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ナラの木目に癒されるリビング

やはり、というか、
最近、家にいる時間が楽しくなってきています。
十年以上掛けて、ようやく居間が、想定していたような雰囲気になった。
ナラの無垢材テーブルがどっしりと迎えてくれる空間です。
考えてみれば、最初、わが家では居間の雰囲気について
じっくりと夫婦で語り合う、ということはなかった。
というよりも、どちらかというとそういうことを考える生活感の蓄積がなかった。
たぶん、多くのご家庭でもそうだと思うのですが、
自分たちがどんな暮らし方を選択していくのか、
あるいは、どんなふうな暮らし方が癒されるのか、
というようなことって、家を建て始める頃にはまだ熟成していないのではないか。
たとえ、多少価値観を持っていたとしても、
夫婦お互いの掘り下げた話し合いなんて、なかなか持てないのが実態だと思います。
いわんや、一方が一方を説得できるまでの熟した考えまでは到達しない。
自分が過ごしてきた、生きてきた空間について
それを対象化して、そこに自分の価値判断基準を持てるというのは、
やはりある程度の人生経験を経てくる必要がある。

最初はわが家でも同様で
設計者といろいろ話し合った末に、HUKLAというメーカーの
ちょっと変わった形の大きなソファを、やや小さめの面積空間に入れて
ただし、視線の抜けは十分に考慮して、
どちらかというと、リラックス出来るようなイメージの居間を作った。
天井にはBOSEのスピーカーを仕込んで、
音楽生活も楽しめるように計画した。
っていうような居間を作って、20数年暮らしてきたのですね。
ところがわが家の場合、まずは家自体の使用実態に変化が生じてしまった。
最初は職住一体の兼用住宅で、スタッフの数もまぁどんなに増えても5〜6人と
想定していたのが、一気に10人を超えるような規模になってしまった。
なのでいきなり、計画に齟齬が生じてしまったのですね。
このあたり、兼用住宅というのは難しいと思いますね。
見通しの利きやすい仕事であればいいのでしょうが、
そうでない場合、仕事の幅や大きさはあらかじめ想定はきかない。
で、そういう難しさに気付き、
建ててから10年くらいで、職住一体住宅は放棄せざるを得なくなった。
で、趣味生活的にも、やや乖離感を感じるようになった。
わたしたち夫婦の共通認識としては
素材感へのこだわり、というのが残った最大の共通項目だった。
そういう意味では、インテリアを構成する最大のポイントである
住宅構造にブロックを採用したのは、正解だったと思います。
しかし、きれいきれいな造形的インテリアよりも、
もっと素朴な素材感と、それを引き立てるような背景的なシンプルさに
だんだん心惹かれるようになって行った。
だから、無垢のナラ材というような選択をしたのだと思うのです。
しかし、今回はHUKLAのソファが限界まできたという契機がやってきて、
ようやくにして、回り道して巡りあったリビング空間なのですね。
その間、老化も進行して、ソファよりも高めの座り心地のほうが
暮らしやすくなったという変化もあったのですね。
まぁ、日本人全体が、伝統的な和室の暮らし方からそうでない暮らし方に
否応なく変化させられてきて、まだその変化のプロセスの中にいるのですから
わが家だけの問題ではないでしょうね。
もうわたしたちは、神聖空間の床の間付きの和室での暮らし方には
戻れないのでしょう。
そうであればフロンティア的に、板の間のリビングで
日本人的な感受性を込めたインターナショナルスタイルを生み出すしかない。
そんな気がしています。
でも老後を見据えながら、「居住性」ということを
本格的に、正面から考えはじめなければならないなと感じている次第です。

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