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日本的ガーデニング装置

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写真は福島県白河市での取材先でのもの。
古い城下町としての敷地割りの土地に建つ住宅で、
間口が狭く、そのかわり敷地の一番奥には、代々丹誠を込めてきた
四季変化をたっぷり楽しめ、見事な樹種が咲き誇る。みごとな庭があります。
生活を楽しむ、という装置としての庭の存在が、この家の最大ポイント。
その土地で現代的な暮らしが可能なように建て替えることで
代々の住まい手である祖先の暮らしの息づかいまで
感じられるような空間に抱かれて、過ごされているのです。
このテーマに沿って、敷地の奥のほうに寄せられた玄関から、庭にむかって
ウッドデッキが広く取られています。
隣家との間にはごらんのように目隠しとしての収納が装置されています。
これは庭作業をいろいろに展開するウッドデッキのために
庭仕事などの道具やら、その他、家の中にはしまい込めないものを
保管しておくための、外物置的な装置。
しかし、そのデザインでも、しっかりとライフスタイルをわきまえて
扉を目透かし状に、ルーバーのように造作していました。
ちょうど、庭で採れた、とうがらしの乾燥に使われていましたが、
こういう扉デザインにしておけば、物置内部に確保するたっぷりの通気を
こうやって、外側でも吊り下げて使うことで利用できるのですね。
ルーバーって面白くて、デザイン的に見れば
普段の時はその中の収納物って、そうは気にしないが、
案外気をつけると、その中に仕舞ったものはおおまかに認識できる。
来訪者などは、その中のものなんて、ほとんど留意しない、
そんな「あいまいさ」をもたらせてくれるもののような気がします。
ここでは、そういう装置が実にうまく生かされているなと感じました。
ガーデニングって、一時期、英国風のスタイルとして
もてはやされたと思いますが、
日本の伝統的な生活装置のなかには、実に巧みな手法が
たくさんあり、また、日本の植栽に似合ってもいると感じます。
それにしても、こういう風情って、
いかにも日本的な季節感を醸してくれていて、
その土地での暮らしの味わいそのもの、という印象を持ちましたね。

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