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外断熱の行方

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写真は、ある「外断熱」系のビルダーさんの
より高性能タイプ住宅の壁断熱模型。
Q値が1.0を切る方向になってくると、
必然的に外(貼り)断熱の板状断熱材を厚くする方向から
空洞になっている壁の中にグラスウールを充填する方向へのチェンジが明確になってくる。
板状断熱材をこれまで以上に厚くすると、
第1にコストアップが大きくなることと、
同時に、壁材の保持がより厳しくなってくることが
こういう傾向を強めるのですね。
で、このビルダーさんの場合には、
もともと充填断熱についての技術知識を十分に持っていたので
なんの問題もなく対応できているのですが、
場合によっては、どうすべきか、方向性が見えなくなるビルダーさんもいる。
関東地域では、これまで次世代省エネ基準がQ値で2.7だったのが、
来年早々の改正で、1.9になるということ。
これまで「次世代対応」ということで謳っていたのが、
これまでと同じ対応では厳しくなってくるのですね。
実際に、こうした動きは顕在化していて、
「外断熱」ということで、高額な施工単価でも受注できるビルダーはいいけれど、
そうでもないビルダーさんは、なんとか施工単価を下げるために
充填断熱での高性能住宅ノウハウを
模索しはじめている現実があります。
そこに、この基準の改正があって、方向性が見えてくる可能性があります。
とくに景気の動向がここまで不透明になってくると
単価の下落は避けられないし、
一方では高性能化は、環境の観点からも大きく迫られてくるテーマ。
ことし年末に、FP工法のメーカーさんが行き詰まりましたが、
すぐに外壁材の全国メーカーさんが再建協賛スポンサーとして
名乗りを上げたのには、このような業界事情が内在していると思われます。
今後のマーケットの推移が注目されるところです。
さて、本日もまだ仕事が続いています。
まぁ、しょうがありませんね。
ことしは、まだまだ終わりません(笑)、頑張りましょう!ではでは。
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北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び

父母のこと

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わたしは、父母をもう20年以上前に亡くしています。
長寿社会が実感される昨今ですが、
父母は比較的に早く、父67才、母73才で亡くしています。
ひとの寿命とは計りがたいものであり、
死生観をいろいろに考えさせてくれて、
父母の死は、人間全力で生きるしかない、というような思いを強く刻印された気がします。
そんな父母のことを、そのときに書き残しておかなければ、
と考えて、時間を見ながら、大筋だけ書いておいたものがあります。
母親の葬儀から、3ヶ月以内に書いて
親類縁者に、ホッチキス止めのコピー出版ですが、手渡しておいたのです。
ただ、当時はパソコンをまだ使っていなくて、
ワープロで入力していたので、デジタルデータが残されていない。
っていうか、ワープロの「DOS変換」が七面倒くさくて、
断念してしまっていたのでした。
それで、著者であるわたしの手元にも、その簡易製本のものしかない。
いつか、デジタルデータに入力しなければ、と思いつつ、
そういう時間が取れず、延び延びになっているものです。
で、一計を案じて、
冬休みになった坊主に、「アルバイト」の依頼。
さすがに商売人の息子。
お金と聞いて、目がキリッとしました(笑)。
「お、やった!」というこちらのうれしさを顔には出さないように努力して
値段の交渉。
まぁ、あまり高額には出来ないので、
A5判全60ページほどのもの、ページあたり100円ということに。
親としては、文章というものをきちんと読むための修練とも考えた作戦なのですが、
なんとか、自分から強く望んでの着手となりました。
おあつらえ向きに、わたしの文章には漢字表現も多いので、
「これを使って、確認しなさいね」と、漢和辞典も手渡す。
ニンマリ、2重奏。
というような下心・疑惑ありあり、の作戦ですが、
取り組みはじめてくれております。
入力って、これはこれで、いろいろ考えなければ出来ない仕事なので、
わたしにとっては、一石五鳥くらいの計算になります(笑)。
で、きのう、仕事から帰ってくると
「父さん、ふつう、同志よりも同士のほうが一般的だよね」
「ふむふむ、そうだな」
「1ページ目のところ、同士っていうように入力しといたから・・・」
っていう展開で、わたしの原稿に直しも入れてくれている(!)。
「そうか、ありがとう。その通りだよ(笑)」
「でも思った以上に大変だから、時間ちょっとかかりそうだワ」
「ウン、なるべく早く、でいいから」
というような状況になっております。
そんな、わたしと息子の様子ですが、
やはりおじいちゃん・おばあちゃんがいい機縁になってくれております。
深く、親に感謝している次第(笑)。
<写真は函館平野からの眺め。山の一部が、積雪でまるでビルのように見えていました>
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外壁の芸術

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いやはや、この冬一番という大嵐がやってきましたね。
一昨日夜から、ずっと2日間くらい、
猛烈な状態が続いておりました。朝早くから雪対策です。
石油ボイラーによるロードヒーティングを敷設している
会社の方の駐車場はやむなくスイッチオン。
しかし、積雪がすでに15cmほどは進んでいたので、
4WD車で圧雪させたりして、気長に融雪を待とうとしておりましたが、
なんと夕方になって気付くと、電源コンセントが脱落していたこと、判明・・・・。
まぁ、日中の積雪はそうは多くなかったので、まぁいいか、と。
きのうの降り方は完全に「ブリザード」状態でして、
昼間、車のライトを付けて車道に出ても5m先が見えない状態。
降る、というよりは「吹きすさぶ」という状態でしたね。
しかし、そのほかにも歩道部分の除雪作業もしなければなりません。
取り急ぎ、応急的に通路を確保させて、
あとは出てきたスタッフに任せることにして、今度は自宅。
一応、ロードヒーティング設備はあるのだけれど、
やっぱり、ここ2〜3年前くらいから、反省して手作業除雪のみにしています。
ということで、広大なスペースの除雪作業。
そういう作業が断続しておりましたが、
日中は、今年最後の出社日なのでなにくれと忙しい。
この大雪を押してアポイント時間前に来てくださった来客の方に聞くと
市内の幹線道路で、倒木被害で渋滞も発生しているとか。
そのほか、電線の被害もあって停電も多発したようです。
まぁ、冬らしくていい、とも言えますが、
本当に厳しい状況の今年を反映した最終日でした。
ということで、今朝、ふたたび除雪作業。
まぁ、ようやくにして、嵐は去った様子で、
写真を撮影しようか、というゆとりも出てきた次第です(笑)。
今朝のわが家の外壁の様子です。
角波鉄板を使っている部分は、とくに面白い雪の付着の仕方。
まるで、遅れてきた絵描きサンタさんが
置きみやげにしていったような、すさまじい、というか
自然の造形というか、
なんとも楽しい絵が、あちこちの家に描かれております。
でもやっぱり、サイディングの住宅はこういうなかでも味気ない。
自然な素材の持つ、凹凸や陰影が自然条件を映し出しているのに対して
なんとも無機質な表情で、つらっとしていて、
とりとめも、印象もない・・・、むむむ。
その土地の自然の移ろいを、感受させる要素というのは、
やっぱり不可欠のような気がしますが、さてどうでしょうかね。
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金融危機・経済収縮

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いやぁ、経済は土砂降りに似た状況に突入ですね。
2兆円からの利益を計上していたトヨタが一気に赤字に転落するって、
あまりな暗転ぶりに言葉もありません。
これまで輸出に活路を見いだし、
収縮する国内市場から、海外市場にシフトしてきた日本製造業が
海外の市場収縮で、一気にダメージを受けている。
当座は収縮した市場規模の中で、どうやって収益を出せるのか、
そして、経済の底がどこで打つのか、探る展開になるのでしょう。
そういうなかで、住宅関係も大きな波が押し寄せてきています。
アメリカでは、車を買うにも信用が収縮して
ローンが成立しない、という状況が常態化しているのだとか。
日本でも、住宅ローンが民間金融機関でなかなか伸びない。
相当に審査がきびしくなっていて、
購入意欲はあっても、銀行が及び腰になっている。
竹中さんの主導のもとにおこなわれた、政府機関の直接貸出が局限されたことの
もっとも悪いシナリオが、いま進行している。
政府が経済のテコ入れをしたくても、
その手足になる公的な金融機関が、「統廃合」されて、
いまや直接金融できる機関がなくなってしまっているのに近い。
国民生活金融公庫が、日本政策金融なんとかに変わって、
これまでの直接金融機関は、そこだけに統廃合されている。
これまでは、こうした政府系金融機関がいくつもあって
場合によっては複数から資金提供があり得た。
一元化されて、じゃぁ、貸出枠が増えているかというと
そんなことはないようなので、結果としては政府系資金が極端に細っている。
こんな状況なので、経済が暗転して景気が後退し、
急いで民間に資金を回したくても
その手段がなくなっているというのが現状なのでしょうね。
まことに、「小さな政府」はその通り機能している・・・。
そんななかで、住宅金融支援機構、まぁ、名前が変わったので
わかりにくくなりましたが、
元の、住宅金融公庫ですね。
公庫が直接融資を復活させる方向になってきているようです。
近日中に、アナウンスが出ると言うこと。
確実な筋からの情報ながら、今のところ、伝聞情報。
早く確認したいと思っております。
公庫が間接金融一本に変化してから、
住宅の性能面でも、いわゆる「公庫仕様書」も民間金融機関では理解できているかどうか、
いろいろ問題が出てきている状況だったので、
まぁ、百害あって一利なしではないのか、といわれていた。
首都圏などでは、マンション販売事業者が
自社の経営は黒字決算なのに、顧客のローンが着かない、
運転資金が金融機関からの貸し渋りで円滑にいかない、
っていうような状況から、行き詰まるケースが増えてきている。
金融の信用収縮が負の連鎖の起点になって
経済の運営を完全におかしくさせている。
こういう状況の中で、住宅金融公庫(と旧名に復活した方がやはりいい)の
直接融資は、やはり心理的にも大きな効果を生むと思います。
冷え切ってしまった住宅投資の復元にも
大きな効果を期待したいところですね。
本日は、大雪・大嵐・雷のなかでのブログ更新、
テーマも、なんかふさわしいものとなりましたねぇ・・・、ではでは。
<写真は東京ビジネス街出勤時の様子>
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窓のデザイン

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写真は帯広市内で見た住宅の様子。
ツーバイフォーの壁に丸い穴を開けている窓です。
左手の四角い窓のように
「外の風景を切り取る」という感じはなく、
さりとて「外から光を導入する」という用に似合っているとも言えない。
内部からも、外部からも、そのデザイン性を楽しむという
用途にもっとも近いのではないかと思われます。
最近の若い年代のひとが作る住宅で
このような志向性の窓の開け方が出てきていると感じています。
住宅はもっとも根源的な意味で
そこに暮らす人たちを映し出す一種の表現物とも言えますから、
生活の価値観の中で、このような部分も必然ではあるかも知れません。
現代の住宅は、現代人が暮らすものですから、
現代の暮らしというものが、
このような「遊び」感覚を持っていることも表している。
機能性というよりも、遊び感覚に近い。
ただし、作る側から見れば、
こういう窓を材料にした表現ではあると思う。
このような方向性を持った家は何軒か見てきています。
こういう窓による空間の変化とか、印象が、
ひとつの生活背景表現物を構成している、という感覚。
窓の形や、光の入り方、その変化など
表現方法と考えたら、いろいろな表現に膨らんでいく可能性はあります。
ただし、建築の手間などは確実に増えるので
性能要件から見れば、マイナスにしかならない。
まぁ、昔の家でも高級住宅では円窓がよく作られていたので、
ずっと簡便に壁に窓を開けることが可能になった時代なのですから、
そう大きなマイナスと考える必要はないのかも知れませんね。
ただし、このように窓を造作するのであれば、
「表現物」としてのひとからの鑑賞眼とは
真っ正面から立ち向かっていく必要はあると思います。
ひとつの表現として、審美的な観点からの評価を受けることを覚悟する必要はある。
自由に開けられると言うことは、
同時にそういった一種の責任からは逃れられなくなると思います。
っていうことですが、
こういう傾向がさて、今後どのように進んでいくものかどうか、
ウォッチしていく必要はあるでしょうね。
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デザイン炊飯かまど_2

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どうも、かまどという台所装置を見ると
つい、目が点になっていく。
写真は昨年取材した宮城県の古民家再生の住宅で見たもの。
これも実に立派なんですよね。
床に近い部分は、まるで家具のように重厚な木で仕上げられている。
かまど自体は土で塗り固められて造作されたようです。
この家は、仙台伊達藩の大きな輸出(といっても江戸への)品であった、
寒冷地木材、杉や松といった針葉樹構造材を管理していた家柄。
そうした家格が維持され、いまに至るも
そういう家業を意識しながら暮らしている、というあたり、
北海道から取材に来ると、絶句してしまう部分なのですが、
そういう家の伝統のようなものから
使われている素材は、立派な材がふんだんに使われておりました。
そんな家格に見合うような「かまど」という
意識もきっとあったのでしょうね。
江戸期から続いている家ですが、
このかまどは明治の頃のものだそうです。
明治とは言っても、こういう技術の世界では継続性が高かったでしょうから、
江戸期から、このようなデザイン性を強調した
まるで、システムキッチンのような仕上げが意識的に存在していたのだろうと思います。
このように考えると、網野善彦さんの書かれる常民史のような世界の
暮らしの道具の歴史的変遷というものも見えてくる。
生活道具の中で、
命をつなぐという意味で、もっとも精神性が込められそうなのも
やはりかまどということになるのだと思います。
お米を炊く、というのは精神を込める、というようなこころの動きがあると思うのです。
この写真のかまども、今回の再生工事がきっかけで、
きれいに磨き込んでみたのだそうですが、
それまではただ黒いだけの飯炊き装置そのものだったのが、
このように仕上げてみたら、一級工芸品的な輝きを見せて、
施主さん自身もびっくりしたと言うことなのだそうです(笑)。
なかなか、奥行きの深そうな世界がかいま見えますね。
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龍の天井画

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写真は、関東鎌倉の建長寺の一堂の天井画。
昔の都市の成り立ちとか、機能とか、
いろいろ興味が募ってきています。
都市と権力、宗教施設の関係など、いろいろ調べているところ。
鎌倉というのは、関東の武士団が王朝の首都、京都に対して
まったく独立した政権を樹立して造営した武家の首都。
で、前九年・後三年戦役から藤原氏による平泉都市建設を
間近に見て、それに深く影響を受けて
頼朝はこの鎌倉の建設を進めた。
その権力後継である北条氏に至っては、
奥州の北方圏交易の利権によって、その権力基盤を固めたと言われている。
どうも、藤原氏平泉の光景は、鎌倉に基本的に受け継がれてきていると思える。
権力を握ると、
鎮護国家思想として、仏教なり、神社なり、
宗教施設の祭祀を司る、というのが洋の東西を問わず、一般的。
そう考えると、藤原氏平泉のあの荘厳無双な宗教設備は
どれだけの気宇壮大な権力規模だったのか、
想定するにあまりあると思えてきてなりません。
で、だいたいこういう都市建設では
龍が何匹か、描かれるのが一般的に多い(笑)。
というか、東洋的な風水思想の発露として、
都市の発展を願って、龍が何本か、空に登っていく地、という考えがある。
鎌倉という都市を建設する都市計画のなかで、
中心的仏教施設と考えられたこの建長寺は
行ってみてびっくりするほどの広大な寺域を誇っている。
まさに都市計画の中で、中枢的な意味合いを持っていたと思われる。
そういう表現が龍なのだ、とも言えるのでしょうね。
龍は想像上の生き物だけれど、
であるだけに、なんとも楽しい想像力が発露している。
俵屋宗達の国宝・風神雷神図のように、
現代のマンガ表現につながってくるような、楽しさがいっぱい。
ニッポン人の想像の世界って、
どこか通底していると感じられる部分があって、
面白がっている次第です。
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北斗遺跡

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おととい、やっとの思いで撮影してきた
北斗遺跡であります。
どうも様子を見てみると、12月に入って内部公開は
止めているようで、板戸が閉められ、鍵も掛けられておりました。
国の指定する史跡であり、
保存の意義からして、当然の処置と思います。
内部については、できれば電源機器などを持ち込まない限り
満足には撮影できないだろうと思っていたので、
まぁ、やむを得ないと了解できました。
ことしも実にたくさんの住宅を見てきましたが、
この家々(復元遺跡なので、?ですが)は、そういうなかでも格別。
現代住宅は実にさまざまな「材料」を使って建てられる。
その多くは化学製品を使わざるを得ない。
建材ということばに、わざわざ、「新」という言葉を付けて
化学処理した建材を使う。
室内の温熱環境をコントロール可能なものにするために
壁の室内側にビニールシートで「気密層」を作る。
また、壁の中にはガラスを繊維状に加工した材料を使う。
このことは、現代技術では、仕方のない選択だと思う。
しかし、それ以外では、できる限り、自然とともに呼吸できる素材を使いたい。
そんな思いを持って、現代住宅を見つめている。
この家々は、そうした思いから見つめ返したとき、
まさに極限的にシンプルな素材で、
しかも、可能な限りの知恵と工夫で
きびしい自然条件と戦ってきていた、先人達の思いを伝えてくれている。
まずは、竪穴という言葉そのもの、
地面を掘り込んで、柱を立てる穴を造り、そこに掘っ立てで柱を立てる。
その柱に対して、横架材を交差させ、やわらかいシナの木の樹皮などで
縛り上げていく。
そのように構成された軸組に対して、
茅束で屋根とも、壁ともいえる面を掛けていく。
そこでもやわらかい樹皮を使って、茅束を「編み込んで」いく。
屋根頂部には、雪割りを意識したものか、
樹皮を裏側にして被覆した木材が渡されている。
このような造作された内部では、
いろりによる暖房、かまどによる調理装置が作られている。
暖房装置は、掘り込んだ土壌に熱を貯えるように機能して、
たぶん、極寒期でも、一定以上の温度環境を作り出せていただろうと
推測できる。
数少ない自然そのままの素材を使って、
しかし、なんとも合理的に、
知恵と工夫で、生き抜いていくたくましさを感じる。
こういう姿に、「わび」を感じるのか、生きるバイタリティを感じるのか、は
見る人によって違うだろうと思う。
確実にこれは「わび」の精神に通じているとは言える。
だがしかし、そこには、必死な生存への思いの方が強烈で、
精神文化、というゆとりは生み出せなかっただろうと思う。
それでも、作られていた土器の中に、深い精神性を感じる瞬間もある。
そんないろいろの思いを
感じさせてくれる、家々だったと思う次第なのです。
これからも、訪ねることが多くなりそうな予感を持っているところです。
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往復700kmドライブ

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ことしもあと残すところ、旬日。
仕事もようやくメドが見えて、どうしてもことし、もう一度行っておきたい場所へ、
早朝、家を出て車を走らせておりました。
目的地は釧路周辺の北斗遺跡です。
前回行ったときには、デジカメを忘れてしまっていたのですが、
あまりにも鮮烈だったもので、
どうしても自分のカメラで撮影しておきたかったのです。
往復では700kmを越すドライブなので
土日で、ゆっくりと考えていたのですが、
札幌は冬にめずらしい雨。
それが、徐々に日高山脈に近づくにつれてみぞれから、
写真のトマム周辺、
さてどの辺やら、最近通ったトマムから道東への高速道路へ向かっていく道の途中です。
ここまでたどりつくと、ブリザードふきすさぶ、
真冬の素晴らしい光景が襲ってまいりました(汗)。
あまりにも懐かしい(笑)光景なもので、
つい絵になりそうな場所で車を止めて、カメラを構えた次第。
本当はそんなのんびり出来る状況ではなく、
ワイパーに雪氷がくっついて膨らんでくる。
前面の状況がハッキリ確認できなくなる。
積雪が猛烈で、除雪の追いつかない道はハンドルが横滑りする。
やむなく道路中央寄りを走行していると
同様に走行してくる対向車がカーブの地点で発見され、ハンドル操作に注意を要する。
へたに停車すると、場合によっては危険な状況なので
天候の回復をやり過ごす、ということも出来ない。
っていうような冬道状況に、飛び込んでいってしまいました。
まぁ、北海道育ちですから、慣れてはいますが、
夏場にしか、この道路は通ったことがなく、
状況の一変したこのような状況を走るのは初めてでした。
なにせ、勝手知った国道274号線と違って、
案内標識も少ないし、なんといっても道路が路肩も狭く、カーブも多い。
これは冬場、吹雪の状況では危険な道路だと認識した次第です。
なんとか、トマムまで到着して
ガソリンスタンドでワイパーの氷を解凍するスプレーなどを
さっそく使用して安全確保策を施して、事なきを得ましたが、
ちょっとあまりにも不用心だったと深く反省。
道東に入っても、十勝では軽い降雪も続きましたが、
釧路圏では青空も覗いておりました。
っていうようなことで、
写真撮影を1時間ほどおこなって、目的は達成。
で、緊張を日帰り温泉・山花温泉に入浴して一服。さてどうしようかと考えたら、
まだ時間も2時と早いということで、
予定していたホテルをキャンセルして、
まっすぐ札幌に帰ることに。
さすがに帰りには、積雪状況の夜間ということで、同じ道は避けることにしました。
結果、強行軍での往復700kmの走行。
時間にして、15時間ほどのロングウェイドライブの1日でございました。
さすがに本日は、ぐっすり、疲労回復に努めておるところです(笑)。
でも、あんまり若くないので、いい加減にした方がと、深く反省しております。
ふ〜、やれやれ。
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沈黙が支配する季節

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寄る年波、ということでしょうか?
ごくなにげない風景やことがらに無性に思いが募るときがあります。
以前ならば、そう感じもしなかった北海道の冬景色。
どこにでもあるような冬の寂寥たる景色にこころが騒ぐ。
っていうようなことを感じておりましたら、
おとといのJIA出江寛会長のお話の中の一節がこころに飛び込んできました。
優れたデザインの中には、沈黙が仕組まれている・・・。
というべきなのかどうか、
そこまで言い切っては、出江寛さんの論旨をはずれるかも知れませんが、
文化性を持った都市には、かならず沈黙が支配する空間が豊かに存在している
というご意見でした。
京都の龍安寺石庭などを例として示されていました。
そしてそこから、日本デザイン文化の持つ、
「間」の文化と、「対比性」にも触れられていて
氏の設計の根源的な考え方が、目の覚めるように見えた瞬間でした。
出江寛さんの感じられている「沈黙が支配する」街として
京都・奈良・倉敷の3つの都市が上げられていました。
それぞれに、深く納得できるお話しだったと思います。
しかし、
北海道の寂寥とした冬の季節、その景観を
目に焼き付けながら育ったものとしては、
そのような人間の作り上げた世界を超えて、
この、ごく身近に感受できる場所に、ことばそのまま、
「沈黙が支配する」空間世界が、
わたしたちを包み込んでくれていると感じてしまいます。
写真はつい先週、ふと訪れた支笏湖の景色。
冬枯れた世界、凍り付く直前の光と影の世界です。
豊穣なモノクロームの世界、とでも言える世界なのではないかと感じます。
しかし、都市としての札幌には
確かに、そのように文化的意図を持って、
「沈黙が支配する空間」というものが存在するか、と
問われれば、たいへん心許ないと言わざるを得ません。
なにもかも「つるりとした」味気ない近代合理主義的な
「建築材料」が幅を利かせる都市空間だと思います。
さみしい、と言われれば、その通りです。
こういう写真のような荒涼たる世界に似合うような
住宅建築って、やはりどんなものなのかと、
振り返って再び考え込んでしまいます。
以前、リレハンメルでオリンピックが開かれたとき、
それをアピールする環境映像が流され、
そこに存在している素朴な住宅達が、
なんとも言えず人間的でかわいらしかったことを覚えています。
北国の人間を癒す、沈黙が支配する(住宅)建築って、さて?
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