

きのうの続篇です。
北総研で取材の「寒冷地住宅停電状況」非常時での対応作戦。
お伝えしたように、クルマバッテリーからの宅内への給電についてまで
事前の取材内容を超えた内容でしたが、わたしのブログをご覧いただいてか、
ていねいに調査いただいてJAFの発表資料を示していただけました。
災害時対応でクルマ発電に注目というユーザーニーズは高まっているようで、
JAFでのこの「テスト」結果発表は2018年2月7日とされていました。
きわめて最新のデータとして示されている。イマドキ最前線のよう・・・。
普段まったく使用することがないだろう専用の「発電機」には、
停電対策としては、一般住宅・ユーザー的にはやはり実用性は高くなさそうで、
それよりも普段からその機能を有効に利用できるクルマが
災害時に安全保障装置になってくれることが、望ましいと思われます。
関連してですが、東日本大震災時に首都圏では灯油ポットストーブがバカ売れし、
その後、当然灯油販売が大きく伸びると業界は期待したのに
実際にはまったくといっていいほど売れなかったとされています。
「災害のその時だけ」という使用途のものは、保存したとしても肝心の時
本当に利用されるかどうか、難しいと思われます。
ちなみにたまたま今年4月に引っ越したので、今回の地震・ブラックアウトでは
東日本のときカミさんの実家からもらった「災害保存食」をついに食べた(笑)。
たまたま引っ越しで再発見しなければ、完全スルーだったでしょうね。
やはり災害対応は普段から使っているモノの緊急利用がベストでしょう。
で、JAFのテスト趣旨は以下の通り。
「電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)が災害時の電源供給として
注目されている。駆動用の大容量バッテリーを積み、ACコンセントも装備するため、
家電を長時間使うことができると言われている。
そこで、ハイブリッド車(HV)や一般的な車を含め、
車のバッテリーで家電がどの程度使えるのかを検証した」ということ。
「テスト車は下写真の4台(左から電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、
ハイブリッド車(HV)、一般的なガソリン車とした。」
いまのところはEVはとくに寒冷地では霜取り運転時
過酷なほど走行距離ダウンがあるとされ、普及はイマイチでしょう。
冬道走行も考えると北海道では4WD・ガソリン車が多いことが容易に想像できる。
テストでは「EV、PHV、HVには1,500Wまでの電気製品が使えるACコンセントが
装備されているが、一般ガソリン車には大容量バッテリーとACコンセントが
装備されていないため、車のDC電源をAC電源に変換するインバーター
(定格出力1,000W)を、バッテリーに直接つないで(おお!、これこれ!)
写真の家電製品が使用できるのかを検証した」ということ。
で、結果ですが、1枚目の写真の通り。
なかなかに微妙な実験結果になっていました。
この普通のガソリン車はスズキのSWIFTというクルマで、1000-1400ccの
エンジン仕様で小型車に属するタイプでしょうね。
結果では100Wまでの家電品ではまったく問題なく動作している。
しかし、400Wと800Wの「電気ストーブ」では△印で
「使用できるが、短時間でバッテリー上がりの可能性アリ」とされていた。
ただ、この実験テストではクルマのエンジンはかけていない状態。
で、以下の図・写真はわが家の冷蔵庫の諸元データです。

こちらは180Wと表示されています。
この冷蔵庫に9.6の地震ブラックアウト時には同等クラス車両のフィットから
シガレットコンセント経由で試しに給電させてみたのです。
不安定ではあったけれど、まったく使えないということはなかった。
で、暖房の灯油ボイラー諸元データで必須電力は250W。微妙であります。
車種によってバッテリーの性能には違いがあり、その情報はメーカーに聞くしかない。
しかし想定外の利用方法でありメーカー責任云々もあると思うので
ありのままの情報を得られるとも思われませんね。
あくまで自己責任の範囲内で「実証実験」してみるしかなさそうです。
また車載バッテリーそのものをより大容量のモノに変えるというのも、
作戦としてはあり得るところでしょう。
この場合は、その単体バッテリーの性能は可視化されている。
こうしたバッテリーは比較的廉価で販売もされている。こういう調査も必要ですね。
というような「電気の安全保障作戦」現在状況であります。
本日からは、しかし東北地域への出張であります。
調査活動は継続して行いますが、進展は20日以降になると思います。
Posted on 10月 14th, 2018 by 三木 奎吾
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今回の地震・ブラックアウトについての
北海道で予想される冬期極限状況での「サバイバル」について、
一般ユーザーへの知識の啓蒙のため取材を北海道総合研究機構・
建築本部・「北総研」に申し入れていた取材に伺いました。
わたしどもが申し入れていた取材内容は概略以下の通り。
■冬場に停電が起きた場合、
どのように暖房手段を確保すればいいのか?
■冬場に停電が起きた場合の、北海道内の住宅性能レベル別での対応方法は?
高断熱高気密住宅と、そうではない住宅の「低温時保温時間性能」の違いと
対応の明示化は可能か?
■停電に備えるための家づくりでの工夫には、どんなことがあるか?
■高断熱・高気密住宅で、開放型のストーブを使う際の注意点
(どんなリスクがあるかも含め)
■太陽光発電パネル設置住宅における蓄電システムの有用性と課題
■蓄電システムが有用であるとすると、ZEHは停電および災害に強いと言えるかどうか
■太陽光以外の再生可能エネルギーの現状について
(使い勝手やコストなどトータルで みたときに、本当に一般市民の住宅や暮らしに
とって有効なのか?→FIT終了の2019年問題も踏まえ)
というようなことで、鈴木大隆所長と高倉政寛主査のおふたりが
取材対応していただけました。
それぞれの案件については逐条で今後、ReplanWEBマガジンで記事として
アップしていき、その深掘り詳細版を次号Replan北海道版で掲載の予定です。
しかし面談時にはこの取材申し入れ内容を超えて
わたしのいま取り組んでいる「停電時、クルマバッテリーからの充電、
その暖房システムへの起動電力供給」についても
さまざまな情報提供をいただきました。
やはりわたし程度の文系脳で考えられるようなことは研究職のみなさんには
先刻お見通しのことと、深く納得させられました。
こうした「住まい」に関わる研究・シンクタンクを地域独自に持っていることは、
北海道にとって、大変大きなアドバンテージだと痛感させられます。
わたしどもは、こうしたバックグランドを活かしてユーザーへの情報拡散に
務めていかなければならないと再確認させられました。
あす以降、気付きの大きかったことを順次、発表していきたいと思います。
Posted on 10月 13th, 2018 by 三木 奎吾
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一昨日からアース21札幌例会。
一昨日には現場見学会として弊社社屋も公開されました。
その一行、人数が53人以上ということでよくわからないくらいの大人数。
建物の説明については施工のヨシケン・吉田専務も同行されていたので、
おおむねはお任せしていましたが、一応の「おもてなし」も用意。
ということで、昨日は今回例会のメーンである「構造学習」講演。
最近うち続いている災害列島ニッポンということで、
いま東奔西走の大活躍をされているM’s構造設計の佐藤実さんの講演です。
ちょうど今回は、胆振中部地震直後ということで、たいへんタイムリー。
構造というのはとくにユーザー側からすればなかなか不可視の部分。
講演でも佐藤さんから話されていましたが、
一般ユーザーには「価値判断」がきわめて難しい領域だと思います。
結果として、国の定めた基準がほぼ唯一の判断基準になってくる。
で、いわゆる「耐震等級」というレベルが定められている。
これが1から3までレベル分けされている。
1では「大地震から家族のいのちを守ります」とされている。
建築基準法が定めた「耐震性能」となっています。
それに対して3では、建築基準法の1.5倍の耐震性能があるとされている。
約100万円程度のコストアップが見込まれている。
〜これだけの情報を聞けば、3にしたとしても1.5倍か、それなのに
100万円もコストアップする、というように判断するのもある意味自然。
あるかどうか、まったく不明な地震に対しての備えとしては、
耐震等級1でまぁまぁ十分ではないかという判断をしてもおかしくはない。
ところが、この1では、大地震で「いのちは守れるけれど、そのあとは
その家に住み続けることが著しく困難であるという結果になることが多い。
いのちは助かったけれど、建物は大きく変形しそのままでは暮らせなくなる。
ローンも抱えて、その返済ものしかかってきて、賃貸住宅に住むしかない。
そういう地震に遭って、そのあとユーザーに「いのちが助かって良かったですね」
と声掛けすることは許されないとされていた。
まさか、命は助かるけれど住めない家になるとは思わなかった、と。
もちろん3レベルであっても、完全に変形が生じないと言い切ることはできないけれど、
少なくとも熊本地震で被災した益城町にある耐震等級3の家では
該当する16棟の住宅ではみなさんそのまま暮らしているという。
今回の地震に遭遇するまで、実体験としての感覚が正直やや薄かったのですが、
きのうは、こういうお話しがまことにストレートに入ってきました。
ここまで災害が頻発するようになるとは、
戦後の列島地盤安定期に生きてきた人間として、想像も出来なかった。
日本列島の「常態」はむしろ今の状況の方が長かったのではないかと、
そういう強い印象をもって聞いておりました。
いずれにせよ、備えあれば憂いなし、ということそのものですね。
Posted on 10月 12th, 2018 by 三木 奎吾
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いろいろな案件が重なっているのでなかなか進展しませんが、
冬場のブラックアウト再来に備える「暖房安全保障」作戦。
先週には愛車のHONDA-VEZELの点検、確認を行っていました。
HONDAの販売店でクルマからのバッテリー電源からの接続を確認できました。
しばらく写真のような他車への充電接続を経験していなかったので、
ブースターケーブルの接続箇所も不明だったのです。
また、エンジンルームの清掃もまったくしていなかったので、
たいへんお恥ずかしいような状況でした。
とりあえずエンジンルームの清掃点検を行って「見える」化してみた。
プラスとマイナスの接続箇所ですが、プラス側はゴム製カバーで見えていたけど、
マイナス側の接続箇所は不明だったので、HONDAで確認してきたのです。
牛歩の歩みですが、まずはクルマバッテリーからの正弦波インバーターへの
接続方法は確実に確認できたという段階であります。
いまのところ考えている接続の正弦波インバーターは前にも紹介した
2番目の写真のモノ。こちらもいろいろ調べたら、Amazonでも販売していて
56,000円ほどの値付けがされています。
このインバーター接続で、確実にわが家の温水循環床暖房ボイラーが
起動できるのかどうか、再度確認したいと考えています。
3枚目の写真がわが家の温水ボイラーのスペック表示。
なお、この機種の起動時電源が確実か、最終的に確認の上で
インバーターを購入して、さらに起動実験もやってみたいと考えています。
しかし、ユーザー側でこういった自己防衛策を考えなければいけないというのは、
なんとも厳しい状況だなぁと本当に実感させられます。
そもそもこういう暖房安全保障のための出費について
公的なヘルプなども考えて良いのではないでしょうか?
不安定な電気のインフラ状況を放置している社会の現状のなかで、
検討していただけないかと思う次第です。
最近はブラックアウトの影響からか、HONDAさんには
このような問い合わせがさまざまに寄せられているということ。
「ウチはクルマだけではなく、ジェット機をはじめいろいろなものを作っていますよ」
と、紹介されたのがこちら。

「蓄電池LiB-AID E500」というヤツ。
こちらはキャンプ時の電源として想定して販売しているそうですが、
最近は、停電時の非常用電源として問い合わせが寄せられているとされていました。
通常は過程の100Vコンセントに接続させて「蓄電」させておいて
キャンプなどの屋外で電源として使うという用途のようです。
こういうのもアリかも知れませんが、暖房機の電源として考えたときには
利用できる「時間」が限られていることがネック。
今回のブラックアウトは全道で最大3日間だったので、やはりクルマ接続の方が
より汎用性は高いように思われます。
このような用途についての各社の「研究開発」が進展して欲しいと念願します。
なお、あすには「北総研」を取材訪問して、冬場の電源ブラックアウト時の
住宅の側での対応について、いろいろな情報をまとめていきたいと考えています。
Posted on 10月 11th, 2018 by 三木 奎吾
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既報の通り、きのう東京大学工学部の前真之准教授の授業で
わたしと建築家の山本亜耕さんとで、WEB利用で参加させていただきました。
テーマが北海道のエネルギー危機についてだったので、
実体験をベースにして、なにが起こって、どういうことが経験知になったのか、
これからどうしようと考えているのか、を語りコトバで伝えました。
こういうWEB授業というのは、環境構築がけっこうセンシティブ。
わが社の場合、WEBブラウザ経由で特定のソフトを使って、
マイクや動画カメラなども独自に環境構築して行っていますが、
前先生の東大側の環境もよくわからないし、こちらの環境を押しつけるのは
ヘンだし、これはこれで相互理解・環境構築はたいへんメンドイ。
ということで、前先生の方から申し入れられたLINEの動画会話機能で
コミュニケーションすることにしました。で、山本亜耕さんから
「LINEは使ったことがないんだけど、どうすんの?」というヘルプミーコール。
これは、説明を電話でしていたら、たぶん時間に間に合わない。
「・・・じゃ、こっち来てみて」という展開になりました。
LINEにはMacでの環境もあるので、当方ではMacのカメラと音声入出力を利用。
それを事務所のスクリーンに映写して臨時的WEB授業環境実現です。
東大側ではどうやら、ずっとスマホのLINE接続でやっていました。
こういう環境ではなんといっても「音声」がいちばん悩ましいのですが、
こちらは広さ的には10坪20畳程度のスペースなので出力側は問題はない。
一方の東大教室はたぶん100人スパンくらいの教室スペースなので、
音響が拡散気味でやや聞き取りづらいところがある。
ときどき聞き返すシーンもありましたが、まぁ急遽の環境構築と考えれば、
基本的な相互コミュニケーションは十分にできました。
肝心の中身については、最後、4名ほどの学生さんと対話もできて、
それぞれの興味・疑問点について意見交換も出来ました。
山本さんとの事前打ち合わせのときに、送られてきた学生さんたちの
北海道エネルギー危機へのさまざまな「提案」レポートが話題でしたが、
そのなかに「どうしてこんな厳しい気候条件の北海道に住み続けるの?」
というまことに直球ストレートな「疑問」が書かれていて、
「これきっと、前先生の日頃の危惧と関連してるのでは(笑)」と笑っていましたが、
案の上、最後の質問者からこの質問が出てきていた。
学生さんというのはこれから人生を選択するワケで、そうしたみなさんにとって
「どこに住んでどう仕事してどう生きるか」は未来選択に属している。
わたしたちのように、このことが自明で選択済みの人間とは乖離感がある。
で、山本さんからはきわめて常識的な返答がありましたが、
わたしはちょっと踏み込んだお答えをさせていただきました。
日本社会が気候条件がきびしい北海道まで基本インフラを維持することが
今後は難しくなるというのであれば、北海道はより遠心的独立的になることに
北海道民のひとりとして、ニュートラルな考えを持っています、と。
少なくともより温暖なニッポンのどこかに移住するという選択肢はない。
ただもしそうなったら、中国やロシアは大喜びするでしょうね(笑)とも話しました。
しかし、今回の北海道エネルギー危機はどうやらこういう議論まで誘発する
まことに根源的な部分まで孕んだものとも言えますね。
Posted on 10月 10th, 2018 by 三木 奎吾
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さて先週は年に一度の新住協総会にて関西出張。
Replan関西版の進行もあって4日間出張で、きょうから、
地震・ブラックアウト後の寒冷地住宅としての対応の情報づくり復帰であります。
ただ、明日には北海道工務店グループ・アース21の札幌例会もあり、
今回は弊社事務所もリニューアルしたので見学コース入り。
そういった対応もある上に、金曜日には地震対策・停電対策について
重要なインタビュー企画も予定していますので、いかにも再起動であります。
というなかですが、東大の前真之先生か ら本日の授業への情報提供参加について
その段取りについての打合せ連絡がありました。
本日午後の授業でふたたび東大工学部の授業に参加であります。
先生から先日電話をいただき東京でも今回の北海道のエネルギー危機について
大きな関心が寄せられている様子が伝わってきております。
東大工学部学生のみなさんの「レポート」も拝見させていただき、
全体としての若いみなさんのこの問題への意見が率直に伝わってきました。
まずはこのような問題について、東大工学部が授業の一環として
取り上げて論議していただけることに、その同胞的意識に感謝する次第。
今回は東日本大震災以来の広域停電であり、またそれ以上の
「全域停電〜ブラックアウト」が本当に起こってしまったことで特異な
日本全体の社会的「モルモット」地域に北海道がなったと言えるのでしょう。
だから、その巨大社会実験からどういった教訓を汲み取っていけばいいのか、
そういう問題意識を持っていただけることはありがたいと思います。
北海道は、過去にも「もし地域で独占的な金融機関が破綻したらどうなるか?」という
実質的社会実験を「たくぎん破綻」として実際に行われた経験があります。
そもそも北海道は日本的社会の基本構造、コメ生産をベースにした経済構造からは
相当に異端な土地としてながく日本領土ではなかった歴史を持つ。
それが、ロシアの南下帝国主義を最大の民族的脅威として、明治になって
大急ぎで開拓しはじめたという歴史経緯を持っている。
そういう意味では日本の社会共有性からは「外地」という認識もあり得る。
今回のエネルギー、電力危機はまさに産業経済の基盤インフラである電力が
北海道ではここまで破綻寸前であった現実をあきらかにしてしまった。
で、短期的には「もし厳冬期にブラックアウトが再来したら」という
生命維持のためのエネルギー的自己防衛も必要だろうし、
長期的には、この北海道を経済的な国土として使っていくのであれば
確実性の高い地域エネルギー政策を考えていかなければならない現実も示した。
日本全体のGDPは530兆円程度で、北海道は18.5兆円。
それが今回約4,000億円、率にして対GDPで2%以上が損失した。
そうした社会復元に際してやはり安定的なエネルギーの確保は
なによりも最優先されるべき問題ではないか。
まず、それをどうするのかが緊急に問われなければならない。
わたし自身、ブラックアウト後の毎日新聞の紙面に意見投書告発したのですが、
このようなマジメな社会復元のためのエネルギー論を捨象している
いまの「マスコミ」の無責任なありように、強く異議申し立てをした次第です。
こういった基本認識に於いて、学生のみなさんの多数派意見はぶれていない。
たいへんリアリストで真摯な意見の数々に力づけられる思いがしています。
その上でどう具体的にエネルギーの問題を考えたら良いのか、
討論機会をいただけたことに深く感謝したいと思っています。
<画像はNHKニュースWEBとわたしの発言メモまとめ書きより>
Posted on 10月 9th, 2018 by 三木 奎吾
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以前このブログで書きましたが、
日本列島に人類が到達したのは、当時大陸と陸続きだった台湾地域から
約3万年ほど前のことであって、この列島への進出に当たっては、
それまでの葦船から丸木舟への技術進化があった、とされている。
その丸木舟を作るためには「木を切る」技術が不可欠で、
そのときに「石斧」が開発されて、多数の丸木舟が生産された。
大工の世界で、船大工と家大工という2系統があって、
船大工の方がより古層の技術体系であると伝承されていますね。
この「技術目的」と現生人類の世界進出は深く関わっている事象なのでしょう。
で、当時は「石器」文化の時代で非農耕、狩猟採集ライフスタイル。
そういう生き方の人類がこの東アジア弧状列島で、暖流と寒流がぶつかって、
豊富でおいしい漁業資源と出会って、縄文的ライフスタイル、
漁労と森林植物採集、木質バイオマス燃料という基本生存方法で生きてきた。
世界的にも珍しい、非農耕なのに「定住」性の高い生活を獲得した。
日本列島社会では、ここに移り住んできた経緯に即して
「木を扱う」技術が濃厚に発達していったのではないかと想像できる。
そんなふうに歴史考古の世界で理解が進んできていると思っています。
木で家を建てる、当時の常識としては
「竪穴」を建てることになりますが、室内気候安定のために、
より防風性と温度環境性能の高い半地下空間を持つことが一般的に追究された。
住居の進化は、こうした「住宅性能」が主導して進んできたことは明白。
たぶん「木を切る」ということと「縦穴を掘る」ということが、
最大の技術進化要因だっただろうことも明らかでしょうね。
神戸の新幹線駅直近にある「竹中大工道具館」見学、
長年の念願が実って、今回駆け足ながらようやくできました。
で、いの一番の展示に、この「石斧」のことが展示されていた。
石斧と鉄斧の間には、巨大な技術進化があり、同時に農耕文化の発展があった。
一方で、土を掘る、地面を掘り下げるのには、
どんな道具が使われたのかという点では、
2番目の写真のようなものだったようですね。
「地面を掘り下げる」という建築的目的に向かって、こういった自然木観察と、
その道具としての利用を人類は工夫してきた。
この写真はアイヌの女性の穴掘りの光景ですが、
使っている道具は、「踏み鋤」と呼ばれるものです。
見るとどうも自然木で先が2方向に分かれたものを探して、
若干の「加工」を施したとおぼしき形状ですね。
こういった「木の道具」というのは、なかなか考古的には残らないようです。
すぐに炭化して土に還ってしまう。
こういう木を切る技術と竪穴を掘る技術の両方が理解出来て、
始原の家づくりの道具のピースが埋まってきた感じがします。
Posted on 10月 8th, 2018 by 三木 奎吾
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きのうの続篇です。この変わった「住宅」群。
ひとつの「街並み」として考えたら非常に優れた「都市景観」を作っています。
北海道にいると、そもそもからして都市計画が欧米的であることに気付きます。
札幌は北海道開拓の基本計画を黒田清隆から委託された
当時のアメリカ農務局長、ホーレス・ケプロンさんとその技師グループが
作っていったことが明瞭にわかります。
積雪寒冷条件の都市環境において、有効な「空地」を広大な道路計画に
反映させている様子を見れば、一目瞭然です。
札幌中心市街の、住宅地の横道ですら8mが基本というスタイルは
ほかの日本の都市ではありえないような贅沢な計画ぶり。
この計画がその後の札幌の都市の発展にとって最重要なキーポイントだった。
そういった地域環境に住んでいる者として、都市計画ということの
意味合いとか、いつも肌に感じている部分があります。
そういうわたしの目線的に、この海の京都と呼ばれる町家的景観は
自然発生的で、生活機能性がそのまま「地域計画」化に至った
すばらしいモデルケースと思われたものです。
日本列島では基本的には漁業という「狩猟採集」が生業として
相当の進化を遂げてきたのだろうと思われます。
石器時代的な陸上動物主体の狩猟採集から、東アジアの太平洋との
フロントに位置するこの列島におよそ3万年前に人類が到達して、
漁業の最たる好適地として多くの人々にとらえられたことは明白。
そしてこの「ウォーターフロント」には、森林が身近に迫ってもいたので、
有用な植物食物も裏山から容易に得られたのでしょう。
さらにいえば、この裏山からはバイオマス資源が過不足なく供給されてきた。
結果として、それまでの人類の普遍的生業「狩猟採集」生活がもっとも進化した。
それがあまりにも「ハマりすぎて」いたので、
次の人類段階である農耕、稲作文化が他地域と比べて遅れたのではないか。
また、こういった縄文的ライフスタイルを基盤に残しながら
徐々に農耕文化を受け入れていったのではないだろうか。
そういえば「和の国」というこの列島社会の国の自称が、
どうもそのような成立のプロセスを暗示させているように思えてなりません。
この伊根の舟屋群をみていて、こういう強い印象に包まれていました。
東アジアの台湾地域から日本列島に移住した一団は、
強い海流を突破する舟の推進力を得るために、
それまでの「葦舟」から、丸木をくり抜いた丸木舟を開発したとされていた。
そのために石器の打撃破断力を高めた「石斧」が開発された。
それによって「船大工」という人類的技術領域が確立したとされます。
後ほど、竹中大工道具館の見学の様子を書く予定ですが
そこでも、いの一番展示として、この「石斧」が扱われていました。
それくらい、初源における木材利用において「舟を作る」用途は巨大だった。
人類の「交通史」として考えても、この丸木舟制作技術は基本中の基本。
そういった意味も、この伊根の舟屋群からは明瞭に伝わってくる。
いまは、すっかり樹脂製の舟に代わっているということでしたが、
以前には「船大工」を生業としていた家がこの集落には数軒存在していたそうです。
こういう舟のための建て家が「舟屋」と言われるものですが、
通常の居住空間は、それと一対のカタチで存在する建物群。
いまはその間が生活道路となっていますが、
たぶん、このような道の成立には各戸に共通していた「中庭」用地が
その用途にあてられたに違いないということでした。
そのような機能分化、生業のフロントと生活の奥空間というありようも、
京町家的な計画性を感じさせてくれています。
Posted on 10月 7th, 2018 by 三木 奎吾
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1階が舟のガレージで2階が居室になっている「伊根の舟屋」は、
京都府の宮津市・天橋立のさらに奥の伊根湾沿いのウオーターフロントギリギリに
約230軒の住宅が軒を連ねている「海の町家」。
近くには「浦島太郎」伝説に連なる「浦嶋神社」もあるという伊根。
新住協総会後の1日、かねて気になっていた「海の京都」を訪ねてみた。
いつも手に届くところに海があり、さばいたサカナのアラを魚取りの網に入れておくと
またそこに魚が掛かっている。ときにはアワビやサザエが這い上がってきて
そのまま夕餉の食卓に上がっていたりする、という。
この伊根地域は日本海に面しているけれど、複雑に湾入りしていて、この前の海は
この「舟屋」群集落に対して南側に広がっている。
急な傾斜で陸塊が海に傾斜しているので、その海への接点に沿って
このように「町家」形式の建築が集積することで
海民たちの生業のためのウォーターフロントシティが歴史的に積層してきた。
この「街並み」を特徴付けているのは「妻入り」の規則的な連続性。
これらが群として連なることで大きな環境景観美を作り出している。
しかもそれが海という反射鏡と背景の崖の緑のラインを構成しているので、
圧倒的な集合美を見せてくれている。
この伊根の舟屋の歴史はよくわからないとされているけれど、
この「生業」感を現地で実際に体験してみると、縄文以来のこの列島社会での
基盤的なライフスタイルをそこに見る思いがしてくる。
目の前の穏やかな海と、行動の自由を保障してくれる舟は、
基本的な人間生存環境をまざまざと実感させてくる。
現代のわれわれは、資本主義経済という不確実な「利益追求」の巧拙程度のことで
常に不安と変動にさらされる日常を送っている。
そしてきわめて不安定なエネルギーに依存した日常を余儀なくされているけれど、
この伊根の舟屋群の集住環境は、そういう感覚と大きく異なる。
ちょうど、地震とその後のブラックアウトを経験してそこからどう生き延びるかを
日々考え続けているのだけれど、
このような光景を目の当たりにして、はたしてわれわれ現代は
人間環境として「進化」したのだと本当に言えるのか、
深い、内面側からの懺悔の思いにも似た感覚にとらわれ続けていました。
それほどに、たぶん縄文から先人たちが続けてきた生存方法の工夫の
環境合理性に徹底的に打ちのめされるような気がします。
海上タクシーのように舟に乗せていただいたのですが、(ひとり1,000円)
ちょうどひとりで乗ることになったので、その船頭をしている
若い方に説明もしていただきました。
かれは北海道との間を行き来するフェリーの会社に勤めていたのを辞めて
この生まれ故郷でこういう仕事で生きてきているそうです。
「北海道のホッケが無性に食べたくなった(笑)」と屈託なく笑っていましたが
この伊根の舟屋が生み出すライフスタイル・リズムが
この若者に、現代都市生活以上のものと思えた部分があったのだろうと思います。
先人たちの豊かに生きる知恵そのものと触れた気がしました。
Posted on 10月 6th, 2018 by 三木 奎吾
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きのうは主に大阪市内の住宅見学ツアー。
コースは3つに別れていて、聴竹居を含む京都コースが人気でしたが、
わたしはすでに2度見学しているので、こちらに参加しました。
写真は2軒目に訪れた「蔵家・居蔵邸」。
Ua値は0.398ということで大阪は省エネ区分6地域で0.87なので、
おおむね省エネ基準住宅に対して50%程度の削減達成率の住宅。
しかしそれ以上に都市型住宅のデザイン面で楽しい住宅。
「外構植栽コスト、どれくらいかかったの?」
「う〜〜ん、だいたい100万円」ということでした。
植栽は建物前面の、狭いけれど南面したベルトゾーンをメインに、
写真右側のアプローチ外周に沿って、植え込まれている。
植え込まれた樹種も10数種類で、だいたい3日くらいかかったそうです。
万が一、枯れたときの保証は1年間はしているとのこと。
この建物は新築から数ヶ月ですが、そこそこの高さの植え込みがあって、
今後、美しい緑をこの外観に対して与えていく。
その表情がどんな風に移ろっていくか、何度か見てみたいと思える外観です。
で、わたし的にはこの前面の駐車スペースの半緑地に目が向いた。
居蔵さんは説明でお忙しかったので、同行の温暖地設計者に聞いた。
こちらの床面仕上げは、二の字型の表面を見せているブロックを
一定の深さまで掘り込んだ路面に設置していって、
そこに土を被覆させて芝生を生やして路面を調整するということ。
車のタイヤ加重によって長期間にわたって「天圧」がかかって、
丈の短い草が密生させられることで出来上がる路面。
北海道東北ではほとんど見られない路面仕上げですね。
やはり「凍結深度」の考え方がない地域で可能な路面デザイン。
このまま北海道で作ったら、一冬で凸凹があらわれてくるでしょうね。
そういった事態を回避したいとすれば、凍結深度以下まで路面掘削して
そこに凍上対策をなんらか施した上で表面デザインすることになる。
言うまでもなくそこにはコストの問題が横たわってくる。
しかし温暖地ならではこういうデザインが一般的に可能になる。
北海道では同じデザインはできないからどう考えるか。
そこがいろいろと頭を使った工夫が求められることになる。
住宅デザインはこのように地域偏差が顕著に表れることなので、
「全国コンテスト」というような場合、「評価基準」はきわめて難しい。
というか、やはり公平性の確保はほとんどムリでしょうね。
室内でもデザイン的な遊び心は各所で満載されていました。
蔵家さんは建築デザイナーとのコラボが多く、
この家もマンションリノベが多い設計者とのことでしたが、
そういうことで、日頃のうっぷんを晴らすように「高低差」が多用されていた(笑)。
住宅デザインの地域偏差についてオモシロい気付きのあった家でした。
Posted on 10月 5th, 2018 by 三木 奎吾
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