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北海道の屋根問題の変遷、「雪庇」について

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「雪庇(せっぴ、と読む)」って、やはり北海道だけの問題でしょうね。

北海道人は、雪の問題と住宅問題は同時進行で考えさせられてきた。
開拓期から戦前までは、本州地域で一般的だった瓦屋根だったけれど、
軒先に出来た氷柱を処理したら,それに連れて瓦も一気に滑落して
北海道では初期から、トタン屋根という板金処理が一般的になった。
これは、屋根から雪を落とすことを考えてきたもの。
しかしそうすると、隣家との間に大きな空隙を設けなければならない。
人口膨張した戦後社会で、北海道でも住宅敷地の狭小化が進行して、
鉄板の屋根で落雪させることを考えてきた作り方から、
雪を落とさない、無落雪屋根を選択することが多くなっていった。
それも一般的なM型屋根といわれるダクトで屋根融雪水を落とすものから、
そのダクトが問題多発して、そもそも屋根の雪が融けるのは
屋根の下の断熱施工不良が原因であり、
それを改善すれば、「融雪水」処理は考えなくても良いということから、
屋根の雪を載せたままにする陸屋根形状の
フラットルーフに大きく変化してきた。
そして現在、写真のこの屋根では「雪を載せたまま」は変わらずに
三角屋根形状に変化してきている。
これは屋根の素材に滑雪しずらい素材を使うことで無落雪とするもの。
いまのところ、屋根の進化はこの段階にあると思います。

で、この「雪を載せたまま」というタイプの屋根では
それまでの屋根問題とはまた別の原因と結果として
「雪庇」という問題が発生してきているのです。
雪庇とは、たくさん降ってくる雪と、その時の風向きが影響して
屋根から雪の塊がせり出してくる現象なのであります。
この現象は、フラットルーフ特有かと思っていたのですが、
今回、冬の終わり時期の旭川で、無落雪三角屋根でも、
それも切妻の妻側に、屋根の傾斜方向とは逆の方向に、
雪がせり出してきているのを再発見していました。
なんとなく感覚的に、屋根傾斜がついているのだから、
雪は物理的法則に沿って、屋根傾斜方向に自然に「落ちる」と
想像していたのですが、雪はそうはならないのですね。
雪庇の出来方は、その年の季節風と降雪の両方のファクターが
複雑に絡み合って変化していくので、まことに千変万化。
この家では、たくさんの見学客がくることを想定して
あらかじめ「雪庇落とし」道具を使って玄関上の部分は処理していた。

こういったテーマって、
北海道地域以外のみなさんには、なんのことかと思われるでしょうね。
やや地域偏差的な話題でした。

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