

先日の断熱リノベについてのオープンセミナーでは、
オーソドックスというか、常識的に正調に抜本的に改修した
建築家・山本亜耕さんの事例も発表されていました。
こちらの事例では、4,000万円かけて新築した住宅だったけれど、
寒くて光熱費がかかりすぎて、今回減築した上で
断熱リノベしたという事例でした。
おおむね2,000万円かかったとされていましたが、
工法としては、既存建物をていねいに解体して、
現代的性能にまで高める、いわば建て替えに等しいような事例でした。
こちらの方は手法的に現代住宅技術として常識的なものでしたが、
目を見張らされたのは、その「既存解体」の過酷さ。
前面道路幅員などの現場条件的に解体のための機械を使用することが出来ず、
現場での手作業での解体を余儀なくされたと言うこと。
上の写真では、電動釘打ち機で打ち込まれた木材へのクギが
建築時にはきわめて簡単に施工できる利便性はあるけれど、
いざ手で解体、クギ抜きするとなったときには、
そういった事態への想像力がまったく働いていないのが現実。
ほとんど不可能なまでになっている事実を思い知らされる。
山本さん曰く、電動釘打ちが開発されたのなら、電動クギ抜きも
同時に開発するべきだということでした。
たしかにその通りで、建築技術進歩に於いては建設時コスパにだけ
合理化基準が追究され、作業効率進展が図られてきた。
しかしスクラップ&ビルドから、ストック重視型へと国レベルの
住宅施策が変化してきているのに、こういう工具レベルですら
なんの「対策・制度設計」も講じられていないことを明瞭に知らせてくれた。
さらには2枚目の写真ですが、これは廃棄物の分別作業の様子。
日本ではある時期から、ゴミの分別化が声高に叫ばれてきたけれど、
その結果というか流れとして、放置された空き家が増大してきた。
いま古家を解体するには、百万円〜数百万円以上のお金が掛かるのが常識。
ゴミの分別自体の必要性は十分に理解出来るけれど、
では、社会的要因において空き家にせざるを得ないなかで
ただただマイナスでしかない出費をほんとうに個人は負担し続けられるのか。
先日もNHKローカル放送でその出費を強いられた高齢者のことが
放送されていたけれど、こういう負担が永続するのは現実的だろうか?
そうであれば、保険制度のように建設時や居住時に税として解体費を負担させ、
収入も限られることが展望される高齢時には、一時負担を縮小させるような
そういった社会制度、システムを構築すべきではないか。
空き家の現状に対してそういった解決策を考えられないのだろうか。
いま個人情報保護法が、いろいろな意味で
社会に不合理を生み出す結果も出来させてきているとされている。
場合によっては合理的社会営為に於いて障害になってもいるとされる。
どうもこのゴミ分別も似たような、通ずるものを感じざるをえない。
手間を異常にかけて処理せざるを得ないけれど、
それがかえって処理をさせない不合理を生んでいるというパラドックス。
存続のための合理性が担保できない方向に、社会が行きすぎているかも。
ちょっと暗澹とした思いを持った次第です。
Posted on 12月 13th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング | No Comments »


さて土日は、猛烈な60センチ超という大雪に見舞われた当地・札幌。
写真は、それへの対応2例であります。
上は業者さんに除排雪をお願いした事務所前面駐車場の様子。
こちらは、面積が60坪ほどあるので、
こういった集中豪雪の場合には、やむを得ない対応。
たまたま、土日の大雪だったのでスケジュール管理の心配もなく、
業者さんもなんの気兼ねもなく、ノビノビ作業していただけて、
時間的にはおおむね2時間以内でスッキリ解決しておりました。
一方、下はわが家の事例ですが、こちらは夫婦2人で、
おおむね15坪ほどの建物前面スペースを、えんやこらと除雪。
わが家は前面が中学校のグランドに面していて、そっちに向かって
堆雪スペースがあるので、作業としては雪の移動であります。
クルマを露天で駐車しているので、適時移動させながら、
除雪作業、だいたい1回1時間半くらい。
土曜日はこの作業が2回という過酷なものでありました(笑)。
前日から肩こり発症のカミさん、この作業では特段問題はなかったのですが、
終了後、日曜日には揉み治療屋さんにて施術を受けていました。
わたしは、全身にややハリが感じられたので、温泉治療(笑)。
おかげさまで、日曜日はゴロゴロと寝て過ごしておりました。
なんですが、スタッフが1名、東京・仙台への出張から
土曜日の飛行機が全便欠航という事態に巻き込まれた。
電話で連絡を取り合い、土曜日は仙台にて宿泊し、日曜日に振り替え。
ところが、日曜日のフライトも「場合によっては旭川への目的地変更」
という条件付きで、「それなら新幹線〜列車移動にするか」の相談。
結果としては、無事に新千歳に着陸できて帰還できました。
まことに、大雪対応はいろいろ各種発生いたします(笑)。
で一方、わたしの情報発信への反応も各種発生。
なぜか、ときどき炎上状態を呈するわたしのブログでありますが(笑)、
案外こういう炎上(?)が面白い効果を生んだりもします。
以前、新建築住宅特集さんの「環境住宅特集」に意見表明したところ、
東京その他全国から各種反応があったのですが、
年末に至って急遽、面白い反応が出て参りました。
なんと中心になっていた方から北海道視察・対話の申し入れ。
年の暮れと言うことで、スケジュール的には難しい時期ですが、
いろいろアセンブルして今週は、東京・中央との対話機会を企画しています。
また、2回にわたって掲載した北海道科学大学教授・福島明先生の
「通気層閉鎖・直接外張り断熱リノベ」手法へも
いろいろな反応が出てきております。
この手法はあくまでも既存建物が高断熱高気密であること、
その建物の「断熱リノベ」であるので、工法としての通気層の否定ではありません。
この点は、しっかり確認しておきたいと思います。
これらの反応にも誠意を持って対話の場を心がけたいと思います。
決して炎上商法(笑)ではありませんので、よろしくお願い申し上げます。
Posted on 12月 12th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング | No Comments »


さてきのうも福島明・北海道科学大学教授の提起された
「直接外張り」断熱リノベ手法についての投稿を予定していたのですが、
トラブルがあって、1日空いてしまいました。
ことしの春にこの工法の現場見学会が札幌から小1時間の仁木町で
開催されたのですが、残念ながら道外出張で参加できなかった。
これまでの北海道の断熱技術蓄積でも基本になってきた、通気層を閉鎖し
住宅改修での熱性能向上を狙って断熱を外側で強化するとされた。
20数年前には高性能住宅とされた建物も、すでに更新時期を迎え
より簡便な断熱強化は焦眉の課題だと思われてもいるのだと。しかし、
「それでいいのか」という大きな疑問が当然のようにわき起こった。
しかもそれを、これまで断熱手法開発を先導されてきた福島さんがやった。
ということで、非常にインパクトがあるのですね。
常識的な「通気層の役割」は、下の図のようなことで、
暖房され加温された室内側から、防湿層を万一透過した湿気が、
断熱層の外壁側で結露を起こす可能性を防ぐ役割として
通気層工法が開発されてきたという常識。
それに対して、北海道ではすでに多くの住宅に於いて
きちんとした防湿層が担保され安定的な高性能住宅が実現している。
そうした条件の住宅であれば、大胆に通気層を閉鎖して、
壁の熱損失をもっと押さえようという実験的な取り組み。
既存構造に対して付加断熱していくので、
なるべく軽量な断熱材・外装材が不可欠とされたけれど、
それは現代の技術発展で容易に選択可能になってきている。
それこそ通気層工法がしっかりされて、構造材腐朽なども可能性が低い。
前北総研副所長としてこういった北海道の住宅技術レベル把握から、
今回の試行はあると言えるのだと思われます。
その意味では全国的にどうかといえば、不明な部分は多い。
通気層閉鎖時の熱性能の実験結果も上の写真のように示されていた。
これによると、通気層を空気が移動することでの熱損失と、
一方で通気層閉鎖での熱性能向上が明瞭にデータ開示されていた。
Eは、既存の状態。Dは、通気層をそのままにして断熱だけ強化した場合。
Cは上下端で通気層を閉鎖した場合で、
Bは上端で通気層を閉鎖した場合、Aは下端で通気層を閉鎖した場合。
それぞれでの熱損失の様子がハッキリしている。
すでに北総研でこういった試験は試行されてもいた、ということ。
このサーモグラフでは下端部分で熱損失が見られますが、
福島先生によると、これは試験体が外側断熱層と室内側の位置レベルが
間違っていたものであり、大きな瑕疵ではないとされていた。
本来の水分放散目的では、すでに防湿層技術が大きく向上し、
現実的には通気層で空気流動させる意味は薄らいでいるということ。
であれば、より大きな問題は熱性能の低下対策としてこれを閉鎖し、
断熱強化していくべきなのではないかという考え。
通気層は上でも下でも、あるいは上下閉鎖でも効果は大きくは違わない。
福島先生としては、上端閉鎖が合理的と考えられているとのこと。
この提起に対していろいろな反応が寄せられています。
外部雨水侵入排除の通気層の機能はどうなるのか、というご意見も。
また、現在の住宅性能論議が設備選択の方に大きくシフトして
ほとんどがシミュレーションでの論議になってきていることに対して、
北海道の断熱技術をリードされてきた立場から、
むしろ革新的に工法論議のさらなる進化を目指しているのではないかと、
そんな感想を述べられる方もいました。
すでに北海道では既存外壁の下端だけ、もしくは上端も剥がして
圧縮グラスウールを挿入し気流止めとし、その部位に構造合板も補強して
断熱と同時に耐震性も向上させる技術が開発されていますが、
この工法がなかなか普及が進んでいないということも、
福島先生的には大きな要因になった今回の提起のように思われます。
道内の若い世代の研究者のみなさんからも反応が大きく、
そうした技術進化の触媒になっていくような予感もしてきています。
地域住宅メディアの人間として、その思いには大いに賛同する次第です。
Posted on 12月 11th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅性能・設備 | No Comments »


やれやれ、であります。
きょう10日土曜日2本目のブログ書きであります(泣)。
というのは一度アップしたのですが、致命的なミスがあり、
元となる参照データの取り違えをしてしまったのであります。
いやはや、あぶない。
幸いにしてアップして2時間後、この記事に関係していた建築家の
山本亜耕さんから指摘をいただき、ミスに気付いた次第です。
すでにFacebook上では40人近くの方から反応もいただいたのですが、
お詫びして、当該ブログを削除させていただきました。
アップした記事は昨日の「直接外張り断熱リノベ」のコスパについてのもの。
追って、この件については再掲載したいと思います。
まぁまことに情けない次第ですが、
それでも短時間で対応できたのは、不幸中の幸いだと思っています。
お知らせいただいた山本さんに感謝であります。
ということで、本日2度目のブログ挑戦となった次第。
ふ〜〜やれやれでありますが、そこに追い打ちのような
猛烈な降雪の到来であります。
きのう夜までとは打って変わった津々たる雪の降りようで、
朝方6時前から大汗で雪かきし終わったのですが、
一向に天候回復の兆しは見られず、
この調子では本日1日中、降り続きそうな勢いが感じられます。
先ほどから気象台からは札幌地方、大雪警報発令中とのこと。
今朝は4WDの愛車VEZELも、チョット動かしてみて、
あんまりムリも出来ないような足下回りの感じがしていました。
体感的には50-60cm程度の降雪はあった感じ。
事務所の方の除雪については、さっそく専門業者さんに手配。
幸い土日なので、二日間のウチによろしくと手配も余裕があってよかった。
で、わが家の方は体力の消耗を避けつつ、
2度3度と除雪作業をしなければならない雰囲気であります。
しょがないやるか、であります。ふ〜〜。
Posted on 12月 10th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 「都市の快適」研究 | No Comments »


さてきのうは既報のように、断熱手法について
北海道科学大学教授・福島明先生が投じられた一石、
「直接外張り」改修についてのオープンセミナーが開催されました。
折から国交省が既存住宅へのリフォーム促進政策という後押しがあり、
また金融支援機構さんからは、フラット35リノベという追い風も吹いている
断熱リノベですが、その手法について論議が期待されていた。
そんななかで、福島氏の取り組みには全国的にも大きな関心が寄せられた。

なんと全国から80名超という参加者。
南は京都工芸繊維大学の芝池英樹先生まで参加されました。
東京からも建築知識ビルダーズの木藤編集長も取材に。
冬の北海道ですが、断熱のおかげで大賑わいであります(笑)。
ということで、開始早々から福島先生から、直接外張りについての
趣旨説明〜工事手順の開示が行われていました。
断熱リフォームはコストを掛けちゃいけない、という考え方の手法です。
ただし、当然ですが既存の建物がどうであるかが
一番のポイント。その見極めがプロとして必須。
幸い北海道には、そういった経験値の高いプロが豊富に積層している。
この対象建物は大手ハウスメーカーの中では高性能住宅でよく知られた
物件です。構造も2×6工法で通気層工法も施工されている。
そういう基本条件から、今回の断熱材の直接外張りがされた。
工事としては、既存の通気層を上端で閉鎖し下端は開放する。
その上で板状のプラスチック系断熱材を60mm付加断熱し、
それを軽量なプラスチック系外装サイディングで被覆するというもの。
瓦の留めつけに使用する120mm程度のビスで
既存外壁に対して直接外張り断熱としていくもの。
2×6工法の構造合板に対して揉み込んでいくので、
在来工法の間柱・柱への揉み込みよりもずっと簡便だったということ。
このビスのアタマには余計なものが付いていたので、いちいち外して
施工したと種明かしもされていました。
既存外壁もあんまり平滑とは言えず、調整もしたという報告。
「え〜。通気層止めちゃうんですか?」という会場からの声。
そういう疑問に対して、もと北総研副所長である福島先生の方から、
そもそも通気層は万が一の室内側からの湿気排出が目的で、
それもその水分量はごくわずかで、どこかで開放箇所があれば、
目的には十分合致するとされていました。
また気密層の位置・認識についての質問やり取りも。
で、こうした工事についてのコストは小住宅ということもあって、
250万円ほどとされていました。
すでに断熱の工法が固まって以降建築の住宅も多数あり、
それらも改修の必要性が出てきているなかで、
まさに業界に一石を投じる事例だと思われました。
その後、今度は建築家・山本亜耕さんが取り組んだ
それこそ既存住宅を解体して抜本的に改修した事例紹介があり、
福島先生と山本さんの対論へと進展していきました。
この対論・対話は、時間を忘れて参加者も巻き込んで懇親会などでも
延々とトークバトルが展開されていました(笑)。
今後とも、この断熱手法論議、ウオッチしていきたいと思います。
Posted on 12月 9th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅性能・設備 | No Comments »


さて、北海道の工務店グループ・アース21での勉強会の模様です。
ZEHにどのように対応していくべきか、
さまざまな取り組みがなされていますが、札幌地区でのZEH事例発表。
今回は大洋建設さんの事例からであります。
ZEHの概要とは、暖冷房・換気・給湯・照明エネルギーについて、
敷地内で創出する再生可能エネルギーでキャンセルさせること。
定義とすると以下のように要旨が謳われている。
1 外壁強化基準を満たした上で、Ua値 0.4以下(1、2地域)
2 外皮性能強化で、基準1次エネルギー消費を20%以上削減
3 再生可能エネルギーを導入する
4 再生可能エネルギーで基準1次エネ消費から100%以上削減
<NearlyZEHでは75%以上の削減>
これに対して、大洋建設さんでは、
<木造1部2階建て延床面積 121.73m2>の住宅で、
以下のような仕様、要件で住宅建設していました。
1 外皮性能は、Ua値 0.24w/m2
2 年間1次エネルギー削減量 137,776MJ/年
3 年間1エネ削減率 84.4% <要件75%以上でクリア>
4 PVを除く1次エネ削減率 57.2% <要件20%以上でクリア>
5 搭載蓄電池容量 5.6kwh
6 搭載太陽電池 4.88kwh
<パワコン、HEMSはオールインワンタイプ採用>
そうした結果として、以下のような結果。
・暖房エネ 基準110,912MJに対して、28,908MJ
・冷房エネ 基準689MJに対して、1,040MJ
・換気エネ 基準4,596MJに対して、10,785MJ
・給湯エネ 基準30,746MJに対して、20,372MJ
・照明エネ 基準16,187MJに対して、8,537MJ
・その他エネ 基準21,211MJに対して、21,211MJ
太陽光発電発電量 評価量 16,799MJ <参考/総発電量 44,324MJ>
ということから、基準1次エネ消費量 184.4GJに対して
この発表住宅での設計1次エネ消費量は、74.1GJが達成されてフルZEH。
で、めでたく達成されているわけですが、
実験住宅として取り組んでいるのは、太陽熱集熱システム利用の方。
今回の申請では、「計算除外」としている。
これは、各種の計算根拠からして環境要件が整理されていなくて
正確に計算することが至難とされているのだそうです。
ご存知のように、北海道札幌では積雪の関係で
太陽光発電に対しては積雪期の稼働が難しい条件もあって、
むしろ太陽熱集熱システムの方が、設置箇所の工夫などで、
よりコスパが高くなると思われるのですが、現段階では難しい。
で、写真はZEHの「報告書」に添付する「写真」の撮り方教室(笑)。
ゼネコンでもない一般の木造住宅会社では
こういった「工事記録写真」撮影に慣れていないので、
なんどもお役所からダメだしされたそうです。
そして、下の写真は各種提出資料の「控え」バインダーですが、
書類厚みは、約3cmくらいはあったようです。
こういった事務作業、トータル人件費計算としては
約50万円くらいになるのではないかという推定でした。
他にも1件、こちらは現状報告でしたが、これら報告に踏まえて、
さらに今後の動向予測などいろいろな情報交換ができました。
一般的に温暖地に比べハードルの高さが言われる寒冷地ですが、
今後もZEHの動向、チェックしていきたいと思っています。
Posted on 12月 8th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング | No Comments »


さてきのうは悪天候、吹雪模様の中、
地域工務店グループ・アース21札幌例会での住宅現場見学。
最初は話題の「デシカ」エアコンなどの展示されたダイキンさんショールーム。
ダイキンさんというと、拙ブログではダクト式エアコンをご紹介していましたが、
どうも一般的には知れ渡っていないらしく、展示はありませんでした。
暖房装置としてのエアコンへの北海道の作り手の意識は
どうもあまり積極的とはいえない雰囲気のような気がします。
現状では、いろいろな選択基準を重ねていって、
結果的な消去方的な選択にとどまっていて、
「デシカ」機能のような「調湿」への関心など、弱く感じられました。
その後は、吹雪の天候をついて雪中行軍。
札幌例会ですが、正しく言えば「札幌圏」例会といった方が正解。
札幌圏というのは、札幌190万人都市と、周辺の都市群、
人口規模約250万人経済圏での住宅見学になります。
札幌は若いインターナショナル系の街だと思う。合理主義が支配的価値感。
おおむね単一の経済圏として、よくマーケティング実験のエリアになる。
住宅マーケットに於いても、いろいろな意味でこれはいえるのでしょう。
定住的な歴史が140年ほどしかなくて、いわゆる生活文化伝統が少なく
住宅の歴史としてはむしろ、北米様式スタイルの方が、
近縁的なものとして感覚されるようなベースが存在している。
1枚目の写真のような透明感のある自然環境が特徴的なので、
日本と言うよりも、合理的インターナショナル志向の方が強い。
一方で都市圏としては、首都圏とも似つかわしい感性マーケットでもある。
そういうマーケット的特性があるのではないかと思っています。
で、きのうは一両日続いた温暖から一気に寒冷になっていたので、
住宅見学でも、意識として暖房に興味が向かっていた。
1枚目の写真のような「空気感」とは、
外気温が当然零下を超えて下がっている、なお雲の感じを見れば、
それは雪嵐のような気配も持っていて、しかし晴天時には、
透明感の高い天地が表れるというような変位を見せる冬を持っている。
で、暖房にも文化性があると気付いてきているかも・・・。
久しぶりに「輻射暖房」の住宅を見た次第。どうも最近は
エアコン1台みたいな、コスパと機能性優先の事例を見続けていた。
北海道人にとって、やはりこの「伝わってくるぬくもり」は
このような様相の冬のなかで住宅が備えるべき暖房装置としての
「品質」を感じさせられます。
こういった「輻射」熱は、エアコンの「空気」を暖めるという品質と違って
人間の肉体、カラダに伝わってくる感があって、
なんとも「癒やし」を感じさせられるという実感が迫ってくる。
輻射の熱が、生体にもたらす効果について、
あらためて再確認させられたような気がしました。
Posted on 12月 7th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング | No Comments »

きのうはある会議で、北海道外出身者3人との話し合いになりました。
あ、ひとりはアジアの外国のひと。
他のふたりは、どちらも関東圏のひとであります。
話は主に、北海道での冬の「楽しみ」ということだったのですが、
話しているウチに、大きな相違点が浮き彫りになってきて面白い。
「冬になって、毎日雪かきするなんて、よくやっているなぁ」
というような実感を持っているというのです。
・・・が、どうにも違和感を禁じ得ない。
北海道人は、確かに口を開けば「また雪かよ、参ったなぁ」と愚痴ったり、
除雪について、その大変さをなんとか軽減したいとも理性的には
十分に思っている。けれどじゃぁ、無性に忌避しているかというと、
その辺の感覚はどうもまったく違う気がする。
とくに北海道の雪は、含有湿度レベルが低くて「軽い」こともあって、
北海道ネイティブ人間にとっては、幼少期以来、
しょうがなくながらかもしれないけれど、雪かきはきらいでもないところがある。
幼児の時から雪が降ってくれば単純に、おおオモチャができた、
っていうような部分も心理の根っこにはあるのです。
北海道人にとって、雪を扱ってそれを片付ける行為は、
神が与えた「罰」というようには、あまり考えなくなるものなのだと。
北海道以外の人にとっては、ある種、罰に近い思いが根にあると感じる。
写真のような「素材のよさ」は格別で(笑)
ほかはとってもいいところだけれど「雪かきって、あれなによ」みたいな。
雪かきについては、それこそ人によって感じ方は違うだろうけれど、
それが害悪であり、罰そのものというような受け止め方は北海道人はしない。
「いなす」という言葉がその時、浮かんできたけれど、
柔道などでの「受け身」という感じとも似た、そういう感覚が近いように思う。
単純な雪かき行為そのものは、見方によっては雪遊びの要素もある。
ちゃんとした「堆雪場所」が確保されていて、
そこへのアクセスがそう苦でもないとすると、行為それ自体は楽しい。
降り積もった雪が、自分がそれに能動的に関わることでかたちを変える、
そういった結果が明瞭に出てくるので、面白さの要素も大きいのだ。
片付けた雪かきの結果の光景を、
まるで一個の創作作品的に楽しんでいるという心理側面もある。
もちろん、そういう雪かきがなるべく少なければいいという思いはある。
けれど、無性にきらいというわけでも、もちろんない。
この中間的な心理状態がニュートラルな北海道人の態度であって、
その間を「ゆれ動いている」ということなのではないか。
しかし、そういう気付きを得られるのも、比較対照としての
他の地域ネイティブの人との対話であることも事実。
コミュニケーションは面白いなぁと、独りごちておりました。
ということで写真は、北海道っぽい素の美食、大好き・ちらし寿司でした。
なまら、うまかったんだわ(笑)。
Posted on 12月 6th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング | No Comments »

北海道の地域工務店のグループ・アース21では、
年に1冊のペースで地域工務店の家づくりのポリシー、立場を伝える
オリジナル情報誌の発刊を続けてきています。
サブタイトルは「北海道の家づくりの現場から」。
ことしも年末の発刊に向けて写真のような大詰めの作業。
当社では、この情報発信のお手伝いを継続してきています。
迎えて今年は9年目ですが、来年にはなんと10周年にあたる。
まさに、「継続は力」だと思います。
地域工務店は、地域での基本的な住宅建築の「作り手」であり、
技術的にも経済主体的にも、さらには地域の「製造力」の要としても
もっとも不可欠な存在だと思います。
住宅というのは、結局はその建てられる土地から切り離れては存在できない。
単純に、なにか問題が発生したとき、もっとも役立つのは
その同じ地域に存在する地域製造業としての工務店であることは、
誰が考えても自明なこと。
同じ地域の生活者として、住み手とも同じ目線を持っているので、
気候風土条件について、きわめて至当な技術対応が可能だと思います。
しかし、ながく全国均一であることの方が上位概念であるかのような
そういった価値感が多くの業界・産業領域で根付いてきている現実がある。
南北に長く、亜寒帯から亜熱帯までの気候地域偏差をもっているのに、
「大手」ハウスメーカー優位の市場構造が全国的には進んでいる。
ある地域では7割以上がそうしたハウスメーカーの寡占率とか。
そういった全国的市場構造の中で「特異的」にか、
いやむしろきわめて「先進的」と言うべきだけれど、
北海道では約7割の戸建て住宅を、地域工務店が作ってきている。
残る3割についても、いわゆる地域の「大手」企業が高い割合をもっている。
ようするに住宅に於いては、北海道では「全国共通」という価値感よりも、
「地域に根付いた」という価値感に優越性が認められるようになっている。
このことにはさまざまな要因が与っていると思われますが、
やはり地域の「製造業」を支える技術基盤、高断熱高気密技術が大きい。
気候風土的に圧倒的に「寒冷」であることが、地域企業の追い風になっている。
北海道では地域自治体や研究機関など官学民一体で、
住宅技術についての強い地域基盤、バックアップ体制を作っている。
全国メーカーはたかだか4%程度の市場規模のマーケットのために
全国共通の製造プラットホームを変更したりはできない。
それを変更すれば、そもそも「全国一律」というコスパメリットが喪失する。
こうした地域工務店にとってのいちばんのマイナスポイントは
情報収集力という部分だけれど、このアース21のような
地域工務店の立場に立ったグループでの情報交流が
そうした面での各社の経営力をも高めている。
地域工務店同士はもちろんビジネス的にはライバルでもあるのですが、
情報共有を進めることで、そういうお互いは同時に最大の協同者にもなれる。
このアース21の活動、出版はそれを雄弁に語っています。
そしてその情報について、さらに自らの立場をアピールする活動まで
こうして蓄積してきているということだと思います。
年末の発売まで、もう少し。発売されたら
これから北海道で住宅を考えているみなさんは参考にされてください。
また、全国の同じ立場の地域工務店のみなさんも、
ひとつの情報発信例として、大いに参考にして欲しいと思います。乞うご期待。
Posted on 12月 5th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング | No Comments »

先日、 家づくり最大テーマ 「どう暮らしたいか?」と書きましたが、
そういう暮らし方イメージでいちばんわかりやすいのは、
自然との共生というような暮らし方でしょう。
人間というのは必ず死ぬ。
死ねばその肉体は自然の一部として、自然に帰される。
葬送のいろいろな仕方はあっても、基本は同じだと思う。
自然の摂理として、どんなに王侯貴族になろうが金持ちになろうが、
最後は裸になって物質存在に還元されて輪廻していく。
そんな風に考えれば、自然が生み出しているリズム、
そのなかで一番自分の心象に似つかわしい風景、景観に抱かれて
毎日を送れたら、というのがもっとも心落ち着くのではないか。
写真は、スウェーデンを旅したとき、彼の地に多い湖沼のほとりに
なにげなく建てられていた素朴な建屋に、
「吸い込まれる」ような思いを抱いた。
「あ、いいな、こういうの」というシンプルな共感。
この家はかれらが永い夏休みを過ごすための夏の家だろうけれど、
きっとかれらバイキングの子孫には悠久に繋がるイメージなのだろう。
日本人にはこういう外観カラーリング感覚はあまりなさそうだけれど(笑)
その色使いにしても、ごくシンプルで好ましい。
日本人としてはもうちょっと老荘的な自然の朽ち果てる感が欲しい。
年を取ってくると、ごく普通の暮らしというか、
現代化から取り残されたような限界集落のくらしに想像力も湧く。
NHK-BSなどでは、そういう年齢層をターゲットにした番組が目立つ。
先日のある番組では、トロッコ列車で上っていく終着のような山村で、
駅の維持管理要員も周辺住民に委託している村の暮らしを放送していた。
その委託を受けている方も70歳以上だけれど、
その集落の中ではいちばん「若くて元気」ということで、
郵便の配達業務の委託もながく承っているという。
カメラはかれの日常行動を写していくのだけれど、
かれが動き回ることがそのまま、超高齢化集落での「社会」になっていた。
郵便を届ける、受け取るそのこと自体が、
無上のコミュニケーションであり、その度に縁側での交歓がある。
やがて過疎がさらに進んで朽ち果てていくだろう人間集落だけれど、
ある底の明るい暮らしようが見えたりもした。
人間の顔かたちが似ていても違うように、
「こんな暮らしがしたい」にも、多様性があって当たり前だと思う。
Posted on 12月 4th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅取材&ウラ話 | No Comments »