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円空を伝える江戸期の表現

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東京国立博物館でみた仏像展で展示されていた円空についての
江戸期の出版物「近世畸人伝」の部分の模写です。
これは出版物から、この部分だけスキャンしたもの。
出版から300年ほど経っていて、著作権は消滅しているはずなので、取り上げさせてもらいます。
という説明はまだるっこしいのですが、一応念のため。
仏像展で、円空の事跡を紹介するコーナーに展示されていた、この画をはじめて見たときに、
その素晴らしいわかりやすさ、明晰さに深く打たれた次第。
円空という人を伝えるのに、これほどわかりやすいイラスト表現はありませんね。
写真表現というものがない江戸期の時代に、
時事問題などを扱う出版の世界で、こうしたイラスト表現が多用されていたのです。
博物館には、常設展示コーナーで、こういう出版物についての展示があり、
江戸期の出版物がいろいろに見ることができます。
ちょうど、旅行をテーマとした展示がありましたが、
江戸期の「旅行カタログ」出版の数々のわかりやすさ、面白さは素晴らしい。
写真を超える、その直接的なわかりやすさは、日本文化の誇りとも言えるもの。
その後、近代から始まった、いや、手塚治虫以降といわれてきた
日本マンガ文化の原点に、こういう表現力が力強く息づいているのだ、と実感されます。
しかし、展示されているほかにも、
ここ東京国立博物館に保存されているものって、すごいんですよね、そのおびただしさ。
展示されているものを丹念に見るだけでも
たぶん、一週間程度は優にかかりそうです。時間を見つけては、行くしかありませんね。
たまたま、今回2度行きましたが、ようやく、本館と東洋館をざっとみただけ。
多くは撮影も出来ますから、まさに日本民族の事跡をここでたどることも出来る。
上野の一角に集められた日本民族の宝物の数々には圧倒されます。
その多くは、数限りないみなさんからの「寄贈」によるものなのですね。
本館には、その寄贈者の名簿が展示されています。
まぁ、東京に住んでいるわけではないので、難しさはありますが、
時間をなるべく作っては、ぜひ数多く訪れてみたいものだと思います。
で、円空のイラストですね(笑)
すっかり、話題が飛びまくりです。
円空さんって、身分的には正規の僧ではなく、たぶん遊行僧だったのでしょう。
漂白しながら、その土地土地で、ひとびとから頼まれて像を刻んでいたのですね。
イラストでうしろで手を合わせて拝んでいる人がいますが、
きっとこういう庶民の信仰への願いを、民衆の代表として造形したのでしょうか。
その土地で神木として伝えられるような自然木があり、
それをそのままに像を刻んで信仰に魂を吹き込むようです。
かれが造作した仏像の直截さ、がほんとうに手に取るように伝わってくる迫力です。
今回の「仏像展」のなかでもひときわ強く惹かれた小展示でした。

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