本文へジャンプ

【工務店の個性と市場認知 十勝住宅視察にて】

きのうは大雨の中、朝札幌を出て十勝へ。
地域工務店グループ・アース21の例会出席であります。
おおむね2カ月に一度、全道の工務店がお互いの家づくりの現場を確認し合い、
デザインと性能、マーケティングなどのテーマに沿って
研鑽を重ねている組織であります。
いわゆる地域工務店の継続的研鑽組織としては、
北海道でも有数の組織。ただ、北海道ではこうしたグループ活動は、
他地域と比べて格段に組織と頻度が多いと思います。
勢い、工務店組織の継続性、進化スピードがきわめて高い。

写真はそういう見学の中の一件の住宅で見とれたインテリア。
十勝でもひときわ個性的という評価の「広岡建設」さんの現場。
多くの見学者がその個性表現の強さに驚かされていましたが、
この洗面鏡に至っては、まさに独壇場的。
もちろんこういう鏡は既製品であろうハズがない。
それこそ一品一品、手作りで丹念に細かいタイルを嵌め込んで造作している。
カタチにしても、基本には既製品があるのだろうけれど、
それを大胆にカットして、外形も大きく手作り的に変容させて
まさに不定形で、同じモノは二度と出来ないような造形になっている。
広岡建設さんとの家づくりを考えたユーザーはいわば予定調和的に
こういったオリジナリティを期待してワクワクしていると言えます。
「わたしの家づくりイメージは欧米住宅のふつうの家」という
広岡さんですが、欧米的インテリア感覚でもひときわDIY的なこだわり領域まで
こうして地域工務店のひとつの魅力としてカタチにしている。
それにしても、このようなタイル造作作品は、
継続的なインテリアイメージの集積、「広岡建設らしさ」として
ユーザーにも雰囲気が共有されていることではじめて「納得」して
了解が成立する世界だと思います。
こういった造作作品をいちいち「ここをこうします」みたいにして
ユーザーの了解を得ながら作ることは出来ない。
「広岡さんだから」という地域ブランド的な作品了解がきちんと成立していて
ユーザーも満足度高く、それを楽しみにして受容している。
だから、けっして高額な費用がそこでかかるというものでもない。

これは確かに「デザイン」に属する領域でしょうが、
このような「手作り」への了解、リスペクトが
地域レベルで十分に市場成立していることが、非常に面白い。
工務店組織でしかなしえないひとつの魅力的戦略だと思わされました。
それにしても、こういうデザイン的独創性が、地域で共有されている
そのことに奥深さを感じさせられますね。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.