやると
なかなかな印象ですよね。この暖房器を取り込みながら
どういうふうにインテリアを構成しようか、
思案をはじめた段階です。 さて、と、どうしようかなぁ・・・。

東北の建築家・住宅特集もうすぐ発売!

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さてきょうは、宣伝です(笑)。いいでしょ、きちんと断ってからする。
なんでも清く正しく、公明正大でないとね。
ということで安心して、お知らせいたします。
リプランが東北でも発行を初めて約2年半。
「性能とデザイン」という住宅へのスローガンを掲げて、
多くの建築関係のみなさんからご支援をいただいています。
とくに、JIA日本建築家協会東北支部からは、
リプランの別冊のような形で、建築家カタログを出版したい
というお申し出をいただきまして
この度、ほぼ、編集制作作業も一段落いたしました。
写真のような表紙の装丁、赤い帯も締めて、
いよいよ12月10日前後に、東北各地の書店店頭に並びます。
各地方新聞にも広告を掲載いたします。
リプランは創刊以来、北海道で建築家住宅について取り上げてきました。
ごくふつうの、家の建て方のひとつの方法としてわかりやすく掲載したのです。
いま、北海道では多くの住宅専門の建築家が活躍しています。
北海道の中でも地方に属する佐呂間で設計活動をしている五十嵐惇さんのように
国際的な建築コンペで、グランプリを受賞する建築家も現れてきました。
<11月24日JIAホームページニュースより〜このニュースについては明日詳報します>
建築家と話し合いながら進めるプロセスは、注文住宅の家づくりの本質的な部分で、
多くの住宅ユーザーにとって、一番参考になるものです。
別に建築家に依頼するのではない、一般的な家づくりでも
こうした建築家とのやりとり、そのプロセスは
よりよい家づくりに、不可欠な内容を含んでいるといえるでしょう。
12月10日店頭に揃います。 税込み、980円。東北各県の有名書店でお求め下さい。
また、直接、当社HPでも、 こちら で予約販売いたします。
さっそく、弘前市の紀伊國屋書店さんからは、
「これはウチの店だけでも絶対に、50冊は出る本だ」と
力強いお墨付きもいただいています。
家づくりをお考えのみなさんに、ぜひお勧めしたい一冊です。

構造計算書偽造事件

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最近、とんでもない事件が起きていますよね。
姉歯という方の起こした事件。あんなとんでもない事件が起こると
一般の皆さんにも「もしかして」という不審や不安が広がるのは当然。
あきれて、どうしようもないという感じなのですが
当面は、事態の推移を見守るしかないでしょうね。
わたしの「NPO住宅110番」ホームページで
過去の掲載記事の検索機能を使って調べてみました。
「耐震性」というフレーズで3件、
これは全部、戸建て住宅についてのもの。
「揺れ」というフレーズでは19件ヒットするのですが、内容を調べてみると、
このうちマンションに関連するものは3件でした。
自動車が通るたびに揺れる、地盤はどうなのか
というポイントでの投稿がありました。まぁ、きわめて少数ですね。
地震との関係の中で、起こりうる非常時の事態への対処の問題なので
通常の生活感覚の中で、この問題がユーザーレベルで
認識可能ではないものと言えるでしょう。
だからこそまた、こうした点で信頼を喪失させるような
こんなとんでもない行為は、許せないといえますね。
この件では、先日、週刊ポストからも電話での取材を受けました。
掲載されるかどうかは、先方の判断ですが、
来週月曜発売の号で、この問題を取り上げるようです。まぁ当然でしょう。
一般的にいえば、建築コストダウン、ということが
デフレの進行とともに強まっていった時期と、この事件は符合していますよね。
そういうプレッシャーの中で、生み出されたことでしょう。
ただ、過度に不安をあおるような記事の方向はどうでしょうか
とは、記者さんには言っておきました。
写真はバンクーバー中心部の写真なんですが
建築基準って、国によって大きく違っているものでカナダでは、
比較的地震が少ない、ということから超高層ビルが、
このように、かなり密集して建てられていた印象を持ちました。
日本の建築基準は、こうしたなかで、世界的にかなり厳しい基準。
しかし、それも大きな地震被害の積み重ねの中から、だんだんと
作られてきたもの。タイムラグの存在というものもあります。
しかし、今回の事件は、やはり、モラルの喪失の問題。
建築基準などの法律の問題というより
それを使う、人間性の問題であるのでしょう。
この事件の展開はどうなるか、未知数ですが、
生命財産を直接、扱っているという自覚を、建築関係のひとは
深く、再認識してほしいと感じています。

夫婦の日帰り道にて

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きのうのテーマの続き。
ひさしぶりに札幌の街に出たので、ちょっとだけ散歩してみました。ふうふうと。
大通公園の「ホワイトイルミネーション」点灯していました。
よく行く仙台の定禅寺通りの電飾も鮮やかですが、
札幌は、それ以上に「寒さ」というポイントがあるので
ロマンチックということでは、いい線かも知れませんね。
あんまり知られていないですが、寒い国は照明のデザインがよくなるそうです。
北欧の照明デザインは有名で、なかには百年を超えて定番になっている
ランプシェードもあります。
寒い気候のなかでは人が寄り添うよすがとして
照明への思いが、他の土地に暮らす人よりも
高まってくるものなのかも知れませんね。
って、子育て真っ盛りでチョー忙しい夫婦には、ちょっとイメージ違う感じですけど
たまにはね、ということで。
ことしも11月は、仕事が山のように押し寄せてくる感じで
毎年なんですが、わが社ではきのうは
勤労に感謝して、働く日
に、なっております。ちょうど年末進行で作業時間がとれなくなって
あとで振り替えることにして、休日勤務にしているわけ。
でも、ちょうどスタッフの家族などにも
おなかに来る風邪が広がってきています。小さい子は入院したりする風邪で
けっこうおっかないみたいですよ。
これから、年末いっぱい、ピークが続くので、くれぐれも健康管理
注意していきたいですよね。みなさんも、お大事に。

いい夫婦の日ディナーショー

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というのがありまして、行って参りました。
メインは、劇団四季で活躍されていた荒川久美江さんのソプラノを聴く会。
いい夫婦の日(11.22)にちなんだ曲目を、たっぷりの声楽で楽しみました。
「平凡に流れる夫婦の日常は、あまり歌のテーマにならなくて・・・」
と語られるように、曲目は別れの歌とか、三角、それ以上の複雑関係の歌とか
あんまりテーマとは??? ではありましたが、
そういうのも、円熟してくる夫婦関係をよくあらわしてもいて、
会場からは、(わたしのごくまわりを中心に)爆笑の渦が興っていました。
とってもステキなソプラノ、たっぷり堪能できました、荒川さん、ありがとう!
で、わたしたち子育て真っ盛りの夫婦は、
ふだんとても目に出来ない、素晴らしい料理の数々に
オーバー満腹しておりました。
料理は北海道を代表するイタリア料理シェフの堀川秀樹さんが腕を振るったもの。
北海道の秋の食材を表現豊かに調理しています。
メニューは
大間産マグロのタリアータ・日高産チーズと洋梨のゼリー生ハム巻き・中標津産豚肉とホロホロ鶏のテリーヌ・中標津産ミルキーポークのトンナータ・函館産イカのリゾットネロ・道産ジャガイモのニョッキ・平取和牛のタリアータ・根室産えぞ鹿肉と千歳産インゲン豆の赤ワイン煮などなど、
どれもこれも目を奪われ、舌がうなるおいしさ!
とてもおいしさは言葉では表現できません。
一応、いろいろな料理を小さな写真で集合させてみましたので
味の競演の様子を、写真を見て感じてください、って、ちょっと完全に意地悪かなぁ。
そのうえ、ワインはフルーティなイタリアの新酒ワイン「ビーノ・ノヴェツロ」
ホント心ゆくまで、いい夫婦の日、って、食べ過ぎて
帰り道、「ふうふう」言ったおりました。という顛末。 ではでは。