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【北側雪反射光活用のデザイン断熱住宅】


新年がスタートして、当社では各種会議などを開催中。
その一環で、スタッフによる住宅見学を行っております。
住宅は年間で北海道東北で数百棟単位で取材している現状ですが、
やはり現在時点の皮膚感覚を感覚するには、
現場での作られようへの「体験記憶」が不可欠だと思います。

そんななかできのうは北海道の設計者・大杉崇さんの自邸を訪問。
きのうも書いたようにちょうどわたしは「環境住宅」について、
いろいろ取材を進めている最中でもあるので、興味を持ったのは、
表題のようなことであります。
東京で交わされている家づくりのコトバで、
「自然と繋がる」というコトバがあって、その意味するモノが
北海道的な受け止め方と、「東京」的な受け止め方に
ズレや、感覚の違いを意識させられることが多いのです。
わたしども北海道的な感覚からすれば、
周辺環境とその住宅の「繋がり」とは、まさに窓の開け方そのもの。
北海道で家を建てるということは、この気候風土・自然の中、
ある選び取り方で選択した敷地条件を踏まえて
その「環境」が持つポテンシャル的な優位性を最大限に引き出すか、
どのようにその「環境と応答する」暮らし方を創り出すかということ。
そのときに、より自由に「窓を開ける」ためにこそ
「断熱」し性能を強化をするのが、基本スタンスだと思う次第です。
きのうの見学では大杉さんのコトバは、まさにそのまんま。
この家では、北側の豊かな山林の眺望を活かして
それを生活環境の中で最大限に取り込み暮らす意図を持って作っている。
常識的に考えれば、北国で大開口を北側に設置すれば
熱環境的には大きな弱点になるけれど、
そこにこそこだわって、断熱の技術の最先端を注ぎ込んで創意に満ちた
設計意匠を創造させていると思いました。

冬の間、12月から3月いっぱいまでは
この周辺では後背の傾斜地には深い積雪が継続する。
それを逆に利用することで、きわめて安定した反射光が室内を満たす。
寒冷という条件に対して断熱という手法をフル活用していけば
熱的な損失をなんとかクリアさせながら、一方で雪の反射光という
まったく違う価値観を北国の暮らしに取り込むことが出来る。
北海道の冬は寒いけれど、けっして暗くはなく、
むしろこの反射光は、なんども室内でバウンドさせられることで、
あたらしい明るい北国の居住体験をもたらしてくれている。
日本人の「花鳥風月」感覚への新しいデザイン提案ではないだろうか。

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