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【家族数減少社会はどういう家を生むか】

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図表は5年ごとの国勢調査を元にした、北海道内での住宅の
家族数と世帯数、世帯人員の構成をあらわしたもの。
20年間ほどの推移をあらわしていますが、
一貫して、世帯数は増加しているが、家族数は減少の一途。
2人世帯は2.3倍、1人世帯に至っては3.7倍になっているけれど、
3人以上の世帯は、逆に約20%減少して、0.81倍。
3人以上世帯の割合は、67%から37%に減少し、
逆に2人以下の世帯の割合は、33%から63%に急増している。

家というモノの内容は、かくも大きく変化してきた。
こんな変化は、パラダイムシフト的変化だけれど、
では、生活文化はどんなふうに変化してきただろうか?
いや、こういう変化があっても、意識における生活文化は
そう簡単には変わっていないということが言えるかも知れない。
サザエさんという「ホームドラマ」は依然日本人に強く支持されている。
あの家は、父母+子ども2人+子ども夫婦+孫1人+ネコ1匹の大家族。
ああした「家族観」がいまでも意識としては主流であるのではないか。
ただああいったドラマを、実はふたりだけで静かにあるいは、
たったひとりで懐かしむように見るのが常態的ニッポンのいまの現実。
また、あのような時代の温もりに回帰したくて
盆暮れ正月に日本人集団大移動を繰り返しているのは、
失われた「家族」という郷愁を、よき時代風景として美化しているのかも。
さらに住宅としてはどんな変化が、と考えて
符合すると思われる動きが、「平屋」や「コンパクト」という志向の高まり。
高度成長期の多家族数時代には、
総2階で「建築合理性」の高い建て方が選択されたけれど、
そういう合理性からはやや離れた選択肢として平屋や、
「コンパクトな家」への希求が顕在化してきている。
これらの住宅を取材すると、いつも基本的な住宅デザインが
夫婦2人のライフスタイル選択を基準にしていることに気付く。
子どもが生まれてもそれは一時の家族増加であって、
こどもが巣立てば、また夫婦ふたりだけの暮らしに戻るのだから、
という「生活合理性」の方に大きくシフトしてきている。

こうした「家族」の変容が引き起こしてくるであろう住宅の変化は、
しかし本番はむしろこれからであるようにも思われます。
で、ふとわが家を振り返ると夫婦2人暮らしで
83坪の4層、3階建て一部地下室付きというもの(泣)。
いろいろな諸条件からこうなったとはいえ、
日本人の主流からはかなり隔たっていることを痛感しております(泣)。

【共働き率63%という与条件が持つ意味】

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図は、総務省の「労働力調査」からの資料。
ごらんのように、いわゆる「専業主婦」と「共働き」の世帯の割合を
経年的にあらわしたものです。
これをみると、35年前には「家庭」というのは、
専業主婦がいる方が多数派、おおむね7割程度で、
共働き世帯は3割程度だったのが、
この35年間でほぼ割合が逆転し、さらに加速度的に
共働き率が上がってきている様子が見て取れます。
この傾向は少子化の進展もあって、女性労働力が期待されることとあわせ、
もっと強まりこそすれ、逆転は考えにくくなってきている。
今の時代は、こういう共働き世帯がふつうの状態であり、
それ以前の社会とは大きく変化しているけれど、
では生活常識はどうかといえば、専業主婦が常態とする家族観も根強い。

こういった傾向は、住宅にどんな変化を生みだしているのか。
夫婦とも働きに出掛ける方が普通になれば、
第1にその立地はどういった選択条件になっていくのか?
普通に考えれば、その通勤に際して両方に便利なように考える。
それか、主たる収入源の職場との立地を考えて、
それから従たる収入源の働き場所を探していくというようなことになるでしょう。
いずれにせよ、利便性というモノの価値感が高まっていく。
では、職場というのはどういう位置になるか・・・、
というように考えていくと、総体として都心回帰型の住環境選択が自然。
では、次に内部デザインとしての与条件的な変化は?
これはもう圧倒的に、「省家事」ということが求められることが必然。
現代人がもっとも不足するのは時間であることは、明白。
家電に求められることは、より時間節約型のものになる。
間取りとしても、基本的に家事労働時間が節約できるかどうかが
いちばんの基本になるのではないかと思われます。
たぶん、ワンルーム的な空間志向はもっと強まって、
間仕切りや個室がたくさんあるという間取りは敬遠される。

そして、そういった時間の無い生活では
冬に家に帰ってから、暖まるまでに時間がかかる家というのはムリ。
基本的には、そういう温熱環境にも即応性が求められる。
いまのユーザー志向がおおむねこういった傾向にあることは、
いつも肌に感じていることです。

【人口拡張期「新興住宅地」の存続可能性】

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わたしは戸建ての住宅について考える仕事なんですが、
最近、その建物が建つ「住宅地」というものについて考えることが増えている。
上の表は、北海道の発表している資料からの抜粋。
いわゆる「新興住宅地」として開発された「住宅地」の人口推移。
属する都市の人口と正比例ではなく、場合によっては都市は人口増でも、
その住宅地は人口減というケースも多く見られます。
否応なくそれらの「存続可能性」というものを考えざるを得ない。

そもそも現代のわたしたちが暮らしている「住宅地」って、
歴史的にはきわめて新しい概念だと思います。
少なくとも江戸までは、こういった戸建て住宅の集合という住宅地は
ごく一部の「武家屋敷」街区くらいしかなかった。
あれは信長以来のサラリーマン化した武士の集合街区。
そこに商業支配も兼ねて街を作り、経済も権力が支配下に置いた。
集められた武士以外の階層は、集合住宅としての「町家」に住んでいて
商家などを除けば、基本的には賃貸住宅が主流だった。
明治以降、概念としては個人主義的な「家」概念が導入されたけれど、
庶民意識としては、都市居住=町家住まいが基本だったと思います。
あくまでも生産や経済圏との密着が「住む」ことのベースだった。
多少の距離はあっても「職住一体」が基本だったのでしょう。
戦後70数年の社会発展の中で通勤のための手段も整備されるようになって
生産活動の現場とはやや離れた
居住専門の「住宅地」というものが出現したのだと思います。
その設計としては欧米的な「都市計画」概念で構想された。
日本の伝統的都市に顕著な町家ではなく、欧米の郊外住宅地が
基本デザインプランとして「街割り」されていった。
いまも、基本的にはそういった「街」が住宅地の基本でしょう。
そういった専門的住宅地が、住み手の代替わりを迎えるようになって、
その本来的な意味合いが問い直されるようになって来ている。
結果として、存続の意味が問われ、徐々に人口減少が出来している。
どうもそんなふうに思われるのです。

家を建てると言うことは、かなり意志的に
「そこに住んで暮らしていく」という自己決定だと思うのですが、
時間の経過は、その判断について社会的評価を容赦なく加えてくる。
そこに住み続ける存続可能性が高いという判断で、
ひとは住む土地を選ぶと思うけれど、
社会が進展し選択されてくる「存続可能性」とはズレが生じてくる。
人口減少社会では、こういう選択についても否応ない変化がやってくる。
そういったものごとについて、この場で考えていきたいと思います。

【カレーラーメン(室蘭名物)の存続可能性】

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北海道はちょっと変わった食文化が出てくる風土。
草創期・札幌ラーメンは、それまでの常識を破って味付けに味噌を使った。
ラードを利かせてこってりとした力強いスープには
ニンニクを練りこんで濃い味にした味噌が似合う。
寒さの中でも元気を引き立てると、発生したのだろうと思います。
いまや、それが地域の味のスタンダードになったワケですが、
それ以来、北海道の各地でさまざまな「ご当地ラーメン」が出現した。
そのなかでも、味付けでいちばん特異なのが
この室蘭のカレーラーメンですね。
たしかに食べているときには、おいしいと感じるのではありますが、
わたし的には、これを毎日、常食に近いものとして食べる気分には
どうもその気にはなれない。どうしても、味を無理矢理作った感がある。
味噌味ラーメンほどの起爆力を感じないのであります。

日本人の大好きなラーメンとカレーという取り合わせだけど、
どうも味わいにあと一歩のパンチ力が不足している。
また味の広がりに、いま一歩の工夫を期待したいという印象。
室蘭に行くと、ご当地の味として、
いろいろな店でメニューに出されているけれど、イマイチ、その広がりは
拡散力に欠けているのではないかと気遣っております。
驚くほどの進化発展を、是非期待したいといつも思っております。

土日とも雨模様の札幌であります。
今週は時間のない中で大きな企画提案を求められている。
その仕込みに専念したいと思っております。
企画も同様で、現状を破壊するような起爆力というものが大切。
まさに人の振り見て、の心境であります(笑)。ではでは。

【英国EU離脱と米大統領候補トランプの歓迎声明】

2996

きのうのリスさんの観察ではありませんが、
気配を消して見ているうちに、大きく世界の情勢変化が出てきた。

きのうイギリスのEU離脱を問う国民投票の結果が出た。
1週間ほど前には残留派の議員がテロで殺されたりしたし、
直前には僅差ながら残留派が勝利するという世論調査結果も出たので、
現状の世界の主要カレント・金融グローバリズムの側からは、
やや安堵感にも似た雰囲気が流れていたけれど、
僅差ながらも逆の結果が出たことで、
情報社会の負の側面が一気に出て、円や日本の市場は大混乱に直面した。
東西冷戦構造の崩壊から、資本主義市場世界の拡大、
中国をはじめとする発展途上国の資本主義市場への参加・登場、
それらが総合されて、グローバリズムが世界を覆ってきた流れが、
どうも、既存体制のリンゴのコアから逆流を見せ始めたように思う。
分離独立主張を内在的に持っている英国北部地域・スコットランドで
なんとアメリカ大統領候補・トランプが
英国民のEU離脱という選択に対して、歓迎声明を発するという
なかなかしたたかな政治センスをかいま見せる対応を示した。
これまでの世界の中での枢軸国家である米英が
いまむしろ孤立主義、反グローバル、ナショナリズムの姿勢を見せたのは、
なにごとかのはじまりを感じさせる。
民族国家という伝統的価値感が、世を覆うグローバリズムと衝突しはじめた。
それをむしろ主導してきた国のなかの「負け組」の心理をすくい上げて、
ナショナルポピュリズムが沸き上がり、混乱の幕を開けてしまった。
いまのところ、そんな評価がこのEU離脱について湧いてきている。

問題はもうすでに開いてしまった幕であるこうした混乱が、
これも情報社会としてグローバルに急速に世界を覆っていくこと。
金融をはじめとした混乱状況に対して、
日本でもさっそく麻生さんが危機感をあらわに示す対応を見せたし、
先のG7での自国の主張がさっそく現実化したと、安倍さんも対応している。
大幅な下落に見舞われた日本株、一気な円高が襲ってきている。
ことは基本である経済であり、それは同時に安全保障にも緊密に関わる。
まさに未知の領域に世界は突入してしまったといえるのでしょう。
この流れが世界を一気に飲み込んでいくとすれば、
アメリカではトランプが大統領になる可能性が高まってくる。
孤立的ナショナリズムを呼号しているかれの主張がアメリカの戦略になれば、
対日関係においてどんな変化が出てくるのか、発言からの流れとしては
むしろ日本に対して核武装を強制するような動きが出てくることも
ありえる事態として、考えていかなければならない。
そのときに想定を超える国際関係の変化が生じていくことになることを
当のトランプ自身、本当に自覚しているのかも不明。
どうも戦後世界体制というものが、
大きく変化していく可能性が高いと思わざるを得ません。

そういう世界の中でどんなふうに国の経済と安全保障を保っていくべきか、
参議院選挙真っ盛りですが、日本の進路についてのわたしたちの選択は、
世界の中でも一定の意思表示ポイントになっていくのでしょう。
否応なく、日本としての「国家戦略」について、民主主義らしく
国民自身も考えていかなければならない時代に突入するのかも知れません。
しかし伝統的に一国平和主義に覆いつくされている日本人は、
そういう世界性のある意思表示を示すことがはたしてできるのでしょうか?

<写真はわが社のヤマボウシ・ツツジとハナミズキ>

【2016初夏 自然からの呼び声】

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さてきょうは、イギリスのEU離脱を問う国民投票結果に
大きく世界が揺り動く1日になりそうですね。
どうも状況としては離脱は、円高を呼び起こしているようで、
残留は現状維持的な円安、株高に振れていく可能性が高い状況。
まぁ固唾をのんで見守っていくことになりそうであります。
また、日本でも参議院選挙の世論調査結果が報道各社から一斉に出てきた。
与党堅調、野党伸び悩みというのが一致した見方。
わたしは、選挙の結果というのは民の声そのものであろうと思っているので、
バイアスなく、その示される「民意」を基本的に尊重すべきだと考えています。
ここ数年の与党堅調の趨勢は、大きくは変化がないということなのか、
成熟した民意の行方に心していく必要があると思います。

というようなことなので、
本日は、すべてからの「閑話休題」で、自然の呼び声であります。
ここのところのエゾ梅雨から散歩に水を差されておりますが、
それでも出掛けることがあると、ご覧のような
かわいいウエルカムに出会えております。
わたしは、リスさんが顔を見せてくれると、こちら側の動きをなるべく
消して、かれらが好きなように動けるように
いわば、自然の側に一切を委ねた観察者になりきるようにしております。
そういう静寂な一瞬っていうのは、得がたいものでして、
その空気を支配するのは、このエゾリスさんだけになってもらう。
わたしは、ごく控えめにiPhoneを取りだして、
かれらが写りたいと思うように、かれらとわたしの空間を測っていく。
NHK-BSでやっている岩合さんという「ネコ写真家」の方の教えを
応用しようとするわけであります。
ただかれらエゾリスは、人間との距離感にネコとは大きな差がある。
なかなかこちらの思うような距離感はむずかしい。
さらにわたしはあくまでも、散歩の途中での出会いなので
iPhone以上の一眼レフカメラまで持参したいとは思わない。
なので、どうしても写真はキレイには撮れませんね。
でも、こういう無言の自然との対話は、まさに一期一会の醍醐味がある。

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で、事務所前のヤマボウシ、
こっちの方は相変わらず枝先の一部の花が、ピンクになっています。
人からの情報では、ほかの個体と鳥などの媒介者を通して
「交配」して、一部の性質が変化するということがあるとのこと。
ホントでしょうか?
わが家周辺にはそういった色合いのヤマボウシ、あるいはハナミズキはない。
不思議だけれど、これも自然からの呼び声。
毎日の変化を楽しく感受させていただいております。

<写真はすべてiPhoneなので、ピンぼけはお許しを>

【Replan最新号/家と家具の幸せな関係 in 旭川】

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旭川では6月22日から26日まで「旭川デザインウィーク」が開かれています。
豊かなナラなどの森が周辺に広がっている道北の中心都市・旭川は
北海道の開拓初期から、世界有数の家具用材の産地として
ヨーロッパなどの家具メーカーから注目されていました。
家具職人として旭川に生まれ、ヨーロッパに修行した
当地の家具メーカー・カンディハウスの創業者・長原さんは、その修行の地で、
旭川周辺地域の木が家具原材料として使われていることを目の当たりにし
やがてそのデザインエッセンスを学び、家具産業を旭川の基幹産業に育てたいと
志したというエピソードがあります。
いま、そうした思いを継いで、多くの地場家具メーカーが頑張っています。
このイベントは年間最大の旭川家具の現在を伝えるプレゼンテーション。
22日のイベント初日、本誌の最新号特集も家具と家だったことから
会場の雰囲気を体感して参りました。

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会場でつい目を奪われてしまっていたのが、
家具の再生サービスを東川で手掛けられている「木と暮らしの工房」さんの展示。
なにげに展示されていた収納家具の引き戸表面の木工の様子。
この家具は持ち主の方から修理を依頼されて、
その木組みが各所で破綻していたのを丹念に修復して
それを保護するようにガラスでサンドイッチして加工し直したというもの。
その他の部位でも、原デザインを活かしながら、
今後の耐用性の向上をできる限り頑張ってみたというものでした。
この家具の素性について同社の鳥羽山さんにお話を伺うと
たぶん戦前、80年以上前のモノだろうと言うこと。
微妙な木組みは、無くなっていた部分をほかの箇所を参考にしながら、
丁寧に復元していったそうで、クリアには理解出来ませんでしたが、
そういった精魂を込めざるを得ない部分について
息づかいにも似た感受性の部分にふれるお話しを聞くことが出来ました。
本誌最新号の特集テーマとも共振するようなメッセージ。
材料が乏しく貴重な時代、表現可能な部分で制作者が
この家具に込めた手仕事の様子がまさに手業として伝わってくる。
家もまた、もう少し大きめのサイズであり、また家具とは違って
そのなかの空間にこそ、人間の暮らしを入れ込むものではあるけれど、
通底する人間とのかかわりを感じさせてくれる。
家と家具は、その扱っているサイズにこそ違いがあれ、
ともにそこに住む、使う人間が強く意識されて作り出されてくるものであると
そういった強い印象を受けた次第です。

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●先行予約販売本日〆切のお知らせ
家と家具特集のReplan北海道最新号をWEBから
6月17日~23日までにご購入された方は、
一部地域の方を除いて、28日までに配送致します。
Replan北海道版113号の書店発売は、6月28日です!
WEBでのお買い求めはこちらから

【高性能住宅見学会in旭川/アース21例会】

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ここんところ「環境住宅」をめぐってのやや空中戦的な論議が多くて
どうもアタマが硬くなっていたところ、
それをやわらかくさせてくれる、住宅見学の機会がやってきました。
やっぱり実際の住宅を見学する機会は
いろいろな刺激が自然に得られて、また人の情報として伝わってくる。
頭でっかちではない、柔軟なものづくりが感じられてうれしい。

きのうは正午過ぎに全道から集まった50人くらいで
合計5棟の住宅を見学してきました。
そのうち4件の住宅では、詳細な図面、矩計図、Ua値計算も情報として
しっかりといただけた。
こういったその住宅の素性を論議できる基本スペックは
高断熱高気密住宅見学では共通言語として不可欠だと思います。
わたしどものReplanでも「断熱仕様」として創刊当時、25年前くらいから
いわば住宅のスペック情報として、心がけてきた部分。
そういったベースがあって、こうした情報が北海道では普通に流通している。
先般来の「環境住宅」論議では、そういった共通のモノサシもなしで
それぞれが独自の自分だけのポイントで主張してくる。
公知のわかりやすい指標で論議できる環境と、
いちいちのバラバラの主張を聞き取って、その主張と合わせて
考えを深めなければならない世界、
どっちがわかりやすいかは、ハッキリとしていると思います。

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こんなようなスペックシートが渡されて、
丁寧に詳細情報が語られている。<上の住宅のデータとは違います>
上の写真で見た住宅では、Ua値が0.28ということ。
重厚な断熱仕様で、壁厚さは300mmということです。
きびしい北海道の断熱条件の下でも、ZEH基準にほぼ相当する。
厚い壁厚は、外皮に重厚さを与え、窓回りの陰影感の濃さは
視覚的にも性能の良さがわかりやすく伝わってくる。
淡々と、奇をてらうことなく作られている環境住宅、
そんな佇まいを感じさせてくれていました。

さて、本日はきびしい条件下に置かれている北海道での
ZEH住宅をどう作っていくのかについての、勉強会が開かれます。
前真之先生いわく、分からず屋の「トランプ三木」と仮想敵とされましたが(笑)
もとより地球温暖化防止目的であるZEHに対しその趣旨には賛同しています。
その方向をどのように具体的に作れるのか、
淡々と北海道の作り手たちの研鑽ぶりを確認し、
情報共有していきたいと考えております。

【いまは画家になった高校同期友人の軌跡】

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高校同期の友人たちとの交友っていうのは、
たぶん人生でも最もセンシティブな時期の出会いでもあり、
良くも悪くも、大きく人間関係を規定すると思っています。
ただ、最近の子どもたちなどを見ているとそうでもないかも。
わたしたち年代(1950年代生まれ)的には、人生60年くらいという
そういった漠然とした人生設計期間を想定していたけれど、
いまは、人生80年くらいが相当している感じがあって、
社会人になってからも、まだ人生探しを続けているような、
モラトリアム期間が伸びているような印象があります。
わたしたち年代は、高校生活はその後の人生のための最終決断時期とでも
認識していた部分があったように思います。

わたしたちの年代ではちょうど70年安保の時期で
わたしの学んでいた高校でも、そういった時代の影響が強かった。
いまでこそ、やや右っぽいと言われているわたし自身も(笑)
高校当時は、そんなデモに行ったり活動を行ったりしていた。
そのころに友人たちの中でいちばん先端的に活動していた友人の一人。
かれはアジテーターとして、いちばん目立って活動をしていて、
友人たちの中でももっとも過激リーダー的な立場だった。
しかし運動が最高潮になる時期、10月に佐藤栄作首相が訪米して
沖縄返還交渉をまとめ上げる、運動にとって大きな結節点の直前、
8月の夏休み時期に、当時バリケード封鎖していた札幌医大の
活動拠点から、かれは忽然と消え去っていった。
多感な感受性を持ったヤツで、その「あばよ」文が、ある教室の壁一面に
ヘタな活動家文字で、殴り書きされていた。
タイトルは「現代の散華」だったと記憶している。
ケータイもない時代なので、写メも撮りようもなく、
そこで書かれていた青春期の心情の殴り書きの内容は、記憶も無く
また再現のしようも無いけれど、学生運動からの離脱の生々しい感性が
綴られていたことが、わたしにとっても鮮明な青春期の一ページになっている。
そんな風変わりな人間だったので、その後も孤独な生き方を選択して
友人たちとの交友もほとんど没交渉だった。
まぁ、かれの仕事生活の開始時期には、その業種選びで
わたしが当時勤務していた広告会社の職場を訪ねてきて、
「おまえ、面白そうな仕事しているな」ということから、
わたしとは若干の仕事上の交友が生じた時期はあった。
その後、出版関係で仕事して、写真雑誌「写楽」の創刊に関わったりしていた。
有能なヤツなので若くして独立したりしたようだけれど、
結局、その後仕事を辞め10年間にわたって、世界中を歩きまわる暮らしになり、
路上アーティストのような暮らし方を選択していたようだ。

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共通の高校の友人がそんなかれの最近の「画家」としての活動の様子を
写真PDFで送ってきてくれた。
いまや聖書に書かれたイメージを表現する画家になっている。
友人としてその生き様がなんともいえず、伝わってくるモノがある。
名は浅香良太。いま、千葉県内陸部に住んでいるようです。
別に宣伝ではありませんが(笑)、
こういう生き方もあるのだと、ときどき気になっている次第です。

【50棟未満工務店・在来工法シェア 全国53%北海道63%】

2980

先日、住宅金融支援機構さんの講演を聞く機会があった。
支援機構には、住宅市場調査的な外郭法人もあって、
そこの調査員の方の講演もあって、調査資料から上記のアナウンス。
この基本的なデータについて、講演後、詳細にデータ根拠も伺いました。
根拠は瑕疵担保保険の加入者分析からのものだそうです。
それら、有意義なデータについて教えていただけました。
表では全国のデータのみ表現されていたのですが、
北海道は同様の調査データで、工務店のシェアが63%ということ。

便宜上、50棟以上のビルダーは範疇をはずれるそうですが、
現実的にその経営規模の企業の実態はどうであるのか、
そのあたりの線引きも微妙ではあると思いますが、
おおむね実態を表している数字だと思います。
ただし、この数字も地域偏差が大きく存在して、
北海道ではたしかに、いわゆる「ハウスメーカー率」が低い。
一方で、中国地方西部ではハウスメーカー率がぐっと高くなるそうです。
これは以前から指摘されていたことですが、
その根拠はなんであるのか、まだきちんと論じられていません。
地方では、こういったマーケット調査がまだ行き届いていない。
大学の研究機関でも、建築工法、環境性能的な解析は進んでいますが、
こういったマーケティング研究については、そのニーズが乏しいと
みなされているからか、どうも反応が鈍いモノがある。
全国的にもこういった住宅のマーケット調査に大学研究機関が
大きな興味を持って取り組むと言うことは寡聞にして聞かない。
いわばミクロマーケティング論、個別マーケティング論になるのでしょうが、
一方で工学部系の事業分析というような側面もあろうかと思うのです。
このあたり、大学研究機関の研究領域アイデアでも、
既存の考え方ばかりではない発想が求められるのではと思っています。

鎌田紀彦先生は、「システム工学」という専門領域が
室蘭工業大学に開設されたことから、東大研究室から来道されたそうですが、
そこで木造構法のシステマチックな解析を基本にしながら、
いわば大工の手作業まで踏み込んだ工法研究に取り組まれていった。
その部分が、それまでの大学研究者にはなかった発想とされて
多くの中小工務店が注目し、具体的な「暖かい家づくり」の研究を求められた。
現場大工さんへのリスペクトのある姿勢が、かれらのバリアーを除去し、
具体的手順としての、高断熱高気密手法が解析されていった。
どうもこんな先例が、いま求められているように思います。
現実にこれからの日本の木造住宅でのニーズを考えたとき、
既存建築の利活用がある程度、中心領域にならざるを得ない。
その基本はやはり在来工法だろうと思います。
ハウスメーカーの「特殊」な工法は、その会社の存続に依存している。
現場的にはやはりオープンな工法が支配的であり、
また「特殊工法」に対しても柔軟に対応できる可能性が高い。
そういった日本の「製造業」の重要な資産としての在来工法の存続性を
経営面からも考えるというのは、重要な研究テーマではないか。
いつもそんな思いを持っております。