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【温度差がない設計の自由 鎌田紀彦-堀部安嗣対論】


昨日はジャパンホームショーの行われている東京国際展示場にて
鎌田紀彦-堀部安嗣対論のイベントがあり、取材してきました。
最近になって温暖地でも2020年断熱義務化を控えて、
高断熱高気密への対応が作り手の側で盛り上がってきたようで、
こうしたイベントでも、よく鎌田先生が登場するようになって来た。
とくに今年は、いろいろな催事に鎌田先生が引っ張りだこのようです。

この対論の模様については、詳細に内容をチェックして
ほかのテーマともあわせてまとめたいと思っています。
本日はそういう意味で速報的な報告を。
断熱気密化というテーマについては、いまの「普及」主戦場は温暖地だと思います。
一方で寒冷地・北海道東北は「深化」の段階という違いがあるのでしょう。
鎌田紀彦先生の発言はこれまでの流れのままであり何も変化はない。
ただ、今回の対論相手、堀部安嗣さんのような温暖地の建築家やビルダーさんが
ようやくふつうに高断熱高気密化に取り組みはじめたということ。
対論の中で堀部安嗣さんが正直に答えていたように、
要するに思い込み、高断熱高気密にすると自由な設計デザインが
制約を受けるのではないか、ということへの
「なんとなく」の拒否反応レベルだったとの告白。
そういった段階を乗り越え、堀部安嗣さんは、いごこちとか、
目には見えないけれど決定的な「環境」要素も設計できるようになって
より高レベルの住環境をユーザーに提案していけると実感しているという。
とくに、これまでの設計ではたとえば建物北側の温度低下を無意識に
設計要素としてアタマに入れ与条件と考えていたけれど、
高断熱高気密化することで、家中の温度差がなくなるという「自由度」を
大きく認識するようになった、と発言されていた。
そういう「制約」が設計において排除されるようになったということ。
そうか、と同意できた部分でした。
このような気付きのことについていえば、
北海道でも、高断熱高気密化が進んで「吹き抜け」などの空間設計に
ほぼ躊躇がなくなった時期が数十年前にあった。
それと同質のコトバが、いま温暖地の設計者の認識として
発せられるようになって来たのだと理解出来た。
温暖地と寒冷地の「普及段階と深化段階」という相違が実感できた瞬間。
考えてみれば当たり前のことですが、
ようやく共通の地点に立って論議がはじめられると思わされました。
そうした気付きを持った温暖地の住宅の作り手たちからは、
寒冷地側も大いに「学び」を得られるようになるのではと期待が高まります。
堀部安嗣さんからは住宅建築の古層の知見、技術などへのリスペクトも
発言がありましたが、そういった部分は寒冷地住宅も
大いに学んでいきたいと思った次第です。
結局は日本の住宅が総体として「進化」プロセスにあるのだと思いました。

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