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琳派を見る・静嘉堂文庫美術館見学

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きのうから東京に来ています。
本日から2日間、丸谷真男さんが主宰するエコハウス研究会の
「作品発表会」が行われるので参加する予定です。
その開始時間が早いので、前日に入ったのであります。
ということで、休日の都内、2軒の美術館巡り。
午前中は上野の森美術館で「肉筆浮世絵」展を鑑賞。
こちらの「静嘉堂文庫美術館」には午後に向かった次第であります。
わたしもはじめて来たのですが、
来歴が三菱財閥によるコレクションの展示施設とのこと。
世田谷、二子玉川駅からおよそ1.5kmほどの小高い丘陵上に
この施設とその庭園は存在しています。
いまや都内有数の敷地面積の広大な敷地の中にあり、
やや浮き世離れした佇まい。
近代資本主義日本を牽引した大財閥の余韻が残る施設です。
世田谷の閑静な住宅街のなかということで、
東京都内とは思われないほどの静寂感が支配的。
「沈黙こそがその都市の文化である」と言われている出江寛さんの
言葉通りだということが実感されます。
展示施設の改装工事が終わっての展覧会ということ。
今回の展示は、三菱財閥が日本美術のキモと考えている琳派から
俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一の大作を中心に構成されていました。
宗達の「源氏物語関屋・澪標図屏風」(国宝)がメイン。
国宝は来歴がきちんと証明しうる作品であることが
不可欠な要素になるのですが、わたし的には
その絵に隣接して展示された「四季草花図屏風」に魅了されました。
こちらは、俵屋宗達の京都における工房組織だった「俵屋」が
そのブランドマークとしていた「伊年」と刻された屏風図。
残念ながら、6曲1双でその左隻のみの所有だそうですが
しかし、その華やかさ見事さは、筆舌に尽くしがたい。
きちんと俵屋宗達制作指揮作品と証明されれば、
かれの「風神雷神図屏風」と並び立つ日本絵画の代表になれる、
そんな彩りを放っていました。
さらに酒井抱一の「絵手鑑」と題された全72図の作品も圧巻。
展示ではその一部を順繰りに展示するようですが、
スライドショー動画に編集されたものが見られました。
まことに素晴らしい。すべての構図が完璧です。
琳派そのものが日本的デザイン感覚そのものだと思うのですが、
それがもっとも明瞭な作品ではないかと。
展示数は少なめの美術館ですが、たどりつく道程も含めて
まことに楽しい体験を得られました。

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