本文へジャンプ

【森の環境建築 「人を暖める」ものづくり】

3156
3157

きのう朝、前から一度は行ってみたかった、
輻射熱暖房器メーカー・ピーエスさんの岩手県の工場オフィスを訪問。
ピーエスさんのこと、その歴史などを詳しくは知らなかったのですが、
なんとなく単なる暖房器メーカーというよりも、
その企業のめざすものの静かな開示という姿勢が、その生みだした建築に
明瞭に浮き出ているという点で、あるリスペクトを持って受け止めていました。
北海道北広島の工場、ゲストハウス見学でもその思いを強くしていました。
東北岩手、盛岡近郊の松尾八幡平ICを下りてすぐにこの建物は立地している。
「PS」という企業ロゴだけの入り口サインを抜けていった森の中に
めざす建築はたたずんでいました。

先日、新建築住宅特集さんが特集された「環境住宅特集」に
やや違和感を感じ、ちょっと申し訳なかったけれど異議申し立てしたが、
やはり環境建築というもののありようとしては、
その佇まいにおいて、ある静寂性、静かな主張性というような要因が
欠かせない属性・感性なのではないかと思い続けていた次第。
声高に主張すると言うよりも、できるだけ主張しない
シンプルな構成要素、選び抜かれた簡潔さこそが好ましく思える。
その選択においては、それこそコンセプトに忠実で正直であること、
そのようなものとして「環境」という建築はあるべきなのでは。
喧噪の中で、これ見よがしに騒ぎ立てるようなものとしてではなく、
静粛な主張性こそがふさわしいのではないかという思い。
ピーエスさんの企業のありよう自体に感じてきたことが、
そういった思いのベースのような気がして、訪ねてみたくなったのかも。
聞いたら、ピーエスさんの輻射暖房は、
1972年札幌冬季オリンピックの時に、主に北欧からの選手たちの
暖房器に対しての感受性の申し立てがあって、普及が進んだとのこと。
それまでの暴力的な暖房、空気暖房のけたたましさに対する違和感。
より静寂で、人間を「暖める」思想への志向性ということでしょう。
北国人としては、この部分には深く共感を持つものです。
簡素な素材たちで構成された空間、建築に、
共感とともに、深く癒されるなつかしさを感じた次第であります。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.