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【きた住まいる南幌取材-1 ブロック外断熱の家】



きのうは当社スタッフによる南幌モデル住宅群の写真撮影。
それにあわせて、住宅取材についての学習会、現地ゼミ的にスタッフと見学。
住宅雑誌というのは住宅の写真を押さえるのが仕事ですが、
「どう撮るか」がいちばんポイントになってくる。
写真はただ撮るだけでもつたわるモノはあるけれど、
やはり正確に「ある企画性」のようなものを画面に仕込んでいく必要がある。
もちろん被写体の持っている力のようなもの、
その美しさというようなものを感受して引き出すのは大前提。
っていうような写真撮影に当たって考えることについて、
若いスタッフといっしょに語り合っていました。

このブログでも既報ですが、
南幌のこのモデル住宅群は、北海道建設部建築指導課が企画展開する
「きた住まいる」事業をわかりやすく一般に伝える趣旨。
展示主体になった地域工務店+地元建築家はほぼわたしどもの誌面でも
常連的なみなさんたちばかりの顔ぶれ。
高断熱高気密を技術的な基本セオリーとしてベースに据えて
その建てられる場所での暮らしの豊かさを徹底追究する、
いわばオーソドックスなイマドキ北海道の家づくりを素で表現している。
昨日一気に全部見学して来たのですが、
徐々にこの欄でご紹介したいと思います。
まずはわたし的にもっとも興味を持っていた「ブロック外断熱」の住宅です。
施工は晃和住宅さんで、設計は山之内裕一氏。
きのうは山之内さんが現場でご案内いただきました。
わたしもブロック外断熱の家に住んでおり、山之内さんとは、
「ブロック住宅ルネッサンス」という思いを共有する同志であります。
域内火山がときとしてカルデラ級噴火を繰り返した北海道に豊富に存在する
火山灰をコンクリート成形したブロックはそれ自体で歴史を体現する素材。
その素材がアメリカ合理主義精神で発案されたもの(鎌田紀彦先生談)。
地域の先史素材にアメリカ的合理主義というのは、いかにも北海道を象徴する。
今回の南幌プロジェクトでも、このブロック住宅が参加したことで、
いかにも北海道らしい住宅展示になったと思います。
ほかの木造住宅に比べて、素材感を訴求されるので印象は「簡素」。
素材が正直に積み上げられている表情がそのままで情感がある。
ブロックはコンクリートとも違って1箇1箇がざらつきのある質感を持っているので
光を受けての反射が意識下でのグラデーションをもたらしてくれる。
そして、固いスポンジのような素材なので、温湿度を蓄える性能を持つ。
これが長期にわたっての「室内温熱環境」を保証する。
さらに、山之内さんはこの建物で高窓ラインでリズミカルな破調をデザインした。
屋根面の交差に微妙な軸線を加えて生み出されたこの高窓で
太陽光とブロック構造との対話を仕掛けているといえる。
日中の太陽角度、その変化につれて室内に微妙な採光コントラスト、
グラデーションが生み出されています。
ブロックは四角い面を見せている存在なので、規格的形状が
まるで障子の格子にも似ていて、その上をいったんバウンドさせた光が
さまざまに表情を見せてくれる様子というのは、
室内での暮らしのバックグランドとして、日本人文化的だと思います。

このプロジェクト参加のメンバーでも最高齢かも知れない
山之内さんですが、若い見学メンバーからも、
建築的若さ、ダイナミックさを感じたという声が聞かれました(笑)。
ブロック住宅ルネッサンス、若いみなさんにぜひ届いて欲しいと願っています。

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