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東京駅丸の内駅庁舎

最近の東京都心の建築的な話題というと
そのひとつに、東京駅丸の内駅舎の改修工事の完成があると思います。
赤レンガ造りの丸の内口駅舎は辰野金吾らが設計したもので、
1914年に竣工、2003年に国の重要文化財に指定されている。
「関東の駅百選」認定駅でもあります。
その駅の建物が修復作業を終え、その姿が現れている。
行ってみると周辺は、丸ビルを始め、
鉄とコンクリートとガラスの建築に代表される
21世紀的な建築が取り囲むように配置されていて
そのコントラストが、より強調されるような区域になっている。
ガラスで壁面が構成されているビルから、
ライトアップされたレンガ作りの駅舎の光景は美しい。
かなり距離のある美学が同居して存在する、ユニークな光景とも言える。
下の写真は、その駅舎ドーム内部の様子です。

で、美的感覚において、
ガラスの素材感を追求してきた20世紀から21世紀の建築と比べて
その前時代のレンガや木が主役であった時代の雰囲気が
彷彿と沸き上がってきます。
より人間的な手触り感が率直に伝わってきます。
幾何的な形を基本としながらも、随所に自然により近いなだらかな
曲線が多用されている。
それが一種の緩衝地帯になって、奥行き感が見るものに感受されます。
色彩感覚も、より素材の色味に近い、あるいは
「人肌」の感覚に近い色味が展開している。
こういう空間って、機能的に大空間を作って行くには
その後の鉄とコンクリートとガラスの建築には敵わない。
しかし、今回の東京駅、およびゾーンとしての周辺地域の賦活において、
このレンガと木で主に構成された建築は、たいへん際だっている。
あるいは、見事に調和の美を実現してくれている。
人間のここちよさというか、いごこちを科学するときに
よく2:8の原則のようなものが引用されるような気がするけれど、
この東京丸の内では、そんなふうなバランスが生まれている気がします。
手触り感と機能性の割合、バランスが
「地域全体」として実現しているように感じた次第です。

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