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【「寒都」旭川 住宅熱源選択2事例】


さてきのうご案内した旭川でのアース21の例会、現場見学です。
旭川は夏の最高気温が30度を超え、一転して
冬場の最低気温もマイナス30度近い寒さを記録する。
夏の暑さは一瞬だけれど、盆地特有の温度上昇もあるし、
また放射冷却も盆地特有という厳しい気候風土。
そういうなか断熱仕様は壁200mmが標準的で先進的事例では300mmを越す。
一番上の写真の住宅は300mmなので、窓の彫りの深さは、
それだけでも十分な「デザイン性」も持っているように思えます。
目鼻立ちが日本住宅らしいのっぺりとした顔立ちではなく、
むしろ陰影の深い欧米系の顔立ちのように印象されてくる。

そういった外観の特徴とともに、設備関係、とくに暖房給湯について
日本一、要求レベルの高さを保っている地域でしょう。
寒冷気候が厳しく、さらにコスト面についてのユーザー選別も厳しい。
そんななかで見学先の2事例。
「太陽熱給湯」利用と、床下暖房としてのファンヒーター利用。
この2つはコスト的には対比的。
太陽熱給湯の方は、まぁマニアックな選択で一般的な設備に比較して
年間で2万円ほどランニングが安くなるけれど、
償却するには40年かかる、というもの。
断熱レベルを上げて設備については可能な限りエコを追究したいという
そういった理念型の建て主さんの選択と言うことでした。
一方のファンヒーターの床下設置というのも実験的挑戦。
床下エアコンが一般的に使われているのなら、
エコジョーズ熱源利用でよりローコストな設備として
同じように温風吹き出しタイプのこちらを選択したもの。
こちらの住宅の場合には、建て主さんが大の薪ストーブファンで、
主暖房が薪ストーブ。建築側としてはやはりベースになる暖房をと考えて
こういった提案に至ったのだそうです。
北海道は電化が一時期暖房給湯その他で市場を席巻していましたが、
3.11以降の社会的変化のなかでまだまだ設備選択は決定打がない。
そんななかでどういう方向性があるのか、
エアコンという選択も大きな方向性にはなっていくでしょうが、
そのほかのチャレンジもまた、このように進んでいくものと思われます。

【北国にも春近し? クンシラン開花】

きのうは旭川で北海道の工務店グループ・アース21の例会出席。
2日間の日程ですが、本日札幌にて所用があり宿泊できず、
この時期なので、列車で移動しておりました。
って、この時期は北海道でも毎年、冬が最後の猛威をふるうので、
危険回避のために、列車移動を選択したものです。
乗ってみたら、これがまた快適そのもの。
1時間20分ほどの行程ですが、
クルマ移動では2時間半かかってしかも疲れはハンパない。
加齢と共に、こういったチェンジは大いに考えていきたい。
あえて日帰りでも参加したかったのは、旭川地区での住宅視察目的。
やはり北海道でも旭川地区は最寒冷地域なので、
住宅の建築条件がもっとも厳しく、そのなかで、
どのようなスタイルが根付き、そして変化していっているか、
定点的に年に1度はその状況を確認したかったのであります。
なんですが、まだ写真整理などできておりませんので、
その様子は明日以降にお伝えいたします。

で、移動に覚悟の必要な時期ではありますが、
ここのところ、札幌地方では降雪もさらっとした程度で推移していて
最高気温もプラスになってきております。
本州以南地区では梅の開花の話題が伝わってきている中、
まったく様相は違うのですが、
それなりに春の進行は徐々に進んできている。
事務所においてあるクンシラン、ふた冬目を過ごしているヤツですが、
気付かないうちにごらんのような開花ぶり。
室内観葉植物なので、外気とは無関係のようですが、
でもまぁ、それにしても多少は気候の暖かさは感じているのかも。
白い世界に慣れきっていて、色のよろこびをもたらしてくれました。
ここ数日には、身の回りにも大きな変化が起こってきます。
北国の春、ゆっくりとではありますが、
確実に季節は移ろっていく。喜ばしい限りですね。

【知の人類史視点潮流〜「サピエンス全史」】

秋田でバスを待つ間、時間が少しあったので、
久しぶりに本の状況を見てみたいと、駅前の宮脇書店さんに立ち寄り。
やっぱり、一覧表示の書店店頭というのは情報力がある。
さまざまな出版情報と、ひとびとのそれへの反応がうかがえる。
仔細に目をこらしていれば、情報が転がっていますね。
いつもパソコンに向かって「探求する」「作る」ばかりに向かうけれど、
このように「感受する」情報世界もバランス上、欠かせないもの。

で、やはりまっすぐに目に飛び込んできたのがこの本でした。
「サピエンス全史」というベストセラー本であります。
昨年に上梓された本で、著者はイスラエルで歴史研究している方。
まだ購入してから3日で、出張から帰って業務が山積しているので
上巻の1/4くらいしか読了していません。
しかし、わたしのこのブログで触れていた「人類史のなかの定住革命」の
読書体験が伏線にあって、感応するところがきわめて大きい。
わたしがなぜ「人類史のなかの定住革命」に大きく惹かれたか、
ということと、このいまの「サピエンス全史」のベストセラー化は、
現代という時代の知の潮流として、深く同意できるものがある。
現代はやはり、相当に大きな転換点であって、
その転換の規模を推量するには、人類史的観点が不可欠になって来た、
そういった状況を表しているのだと思うのです。
人類史的見方、把握がどのような領域においても必要になってきた。
それは大きくはインターネットによって、知の巨大な流動が起こり、
枝葉末節の「知識」偏重型の「知」は、どんどん衰退してきている。
いわんや、暗記偏重のような「歴史」は
インターネットによって超克されてきている現実を表しているのではないか。
歴史は、各時代ごとに「専門領域」として分かれているのだそうですが、
そういう「答え」の明確な「事実の積層」自体に本質はなく、
もっと根源的な、なぜ言葉が生まれたのかとか、
現生人類だけが持った根源的なバーチャルである、
国家や宗教とかはなぜ生起してきたのかとか、
人類史スパンでなければ解明できない「未知」が見えてきた。
そんな歴史学では見通せないようなスパンでの「転換期」には、
巨視的でシンプルなものの見方が必要なのでしょう。

住宅や断熱のことを考えるのがわたしの仕事領域だけれど、
そこでも、そもそも人間はいつころから自分の体温と
外界気温との調整をはじめたのか、
「衣類」はいつから始まったのか、と考える方向性がむしろ自然でしょう。
そしてさらに定住という言葉通り、住宅の起源もハッキリ見えてくる。
現代の住宅と先行きを考えるなら自ずとそういった起点認識になる。
そんなことを思いながらも、仕事に追われて読書は進みません(泣)。

【電子マンガ「熱き女子建築士」販売開始!】

かねてから準備中だった「高断熱高気密住宅のオススメ」のマンガ電子化、
各種作業が完了し、本日からダウンロード販売を開始しました。
このマンガは、高断熱高気密住宅について、
そのメリットをわかりやすく伝えたいという住まいの作り手のニーズにお答えし、
東北青森地域限定で試験的に流通したマンガ本をベースに、
今回、全国発売として新装させた電子コミックです。

マンガ制作に当たってはキャラクターとして、
青葉かつらという建築女子をメイン・主人公にしました。
祖父は伝統工法の宮大工、父は日本建築の保守本流大学工学部教授。
幼い頃に母親を亡くして、祖父母に育てられた。
祖父の「日本の伝統に革新の要素を取り込んでいきたい」という意向から
孫娘として、北海道の高断熱高気密建築技術取得に身を投じた・・・。
っていうような、マンガ表現上ではまだストーリー化していませんが(笑)
そんなシリーズ展開も構想している作品です。
わたしはマンガ少年としての過去のうずきを持ち続けた人間。
少年期に同志だった友人たちに声を掛け、制作に協力依頼しまして
中高年になって青春の再燃を果たしたものですが(笑)、
作品の内容については新住協・鎌田紀彦先生にも目を通していただいて、
高く評価もいただいている作品であります。

作品は全5作まで出来ていますので、
今後、徐々に電子出版化を行っていきたいと思っています。
全国の高断熱高気密住宅の家づくりに関心のある一般のみなさんには、
「住宅性能がよくなると、なにがいいのか」が直感的に理解出来ます。
またビルダーさんや建築家のみなさんにとっては、
建て主さんの住宅性能意識の普及のために、
大いに活用していただけるのではないかと思います。

販売価格は500円(税抜)  [税込:540円]
下の写真をクリックすると販売ページにリンクしています。
DLmarketで購入

【安藤忠雄:秋田県立美術館と公共空間熱環境】


きのうご紹介の秋田朝日放送AABの住宅テレビ番組出演後、
ご存知の安藤忠雄さんの秋田市中心部にある秋田県立美術館に
立ち寄って見ていこうと思いました。
夏場には一度見ていますが、冬場にははじめての見学でした。
テレビ番組では、断熱の重要性をわきまえた住宅が
当然のように絶対、イチ押しというようにお話ししたのですが、
どうも秋田市中心部の公共空間では、疑問を感じる現実に遭遇です。

著名建築家・安藤忠雄さんの秋田における建築として、
この県立美術館は市中心部滞在観光の中核的位置付けに当たる。
ホームページには建築設計コンセプトも触れられている。
〜秋田県立美術館は(中略)中心市街地にある千秋公園を望む地という
特徴を活かし「ここにしかない魅力のある美術館」をコンセプトに設計(中略)。
水庭越しに千秋公園の美しい風景を存分に楽しむことが出来る
解放感あるラウンジ空間(中略)展示物だけでなく、
時間や四季により表情の異なる美術館建物をご覧ください。(中略)
大きなガラス窓から映画のスクリーンを見ているかのように、
それぞれの季節で変化する景色をお楽しみいただけます。〜
というような説明がされていました。
で、この「ラウンジ」の今週日曜日の様子が上の写真2枚です。
安藤さんらしいシャープな造形感覚が活かされて、
対面する千秋公園を望む大きなスクリーン窓と形容された窓面は、
眺望性重視でたぶん、強化ガラスの単板なのだろうと推測します。
しかし残念ながら、窓面は複雑な「結露」模様に彩られて、
非シャープな「映画のスクリーン」を映し出していました。
見る者は結露模様と、ところどころの千秋公園眺望のコントラストを
それもまた「環境が見せる芸術」とでも受け取って了解するほかはない。
窓面手前側には電気ストーブとおぼしき冷輻射防止対策が
施されていましたが、そのデザイン性のいい加熱源をもってしても、
秋田のこの時期の寒冷気候の前では無力をさらけ出していた。

という体験を済ませたあと、
やや暖を取りたくなって、対面する公共建築に入った。
内部にはイベントが行われるスペースなどもありましたが、
多くの人たちが、1階の大きな出入り口の自動開閉ガラスドア玄関前、
たくさんテーブルや椅子が置かれたホール空間で過ごしていた。
いごこちの良さが「見た感じ」で感じられたので、
わたしも腰を下ろしパソコンを立ち上げ連絡確認しようとしたのですが、
ドア開閉ごとに吹き込んでくる寒さにすぐに閉口させられた。
結果、ほんの1〜2分で退去しましたが、その場所で
一緒に勉強をしている学生グループなど多くの市民のみなさんは、
ダウンジャケットを重厚に着たまま、長時間じっと「ガマン」されていた。
で、退去後、駅前から空港までのバスに乗り込んだのですが、
キップ売り場窓口で「乗車時間ピッタリに来てください。」という声掛け。
「なぜですか?」という当方の問いに、
「いや、ここには寒さから逃げていられる場所がないので(笑)」という答え。
ないなら作って欲しい、とごく自然に思うところ。
やむなくせっかく行ったキップ売り場から周辺書店に避難し、
時間調整して再度バス乗車場に時間ピッタリに行った。
バス乗車場は秋田杉が木組みに表され見てくれの「あたたかみ」を
演出していたようですが、立ち止まることもなくバス車内に入った次第。
う〜〜む。

【AABテレビ「よりそう秋田の家づくり」2.25出演】


秋田朝日放送さんでは、年に一度、住宅番組を放送されます。
省エネであたたかい住宅の普及啓発という趣旨の取材番組。
その解説・コメンテーターとして呼ばれて出演しています。
ほぼ毎年恒例化していまして、ことしもきのう収録。
放送は今週末の土曜日2月25日というように聞いております。
地元の人気女性キャスター・真坂はづきさんとのコンビで
今回は4件の住宅をご紹介するというもの。
で、わたしは、番組最初でおおむねのテーマ説明をして
その後は、4件の住宅について各1分程度で要約のコメント。
さらに、住宅紹介終了後、まとめのコメントという構成。

年に一度とはいえ、七夕のように出会うので、
真坂さんとのコンビはフレンドリーでした。
やさしくて快活で、おじさんでもお話ししやすい。
わたしはReplan誌創刊の頃、4〜5年くらいはよくテレビに出ていました。
地方零細出版としては、チャンスがあれば積極的に
自ら雑誌の売り込み、宣伝の機会を大切にしてきたのです。
雑誌の仕事というのは、丹念な「積み上げ型」の情報収集・発信ですが、
こういったテレビや講演という機会は、
一気呵成型というか、高速回転型の情報伝達。
事前にいくつかのポイントを整理しておいて、
そのなかから,今回で言えば相方の真坂さんの反応など、
空気を読み取りながら、流れ重視で要点の絞り込みをして
2−3のポイントに集中していくというかたちです。
コメントの秒数が、50-60と決められるので、
そのなかに、番組ディレクター的な視点で必要なお話をコンパクトに。
っていうような番組出演でした。
地元のみなさんはぜひご覧ください。
わたしは北海道なのでリアルタイムでは出演番組を見られません(泣)。

こうして毎年出演しているので、
着るものはディレクター・カミさんの指示に従っております(笑)。
そういうビジュアル系のことはカミさん頼り。
なんですが今回はなんとご覧のようなピンクのシャツを着なさいと。
なんたら効果を狙っているということだそうです。
ただ、こうしてスタイル抜群の真坂さんと並ぶと、
われながら、とくに首の短さが気になる次第(笑)。
お見苦しい映像とは思いますが、番組の宣伝のために公開いたします。

【新築より中古? ニッポンの住意識変化】

最近、新築戸建て住宅ばかりでなく、中古住宅について
あれこれと情報収集をしています。
北海道の住宅施策としての「きた住まいる」諮問会議などの場でも
中古住宅関連の資料に接する機会も増えてきている。
上の図は、そのなかの注目すべきデータです。
折れ線グラフは、住宅取得機会のなかで占める中古住宅の割合。
上の黒い線が北海道で、グレーが全国の状況。
下の棒グラフは北海道の中古住宅取得での戸建てとマンションの割合。
グレーが戸建てで、白がマンションです。

長らく日本は住宅取得において新築住宅が支配的で
なかなか中古住宅流通が活性化しないと言われてきた。
それがここにきて、かなり有為な変化をみせてきている。
2003年の10%程度が、2014年では北海道では27.8%にまで増えている。
北海道って市場調査でもその「先導性」がよく言われますが、
住意識における変化でも、そのようにいえるのか?
こうした変化の原因はなにか?
このように住宅市場が推移するとして、制度側はどうすべきなのか?
というテーマが浮かび上がってくる。
ユーザーの住宅意識にどんな変化が生まれているのかの分析が必要。
欧米、アメリカでは8割、イギリスでは9割が中古購入であり、
この日本の趨勢は、そのように欧米化する市場変化なのかどうか。
上の調査結果は2014年までの状況なのですが、
ごく最近の状況を不動産事業者さんにヒアリングしていくと、
昨年など土地価格の上昇傾向が札幌都市部などで顕著になっていて、
そういったこととも関係しているようにいわれる。
北海道外ですが、仙台などでは既存住宅地の土地価格が上昇して
戸建て注文住宅用地不足が深刻な状況とのこと。
従来ならば、そこで見つからなければ、
やむを得ないので郊外立地を求めていく傾向が強かったけれど、
いまは家はできれば中心部、利便のよい土地と探す。
勢い、中古住宅購入とその「リノベ」需要が高まっていると聞く。
利便性のいい既存住宅購入とリノベに意識が向かうということのようです。
そういう意識に対して、マイナス金利などの金融環境が
後押しするような状況になってきている。
この傾向も強まってきていて、賃貸住宅を探していて、
お金の計算をいろいろしているウチに、中古購入にチェンジする人も
確実に増えてきている実態のようです。

市場環境の変化・トレンド、目が離せませんね。

【長期的環境縮小のなかの出版業】

わたしどもは地方での出版業・情報企業であります。
図表は日本の「出版社数と総売上高推移」であります。
きびしくそのどちらも下落傾向に推移してきていて、
2015年統計では、総売上1兆7,900億円・会社数3,489社。
こういった激変状況の中で売上ダウンよりも
企業数の減少割合の方がより少なく推移してきている。
企業経営として考えると、事業の環境はたいへん厳しいもの。
最近は書店の経営状況もいろいろ話題になってきており、
活字、紙文化そのものが大きくその存立基盤が揺れている。
ご存知のように、出版という業種は首都圏に圧倒的に集積している。
情報の収集活動において、中央省庁とか研究機関などの存在が
首都圏にほぼ独占されているので、
地方というのは、圧倒的に不利なので致し方ない。
しかし人口は東京は1300万人しかないし、首都圏とくくっても
おおむね3000-3500万人程度。
わたしどもが基本エリアとしている北海道・東北は、人口規模では
550万人+900万人の1,450万人とみれば、対比では
情報ニーズは確実に存在することは疑いないと思います。

こうした数字が事業環境の現状であり、その状況の中で、
各社ともどのような生存戦略を立てていくのかの問題なのでしょう。
事業環境縮小は多くの領域でいま日本の企業が直面している問題。
逆に言えば、こういった激変はあらたな発展のための
あらたな環境が生成してくることを表してもいる。
最近、人類史というようなスパンでの把握が可能になってくる、
そうした情報に接することが多くなってきた。
以前のブログでも書いたけれど、人類が衣類を着用するようになったのは、
赤道付近インドネシアジャワ島の地球規模での大火山爆発が
そのきっかけになった「気候変動」があったとされる。
寒冷が世界を覆いつくし、たぶんまだしも気候が穏やかであったろう
中緯度地方に向けて現生人類などがその生存域を
拡大させ移動していく過程で、動物の皮革などを
生存を担保する「衣類」として身に付けていったようです。
こういった人類史的推論が成立してきているということ。
ただしその過程で相当の類的大量死があっただろうとされる。
そういったプロセスは避けては通れないのでしょうね。
人口減少社会での生き残り方、サバイバルの時代が、
否応なく迫ってきているのだと考えれば、むしろ知恵も湧いてくる。
また、衣類発明までの人類的大転換とも思われない。
無理矢理にでも(笑)前向きに向かっていくしかないでしょう。
人間は必ず生存戦略を確立することは間違いない。
きのう、仙台でライターさんやカメラマン、印刷業者さんたちと
懇談しながらそんな雑感を抱いていた次第です。

【爪のかさぶた表皮膜切除。新爪再生】

爪の再生プロセス、いよいよ最終段階。
昨年10月2日以来、ずっと内出血〜化膿〜沈静〜と推移していた
右手小指の爪の損傷。
ついに一昨日、形成外科に診てもらってきました。
爪の表面の盛り上がっていた古い患部の爪が、ちょっとした拍子に
破断面が横に走って、ぐらぐらとしてきたのです。
自分で多少の血しぶき飛散程度を覚悟の上で剥ぎ取るか、
考えたのですが、やはり形成外科にチェックしてもらいました。

こういうときに、写真を取り続けていたことがたいへん役立つ。
発症直後からの患部の状態を先生に詳細に説明して
最終段階の状態も確認していただき、切除という判断を下していただき、
先生自ら、はさみで病変患部を剥ぎ取っていただきました。
写真は、4カ月前の左上、1カ月前の左下、そして切除後の様子が右。
爪先端には黄色変異した病変部もあったので、
その部分まで切除した結果、いまのところ、やや凹みが
爪先端部に残りましたが、
「これから爪が伸びていって、徐々に復元されていくでしょう」とのこと。
「なにか、軟膏などを塗って置いた方がいいでしょうか?」
「いや、この状態で普通の生活をしてください。それの方が治りが早い」
というような今後の方針を示していただくことができました。
考えてみるともう4ヶ月半程度の期間でしたが、
こういった小事とはいえ、手指先というのはなかなかデリケート。
ヒトという動物は、「手型動物」〜外界との接触対応で、口型が一般的な
動物界のなかで、特異的に手多用型に発展したイキモノだそうですが、
まことにデリケートな時間を過ごしていました。
こうして復元力だけで再生できたことは、
まだまだ若さが身体中にあるということだと確認することもできて、
いい体験でもありました。
こういう健康なカラダに生んでくれた親には、いまさらながら感謝です。

さて本日は、東北出張。
仙台から週末は秋田にてテレビ番組出演、収録の予定です。
撮影終了後、番組の内容についてはまた、ご案内いたします。
秋田地方の方は,ぜひご覧ください。ではでは。

【宮古島公営住宅 ウチソト緩衝領域の豊かさ】



宮古島から来て北海道の住宅を巡ってくれた伊志嶺徹子さんの
宮古島での設計事例として、公営住宅の解説があった。
わたしは実物を見学しているので、そのときの体験を追想しながら、
多くの再度の「気付き」を得ていた。
とくに建築家の山本亜耕さんが、その公営住宅の間取り図に着目されて
エントランス、玄関周辺の間取り構成を質問されたとき、
見学時に感覚した「空間の豊かさ」について、再確認した次第。
まぁその見学は、住まいと環境 東北フォーラムという、どちらかというと、
住宅熱環境をテーマとする見学で、壁から内の熱環境に興味が集中、
彼我の相違を対比的に見るという見学習慣が刷り込まれていた。
それに対して相撲を見に行ってテニスを見るような
そんな豆鉄砲を食らったハトみたいに意表をついた攻撃を受けて
その場では詳しく質問出来ず、今回山本さんの質問から、
改めて、その不意打ちで受けた「空間の豊かさ攻撃」体験が蘇ってきたのです。
思わず伊志嶺さんに「宮古島に移住したくなったくらい、あれよかったです」
と言ってしまっていた(笑)。いきなりホンネが出てしまったというか。

山本さんの指摘から、あの見学で抱いていた感覚が一気に襲ってきた。
そうなんです。公営集合住宅ということで法的な縛りと防火などの設計要件を
満たしつつ、なお、コストの問題をクリアさせるのには、
ほぼ全国画一の仕様パターンが行われるに相違ないという刷り込みがあった。
ところがそこで見せられた住宅では、玄関という概念が非常に拡張して、
人間の出入りにおいてごく自然で、ソトとウチとの区画性を感じさせない。
具体的には、明確な防火玄関ドア、鉄製扉がなかったのです。
伊志嶺さんも説明資料をいくつかスライド表示されていたけれど、
その見学時の取材写真を再度探し出して再構成したのが上の写真・図面類。
当方としては熱環境的な取材としての訪問意図だったけれど、
そこにあったのは、違う次元での建築の環境対応。
わたしは戸建て住宅がメインの住宅情報人間であるので、
共同住宅、集合住宅の一般的知識には乏しい。
ただこの見学の時、「めちゃくちゃいいな」と思っていた。
集合住宅なのでコンクリート造であるのだけれど、
玄関は木製の引き戸であって、その入ってすぐには木製の自立壁、
そう、沖縄に特有な「ヒンプン」が装置されていて、
あえてそこから「回遊」させられつつ、居室内部に導かれていく。


内部は、肌に触れる部分の仕上げには木質がセレクトされて使われていた。
床フロアの色合いはかなり濃いめで仕上げられていた。
この見学居室はいちばん大きめのタイプのようでしたが、
とにかく導入部分・エントランスがたいへん豊かな空間構成なので、
家のウチとソトの関係性が非常に開放的と感じられた。
家を出ればすぐに東シナ海の遠望が目に飛び込んでくる環境。
公営住宅でありながら、こういったバッファーゾーンの豊かさが実現している。
これは建築家としての伊志嶺さんの強い説得力の産物であったようです。
行政側との詳細な(笑)やり取りの様子も聞かされました。
ですからもちろん沖縄のどこででも実現できているわけではないでしょう。
このあたりのことは専門外なので、詳しくはありません。
寒冷地では居室内での熱環境の確保保全が最優先になるけれど、
蒸暑地沖縄・宮古島では、ウチとソトの暮らしのアクティビティこそが優先され
設計の視線としての重視項目に「暮らし方の豊かさ」目線が大きい。
そしてこのアクティビティは、バッファーの豊かさに裏打ちされている。
沖縄の家はバッファーゾーンの方がむしろ居住性の大きな要素を持っている。
家概念が少し違う。北海道ではこうしたバッファーの豊かさは追究しにくい。
単純には「相互浸透」はしにくいでしょう。
まったく違う様相の中にあるワケだけれど、しかし少なくともわたし自身は
北海道の人間としても強く惹かれるものをそこに感じる。
逆に沖縄の人は北海道の家をどう感じられるか、そこもよく知りたいですね。