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【デザインリノベーション宮城 2018 先行WEB予約!】

本日は当社新刊のご案内です。
ただいま、当社は「年末進行」まっ盛りであります。
通常の定期発行Replan北海道、東北の他に、数種類の「別冊」企画進行中。
そのなかから2017年12月8日発売が決定した企画。
先般の「青森版」に続いて「デザインリノベーション宮城 2018」。
東北での地域密着型限定・オリジナル企画であります。

ライフスタイルの希望を叶える
デザインリノベーション宮城 2018

住み慣れた街で自分たちらしい暮らしを手に入れたい。
今、そんな理想を実現する選択肢のひとつとして
「リノベーションする」人が増えています。
リノベーションとひとくちに言っても、その形態はさまざま。
断熱性能や耐震性能、減築・増築、キッチン・洗面などの水まわりといった、
性能・構造・部位・デザインによる優先順位のつけ方でもプランは大きく変わり、
マンションや戸建て、古民家などの建物種別によってもまったく違うカタチに。
選択肢が多い分、リノベーションには暮らしの理想を叶える自由度があります。
そんなリノベーションの好例が豊富な宮城から、地元の住宅実例を厳選。

◆巻頭特集
宮城の建築家リノベーション
01 築60年の古民家をリノベーション
02 匠の技が生きる古民家移築再生
03 好立地な実感のマンションリノベ
◆巻頭特集連動企画/リノベーションを巡る 宮城の街と人 
◆宮城のリノベーション住宅・実例集 <マンション・戸建て・古民家>
◆リノベーションの基礎知識
◆リノベーション お金の基礎知識
◆リノベの間取り集

ニッポンの住宅を変えていく可能性が高まっている「リノベ」ブームですが、
東北では仙台がもっとも都市化が進んでいて、そのニーズが高まっている。
今回の特集では、いま胎動を見せているこのリノベマーケットに注目。
先端的な事例を発掘し、「感性」志向の強いこのマーケットを深掘りしてみました。
いま、ユーザーや作り手はどんな志向をもっているのか、
多くの地域のみなさんにも注目できる内容だと思います。

■webにて先行予約受付中!!11月24日(金)~11月30日(木)※期間中にお申し込みいただいた方へは、一部地域の方を除いて、発売日までにお届けします。
宮城県の書店にて販売!
2017年12月8日発売・A4版
本体価格722円(税込:780円)

【ある幼女との一期一会 in 東京・二子玉川】

きのうは土曜日と言うことで、札幌帰還をやや遅らせて、
二子玉川にある「静嘉堂文庫美術館」にて中国絵画展を鑑賞。
どうも中国絵画については、ほとんどまとめてみる機会がなかった。
江戸期まで日本人にとって対外的な影響力がもっともあったのは、
中国からの文化であるに間違いないのに、たぶん明治以降は
脱亜入欧的精神から、ひたすら西洋絵画・文化に傾倒していって、
墨絵的表現の中国絵画は、日本人から忘却されていったに違いない。
そういう自分自身、東京国立博物館・東洋館で中国絵画はみた経験はあるが、
巻物に「文人」の至った「境地」を映像化するその制作目的に辟易していた。
しかしそればかりではないだろう、という興味から見学して来た次第。
だんだんと日本画に惹かれるようになって、中国画を知りたくなってきたのです。
この静嘉堂文庫美術館は、三菱財閥を創始した岩崎家の美術コレクション。
前にも1度訪問していますが、久しぶりの訪問。
世田谷区の多摩川沿いということで、ふだんのビジネスゾーンとは空気も違う。
いつもせわしない地域ばかり歩いていると、やや郊外の住宅街を歩きたくなる。
二子玉川は、そんな気分の休日にいい空気感。

きのうは、東急大井町線を利用して行きました。
ふだん京浜東北線や山手線、地下鉄を利用しているのとは雰囲気が違う。
いわゆる「私鉄沿線」の住宅街の香りが漂ってきて好きなのです。
そんな沿線風景を楽しみながら、二子玉川駅で降りた。
で、ここからも2kmくらいの距離があるのでバスを利用する。
タクシー利用しても美術館では200円のキャッシュバックがあるけれど、
前にもバスに乗って、都心地域では味わえないある豊穣さを感じていた。
まぁ要するに、静嘉堂文庫美術館探訪は、
こういった東京の住宅地の雰囲気総体も味わえるのですね。
ただ久しぶりに行ったので、駅のバスターミナルの位置がわからない。
で、なにげに高齢女性と、2−3才の女の子二人連れに道を尋ねた。
そうしたところ、親切に教えていただけた。
事前にバスの運行情報はスマホで電車車中で確認し時間が迫っていたので
その時間に間に合うように、お礼を言って急ぎ足で向かった。
数分後、背後でなにやら「バス停」がどうのこうのという声が聞こえた。
わたしは急いでいたので気に留めずにバス停に急いだ。
車掌さんのような案内の方がいたので、系統番号を確認して列に加わった。
で、ひと安心していたら、ふとまっすぐにわたしをみつめるカワイイ視線を感じた。
「ほらね、おじさん、ちゃんとバス停がわかっていたでしょ」
と、おばあさんがお孫さんに話して聞かせている。
おお、であります。
この2−3才の女の子は、道を尋ねて去って行った登場人物のことが気になって、
「あの変なおじさんは大丈夫だったの?」と気に掛けてくれていたのです。
それでわたしの去って行った方に祖母を向かわせて、
自分の目で変なおじさんが道に迷っていないか、確認した。
わたしはすっかり目が点になってしまった。
「いやぁ、お嬢ちゃん、いいお嫁さんになれるね(笑)」と声を掛けた。
そのまっすぐな瞳にさざ波が立つことまではなかったけれど、
やや安心したという体動作は見て取れた。
会釈を交わし、わたしは重ねてお礼を申し上げたらふたりは去って行かれた。
そのカワイイ後ろ姿を見送りながら、幸せな気分に包まれていた。

その後の絵画鑑賞から武蔵野の自然との出会い、古民家見学、街歩きが、
とても印象深くこころに染みわたっていくかのように感じた。
どんなに幼いとしても、人間には人間を動かすすごい力がある。
突然訪れた一期一会に、深く感謝しています。

<絵は当社創業初期働いてくれていた画家・たかたのりこ氏作品>

【日本建築学会・地球の声「環境住宅」シンポ】


昨日夕、表題のようなシンポジウムが開催されました。
主催者側の川嶋範久・東京工業大学助教からは、以下のような趣旨説明。
〜テーマは、『環境住宅』を「地域性」と「倫理」から再考する。
ゲストスピーカーとして、堀部安嗣氏(堀部安嗣建築設計事務所)、
竹内昌義氏(みかんぐみ)、藤野高志氏(生物建築舎)、末光弘和氏(SUEP.)。
様々な地域(気候風土・文化歴史)において、様々な考え(倫理観)のもと、
「環境」に対する具体的な「実践」をご紹介いただき、それらをベースに
議論する中で、これからの『環境』住宅の多様な可能性を改めて認識し、
これからの建築が向かうべき方向性を炙り出せればと思っております。〜
さらに経緯としては、昨年6月の「新建築住宅特集」で「環境住宅特集」が
特集として組まれたのですが、それに対してわたしも違和感があって、
拙ブログでそれを書いたところ、多くの「反響」があって、
それらをも踏まえて、昨年もシンポジウムが開かれたということだった。
その後、中心メンバーである川島さんは北海道に来られた。
わたしどもが呼びかけて北海道の住宅研究者・設計者などが参集されて
「討論会」を行ったりした。それの「続篇」的なシンポが公開で開かれたのです。
そういった流れもあって、取材としてわたしも参加してみた次第。
本日は速報的概観、感想篇であります。

川島さんからの最初の趣旨説明から昨年のわたしの提起が取り上げられて
一取材者、参加者としては、なかなかアゲンストな状況(笑)。
堀部さんや竹内さんは、いわば断熱原則派的な立ち位置で、
「環境住宅」というコトバについての認識には近縁性が感じられた。
現代が獲得した「断熱技術」を前提にしてそこから目指せる住宅の姿が
その発表を通じて明瞭なイメージとして感覚させられた次第。
北海道的な立場としては、こういった発言者がいるのであれば違和感もないし、
自ら進んで会場内で異を唱える必要性も感じなかった。
ただ、ほかの発表では「環境」というコトバの曖昧さからの
概念の拡散を感じさせられた。どうも概念認識的違いがある。
「自然と繋がる」という「新建築住宅特集・環境住宅特集」の主テーマが
持っている問題点が浮き上がってくるように思われた。
自然と繋がるということは、現代の断熱技術をしっかり使って
そのうえで自然な「理念」として追究されるべきだと思うけれど、
コトバのイメージそのまま、肉体がナマに「自然と繋がる」という志向を感じる。
発表された主張として認識出来た部分には、
夏の暑さ、冬の寒さと「応答する」人間営為を鍛える、
その感覚を研ぎ澄まし感受する無断熱「環境住宅」論すらも語られた。
暑いと感じたら窓を開けるとか、寒い時期には日射を待つ(!)とかの
人間の「環境対応力」を鍛える機縁になるという発言もあった。
印象としては安藤忠雄さんが、冬の寒さは厳しい、生きることは戦いだ、
というように施主さんに言って建てる住宅もまた「環境住宅」になるのか。
言うまでもなく零下20度30度の日本寒冷地の極寒期、いや断熱意識の乏しい
全国の冬期に対して、技術の進化した現代ではあり得ない論議。
シンポジウム終了前にあえて発言させてもらったけれど、
「自然と繋がる」というコトバについて突っ込んだ論議が必要ではないかと。
国の基準として省エネ基準が「義務化」される3年前という直前期。
全国の建築関係者は、この制度条件の中でどのように建築を作っていくか、
方向性を日々必死に模索されていると思うのだけれど、
その今日において、この前提とは違う方向も「環境住宅」論なのだろうか。
「多様性」というコトバにどうも不明なスジを感じた。

という概観でしたが、今後収録した音声データから、
各発表者のコメント内容、進行役の川島氏、全体のコーディネーター的な
塚本由晴氏の発言など、内容をまとめていきたいと思っています。
適時、このブログで情報発信していきたいのですが、
内容的には多岐にわたるので、別に企画する可能性もあります。
さらに来年1月には、北海道の住宅視察と討論会開催などの希望も
企画サイドとしては持たれているようです。
受け入れ側の北海道地域側でも対応を予定しております。
さらにより良い論議が深まっていって欲しいと思います。

【古代エジプトの富を支えた木造船製造・航海技術】


たまにテレビをゆっくりと見る「勤労感謝の日」であります(笑)。
とはいっても、本日出張の準備で書類作成をなんとか片付けながら。
一段落して夕方5時過ぎくらいから、なにげにつけたNHK-BS放送。
わが家は大体、103チャンネルを視聴することが多い。
高齢化してきて、このチャンネルの番組作りがいちばんハダに合う。
チャリンコで全国各県を回る火野正平の「こころ旅」など、
「人生下り坂がサイコー」みたいな番組作りに共感を覚える次第(笑)。
で、きのうのこの時間には歴史研究的なテーマで海外歴史・古代エジプト篇。
貿易立国を志向したはじめての女性ファラオのストーリーだった。
女王ハトシェプスト(在位:正妃~女王:前1490頃~前1457頃)。
ということなので、今から3,500年前くらいの歴史探検ストーリーです。
彼女の夫は早世したので、まだ4才の遺児を即位させながらも、
実質は彼女が執政し、やがて女性としてはじめてファラオになったという。
それまでのファラオたちが、海外利権を確保するために戦争政策をとったのに対して
彼女は貿易による富の交換・交易を思い立った。
まずはこの「価値転換」の発想が感動的。
エジプトの南側の現在のスーダンとの交易を望むが、
その時代、外洋船を作り、安定的な航海をするということのためには
さまざまな技術開発が必要であり、一国を傾けるような大冒険だった。
いまでいえば、宇宙開発を行うように困難があったのでしょう。
本当に戦後のアメリカNASAの宇宙開発との相似性を感じる。
この女王の発意に基づく「交易・海洋貿易」事始めを現代の人類史研究者たちが
その「交易船」を再現し、実際に航海しようという企画を番組が追った。

ということで、途中からは「船大工」による古代船復元という側面に、
まったく予想外の方向に展開したので、わたしにも強い興味がわき起こった次第。
木を使って技術開発するという、建築に類縁する人類記憶的興味。
残されていた古代遺跡のレリーフを徹底検証して古代海洋船の
設計情報を丹念に探り、全長20m、船幅5mという大きさも割り出す。
それを現代のCAD情報として合理的にまとめあげて、
さらに現代にまで伝統技術を伝えている「船大工」を探し出し施工を依頼する。
古代においてはレバノン杉が素材とされたが、組成材質が近似する
米松が選定された。それに対して古代遺跡から発掘された船の断片板から、
数十枚の木片ピースで構成された事実を発見し、そのままに設計し施工した。
現代の木造船製造技術とはまったく違って「竜骨」といわれる
骨組みに対して、木片ピースで組み上げていくのだという。
当然、緊結させるのには「かすがい」のような部材が工夫された。
最大の問題である「防水性」については、水に浮かべると木材が膨張して
水の浸入が防げるはずだと当初推定していたが、実際にはそうはならず、
繊維質素材を封入した上から、蜜蝋で塗装仕上げして防水仕様とした。
それでめでたく水に浮かべることはできたけれど、
帆船の操縦については、いろいろな経験知の取得が必要で、失敗を重ねた。
風を受けすぎればマストが折れたりするので、帆を大小で使い分けるなどの
操縦技術「再発見・開発」も必要だったとされていた。
そんな経緯が丹念に番組として紹介された。
無事にこの女王発意の「海洋貿易」活動は成功を収め、その後の
エジプト王朝の繁栄の基盤になったのだとされていた。
それまで富の獲得が、対外戦争での略奪しかないと固定概念となっていたのが
ここから人類的な価値転換がなされたのだと。

人類史という視点が世界的に大きく着目されるようになって来ている。
いまに至る人類の「常識」がどのように獲得されてきたのか、
家族がどうして生まれたか、住居がどうして出現したのか、
そういった根源的な営為の初源への知的探究は、
さまざまな知的感動を呼ぶものだと、深く興味を抱いた次第です。

【江戸明治の北前船蝦夷地交易の空間記憶】


写真は北海道の日本海側北部、小平町の「花田家番屋」。
北海道ではいわゆる「歴史的建造物」という建築の数が少ないけれど、
そのなかでは比較的に保存が進んでいる江戸末期ー明治期の
大型漁業施設建築遺構です。
わたしはけっこう大好きで、ときどき訪問することがある建物。
以前は、この大型建築だけが海岸に対峙するように建っていたのですが、
最近は「道の駅」的な観光客収容施設も併設されています。
なんどか、このブログでも紹介してきました。

こういう建物に遭遇すると、わたしなどは、下の写真のような大空間架構に
強く惹かれる自分がいます。
たぶん、歴史的な歳月を力強く支えてきた構造の力強さに、
圧倒的な迫力を感じるのだろうと思いますね。
日本の歴史的木造建築といえば多くは宗教的建築が多いでしょう。
それは無条件で多数の人間が集う場であり、その空間を「良く」作ることこそが
基本的な建築の任務だということを教えてくれる。
そして長い年月を経てきたそういった建築には、そのこと自体で
ひとびとのリスペクトの意識が高まっていくのでしょう。
そういった本州地域で一般的な大型木造建築のありようとは違って、
北海道地域では、この建物のような「産業施設建築」が遺った。
宗教空間とは違って、なにやら物欲的な建築意図、精神。
他の地域では商家とかが相当するのかもしれませんが、
それらとも大きく違いがある。京都商家などが文化的洗練に走るのとは
どうも相当の精神性の違いがあると思わされます。
しかしもちろん、武家の大型木造城郭建築のように権力志向ではない。
どこか、独特な雰囲気が支配しているように思います。
そういった建築の意図を持っていただろう、「親方の空間」の方の
生活感というか、信条のようなものが垣間見えるのが、上のような
座敷を持った親方の私的空間の方であります。
現代の建築で言えば、工場・職住一体型の大型建築というようなことでしょう。
そういったオーナーの意識が、こういう床の間などに表現される。
江戸から明治にかけての「北前船交易」の経済主体というのが、
かれらの本性になるのでしょうが、高田屋嘉兵衛的な時代精神が
類推されるような空間性であります。
その北前船交易は、一攫千金的な大型漁業が基盤になっている。
たぶん、蝦夷地での漁業というやや投機的な気分、
それを「上方」に運んで巨利を得ていたかれらの精神が想像される。
床柱には、見たこともないような奇怪な姿形の銘木が使われていた。
北前船に乗ってビジネス旅行にやってきただろう上方商売人に対して
このような空間性で「もてなして」いたことになる。
少し驚かしてやれ、というような設計意図も感じる。
そうでなくても、大型架構の空間には度肝を抜かれる部分があっただろう。

はるかな後世にあたるわれわれ現代人も、
このような空間には、見たこともない豪放磊落な世界観をみて、
ふーむと、しばし思いを致すところがあります。
こういった世界観というか、生き方が一時期のニッポンには存在していた。
そういう面白みに、強く惹き付けられますね。

【前真之氏講演より 住宅問題認識の日独比較】


きのうは東京から前真之東大准教授が来札され、
夕方からTDKショールームで増改築産業の団体であるJERCO主催の講演会。
ちょうど、Replan本誌での連載記事の進行校正もあって、
事前には当社事務所に来ていただいて情報交換もさせていただけました。
前回の記事から、インターネット上での拡散も始めていますが、
今後とも全国的な発信も心がけて行きたいと考えています。
講演の内容は骨格的には断熱改修のススメというものでしたが、
いつものようにさまざまなデータを活用して気付きを与えていただきました。

わたし的には最近、世界のパッシブハウスの状況について
さまざまな動向や変化が見られるようになっているので、
とくに先生が開示された日独の住宅マーケット比較に強い興味を持ちました。
その開示された情報が上の2点の画像。
人口規模は日本が約1.2億人に対しドイツは8267万人。
おおまかに3:2というくらいの経済規模といえるでしょう。
日本の住宅マーケットは総額で52.3兆円の経済規模。
新築37.4兆円・改修14.9兆円。71%:29%という割合。
一方ドイツでは総額で35.2兆円の経済規模。
そのうち新築は10.7兆円。30%。
改修の方は2つのカテゴリーに分けられ、
・省エネ7.4兆円21%。・改修17.2兆円49%とされていた。
住宅建築総体の経済サイズは52:35と、おおむね人口比に比例する。
日本は、新築偏重の住宅政策であると長年指摘されてきましたが、
ドイツでは政策的誘導処置で、既存住宅改修へのシフトが
強力に働きかけられているということだそうです。
そのプロセスでは新築事業者の倒産といった事態すら進行したとされた。
そういった状況がグラフとしても巨視的に把握できた次第。
このような政策誘導は、住宅への社会的認識の差であるのかも知れません。
日本では「景気対策」として住宅投資が繰り返し活用された結果、
既存住宅の「空き家」が急増を招いている。
空き家率比較では、ドイツは4.5%なのに対して日本は13.5%にも上る。
ドイツでは住宅は社会資産という価値感が強く存在しているので、
「空き家」というものに対する危機意識が非常に強いのだという。
こうした「資産意識」は、「賃貸住宅比率」の差となっても見て取れる。
ドイツが5割を超える率なのに、日本は35%にしかすぎない。
空き家を社会的なムダと強く認識する社会であるということですね。
たしかに賃貸住宅が「空き家」になっていれば、社会としても効率はよくない。
一方で日本は基本的に「使い捨て」文化を許容する社会であるかのよう。
また、とくに「省エネ改修」が一般的改修と区分けして統計されていることも
ドイツの住宅政策のありようを明瞭に伝えてくれる。

こういった流れを踏まえて、集合住宅の省エネ化が
大きなテーマとして浮かび上がってきている状況が見えてきますね。
先生の講演でも、北海道でのマンション断熱改修が取り上げられていました。
いろいろと気付かされる点の大きな講演だったと思います。
あ、いつものようにわたしの画像が「悪の象徴」として紹介されてもおりました(泣)。
先生の例の「電気蓄熱暖房器」撲滅キャンペーン。近々対応予定なんですが、
う〜む、であります(笑)。ま、事実だし、しょがないなぁ・・・。

【建築家の社会的需要 「国立新美術館」by黒川紀章】


地方にいて、しかも住宅に特化した仕事をしていると、忙しさにかまけて
公共的建築への強い興味を持つことはつい少なくなる。
っていうか、興味はあるし関心もあるけれど、
もうちょっと手ざわりや、それこそ空気の質感といったレベルに興味が向かい、
その余白でしか、公共的建築を認識していない。
そんななかでことし、6月の「日本学術会議」や今月の「安藤忠雄展」で
この「国立新美術館」をはじめは外観だけ、2度目は内観から、
半年ほどの時間スパンの間に体感することができた。
学術会議の時は、それこそ六本木の地下鉄駅から偶然、学術会館までの
通りすがりに「こんなのあったんだ」レベルで見ていた。

しかしこの特徴的な外観はやはり強く印象づけられた。
当然のように「誰が設計したんだろう」という興味は持たされた建築だった。
こういったナショナルな投資が首都にはどうしても集中する。
面白い建築計画は首都になるのはやむを得ない。
で、そしてこうした施設の建設に当たって、才気に満ちた設計者はどうしても必要。
その国に「ふさわしい」建築が求められるのは必然。
建築的な側面から、また文化的歴史的側面から、総体としての
「社会的」判断がそこに加わって、建築計画が固まっていく。
この「新美術館」とは、その最初の遭遇からほぼ半年の経過があって、
ちょうど「安藤忠雄展」が開かれ、その会場ということで、
ちょうどいいなぁと楽しみにしていた再会。
そもそも、この「新美術館」というのはどういった性格の建築なのか?
Wikipediaには以下の記述。
〜国立新美術館(The National Art Center, Tokyo)は、東京・六本木にある
美術館。日本で5館目の国立美術館として2007年(平成19年)1月に開館。
文化庁国立新美術館設立準備室と独立行政法人国立美術館が主体となって
東京大学生産技術研究所跡地(さらに元は旧日本陸軍歩兵第3連隊駐屯地跡地)
に建設された美術館。歴代の館長はすべて文部官僚からの天下り。
国立美術館としては1977年開館した国立国際美術館以来、30年ぶり新設。
延床面積は日本最大で、それまで最大の大塚国際美術館の約1.5倍に及ぶ。
独立行政法人国立美術館に所属している中で唯一コレクションを持たない為、
英語名は収蔵品を持つのが通常のミュージアムではなくアートセンターを用い、
THE NATIONAL ART CENTER-TOKYO」を名乗る。
設立目的を展覧会の開催・情報収集およびその公開・教育普及としている。
日本の芸術文化の育成・国際的な芸術情報発信拠点としての役割が期待された。
黒川紀章設計の美術館としては最後のものとなった。〜

比較的に分野を限定しない幅広い「文化発信」機能を持つようで
今回の「安藤忠雄展」のような催事は、こうした狙いが現実化したもののようです。
そういえば、今回展示は「開館10周年」の周年イベントでもあるとされた。
建築家というひとたちは、「美術館」で展示されることを希求するタイプが多い。
絵画や彫刻とはスケールが違ってプロジェクトが直接社会を巻き込むので、
いわゆる「作家性」は公共性の枠内に閉じ込められざるを得ない。
そのことにある種のコンプレックスに似た心情を持つようなのだ。
またこうした国家プロジェクトをデザイン担当する「納得感」を担保するために
「高名である」ことがどうしても不可欠になることは十分に了解できる。
公共建築が社会的存在である以上、これは無限に続くテーマでしょうね。
日本の場合、こうした建築家としての「社会性認知獲得」のために
住宅もそのひとつの「成り上がり動線」にもなっていることが特徴的であるのかも。
まぁそういったあたりから、住宅のシーンと繋がる興味が存在するのですね。
住宅作家といわれた人が、あるとき巨大プロジェクトを率いたりする。
本日はこういった「公共建築への素描」テーマということで。
少なくともこの新美術館、わたし的には印象的な建物だと思わされました。

【鎌田紀彦氏の「エコハウス」審査への疑問から】

住宅の賞というのはたくさんあります。
わたし自身もそういう賞の審査員をやったりしたこともある。
顧みていかに不明であったかと恥じらう自分がいます。
そういう経験からしても、やっぱりそれぞれ成立の仕方が違う個別の住宅に
「優劣」を付けるのは、相当ムリがあるようにいつも感じています。
きのうFacebookをチェックしていたら、秋田の建築家・西方里見さんが
自ら応募された賞の選考過程について、率直な意見を発言されていた。
わたしのような人間は、応募する作り手とは違う立場なので、
その内的な葛藤は、忖度することはできるけれど見えにくい部分もある。
けれど、言わんとしていることはおおむね共感出来ると思いました。
そんなことを考えていて、数日前の建築知識ビルダーズ主催の「エコハウス」
審査の時にゲストとして発言を求められた鎌田紀彦氏の発言を思い出した。
以下、録音データからその内容・要旨を。

「ボクは世の中に厚い断熱の建物を普及させようと思ってやってきたんですけど、
この審査に残った厚い断熱の住宅を見ていると感慨深いものがある。
しかし、このコンテストは厚い断熱を競うものではなく、エコハウスなのだという。
では「エコハウス」ってなんだ、なんの意味があるんだろうと考えさせられた。
何を競っているのかが疑問。エコハウスがなにを意味しているのか不明。
(中略〜北海道から応募した住宅へのコメントで)審査員の顔ぶれをを見て
どうしてこの人たちが北海道の住宅を審査できるのかと思った(会場爆笑)。」

かく言うわたしも、(会場爆笑)のあたりで激しく同意していた(笑)。
まぁ先生らしい一流のジョークではあったのですが、核心も突いているなぁと。
住宅の賞ということには大きな意義はあると思います。
とくにいま断熱ということが普及段階にある日本の温暖地においては
賞の存在自体が、そのことへの関心を呼び起こす大きな起爆剤になる。
この「エコハウス」賞がそういう役割を果たしてきていることはリスペクトします。
しかしその上で、住宅に優劣を付けるコンテストをやるのであれば、
その「判断基準」要素を常識的にわかるように明示すべきだと思う。
応募する側にとっては、非常に多くの設計制約を踏まえながら、
ある解に至った建物を、さらに非常な努力を払って「応募」している。
その努力に対して「優劣を付ける」には、明確な基準が示されなければならない。
ある北海道の住宅の賞の「講評」で、本州地域から来た審査者が、
応募者が住宅説明にQ値とかC値とか平明な数値を示して話しているというのに、
断熱気密について自らはほとんど知識がないと公言されていた。
断熱という基本を踏まえてデザインしている応募者対象に対して
失礼ながら、そこを知らないで住宅デザインを審査していることになる。
そのような住宅の賞のいまの現実を見ていると、人口の8割を占める温暖地側が、
人口規模の多寡のエセ「正統性」や恣意で順位を押しつけているだけではないかと。
それは中央に対して「鄙」は服従すべきと言っているようにも聞こえる。
住宅の賞というものに、どうも納得がいかない部分がある。

【一夜で真冬(泣) 雪とのパッシブな対話とは?】

全国のみなさん、おはようございます。
できれば広く日本中の温暖地にお届けしたいステキな白い恋人です。
これから始まる冬のセレナーデ、忘れずに来る律儀なヤツとお笑いください。
・・・って、まぁ。愚痴はとめどなくあふれ出てくる(笑)。
ややヤケ気味に迎える本格的冬将軍。にしても、いきなりの大雪模様。
もうちょっとね、冬の到来には抒情感くらいがほしいですよね。
少女が空を見上げ、その瞳にキラキラと落ちるほのかな雪くらいがいい。

というようにどんなに嘆いてみても、始まりません。
本日から、北国の男として雪との格闘は避けて通れないさだめ。
長靴を取りだしてきて、除雪器具も引っ張り出して、
用意を調えて、始めたいと思います。
雪かきは始めてしまえば、あとは慣れなので、
カラダも習慣に対して従順に対応するようになる。
それは人間の考える範囲を超えた事象なので、
自分たちの気持ちに整理整頓を付けて、自然と仲良くするしかない。
考えてみるとこういった対応は、自然へのパッシブな人間対応といえる。

ただ、温暖地の建築研究者の方から「自然と繋がる環境住宅」論を
聞かされたりすると、ちょっと「繋がりたくない」気分になるのは仕方がない。
これは物理の問題であって、けっして情緒の問題ではない。
「繋がって」しまうと、人間の体温が奪われてしまう凶暴さを北の冬は持っている。
だからといって非パッシブに、エネルギーを爆使いして
いわば、アクティブに対応できるものでもない。
雪とは対話しパッシブに受け入れて、人間生存領域と「仕分ける」しかない。
基本的に「断熱」は、この「仕分ける」ために人類が獲得した普遍的技術。
コントロール可能な人間生存環境創造を容易にする知恵であり、
少なくとも北国的には「環境」というコトバはそれこそが中核的概念だと思う。
そこから敷衍して気候に対して人間生存領域を普遍的に獲得する手段となった。
いわばイキモノとしての生存センサー領域創造にかかわるこのことについて、
やや文学的比喩のような「自然と繋がる」みたいな言い方をされると、
その気分において許容しがたくなるのですね。
断熱を無視した「環境論」には、危険の匂いを感じざるを得ない。

おっと、雪かきから断熱論になってしまった(笑)。
切り替えてこころ穏やかに、自然に対応してきたいと思います。

【地域オリジナル限定版「Replan青森」VOL4発刊!】

本日は当社の新刊のご紹介です。
これから年末年始にかけてたくさんの別冊企画が進行しています。
この「Replan青森」は、南北に長く地域性の顕著な東北地域で
さらに密着して「地域性」に配慮した青森県オリジナル版。
年に1回の企画でことしで4年目、第4号の発刊。
北海道並みの厳寒地対応が不可欠である一方、日本の伝統的な家づくりも息づく。
そして「青い森」と呼ばれる豊富な地場木材資源に恵まれた青森県。
大きくは太平洋側と日本海側に分かれていて、
その真ん中に陸奥湾に面した県中央の青森市がある。
日本海側は多雪で湿度の多い地域。青森市も独特の気候特性で
北海道札幌以上の多雪地域でもあります。
一方、太平洋側は小雪で、乾燥しているけれど底冷えの地域。
改正前の「省エネ区分」では北海道と同じ1地域も存在していた。
地域住宅雑誌として青森の家づくりの「羅針盤」の意味合いを込めました。
家を建てると言うことは、その地域に根ざして生きることそのもの。
青森の土地を知り、気候風土をよくわきまえ、
最新の技術を巧みに取り入れ、さらにいごこちのいいデザインを求める。
そう考えれば、やはり地域を知り尽くした「作り手」の情報発掘が欠かせない。
大手ハウスメーカーではあり得ない技術研鑽と、デザイン感覚を磨いた作り手たち。
みなさんの家づくりが素晴らしいものになるように、
地域住宅雑誌としての視線で、厳選した優良ビルダー情報をお届けします。

Contents
◆巻頭特集
青森で家を建てる。ということ
Case.01 最小限の好きなものに囲まれたシンプルな暮らし
Case.02 共有リビングから広がるプライベートガーデンのある二世帯住宅
Case.03 インテリア・家具好きの“理想”を追求でき価値も続く家
◆地域を深く知る県内ビルダーが建てた 青森の住まい・実例集 
◆オススメの収納アイデア
◆エルムECOタウン 厳選3実例 
◆新住協青森支部特集 「Q1.0住宅で日本一の短命県の汚名返上! 」
◆Q1.0住宅デザイン論 <新住協 代表理事・鎌田 紀彦>

■webにて先行予約も受付中!!
11月16日(木)~11月21日(火)
※期間中にお申し込みいただいた方へは、
一部地域の方を除いて、発売日までにお届けします。
2017年11月29日発売・A4版 本体価格907円(税込:980円)
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