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建築家・小室雅伸さん新刊出版 -1

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先週土曜日に、本来は休日なのに用事があって会社にいたら
「こんにちは、北海道建築工房です」という訪問者。
親しくしている設計者・小室雅伸さんの設計事務所所員の方。
で、手に持っているのは、建築技術書の有名出版社「彰国社」から出版した新刊書。
名前が長い(笑)。

「寒さ暑さに負けない建築設計手法」2400円。

「ぜひ、読んでください」と差し出された。
もちろん、そういう出版をされるという噂は聞いていたけれど、
いろいろ忙しさにかまけて、失念していたところにご案内を受けた次第です。
「それはどうも、わざわざ・・・」ということで、
これは、なにかお返しをしなければ、とは思っていたのですが、
なにせ、なかなか老眼も進んでいるうえ(笑)、本を読むまとまった時間がない。
いや、本に書かれている内容と格闘的に対峙することが
体力的におっくうになっている。
なかなかやばいですね、こういう状況(笑)。

小室さんは、わが家の設計を依頼した設計者の兄貴分的な存在で
かねてから、というか、
わたしが住宅雑誌の方向性をある程度、目的的に思索した頃に
おおむね考え方の方向性に強い共感を持った設計者です。
で、北海道ではブロック造外断熱というのが、ひとつの完成形に近い形だ、
というような考え方に、自宅建設では同意して、
そのような住宅を建てて、今現在も住みつづけています。
安藤忠雄さんがコンクリート打ち放しの住宅を作り続けている頃
このブロック素地表しの「内皮」が生み出す空間の面白さと
静謐で、気密的で、断熱的な空間環境性の面白さに注目したのです。
これは厳しい自然条件の北海道で体験しなければわからないのだけれど、
逆に言えば、北海道が生み出す必然性に満ちた具体的な革新性だと思ったのです。
基本的な外皮をしっかりと作り、その創っていくプロセスで
暮らしのイレモノとしての住宅建築の喜びを感受できる空間に挑戦していく、
みたいな姿勢を、メディア側としても共有したいと強く思った次第です。
北海道の厳しい気候環境が生み出す、
まったくあたらしい建築文化に注目しようと考えたのですね。
そしてそれはいまに至るも,まったく変わっていません。
北海道の現代住宅は、そんな流れで
基本的に創られ続けている部分があると思っています。
それが主流的なのかどうかはわかりませんが・・・、
本の中で北海道の「全館暖房普及率」が、1989年に15%だったものが
2004年に80%を超えた、という記述があります。
まずは、目指してきた基本的な立脚点は見えてきたのかも知れません。
で、その上で、どんな面白い空間創造ができるのか、
北海道が、日本にフィードバックしていく「住文化」を生み出せるのかどうか、
それが現在的なテーマだと思っています。

最近は、温暖地域で、ようやく「環境建築」的な志向に
めざめたような動きがあるとされていて、
たぶん、東日本大震災が3月の、それも極寒気候の時に襲ってきたことが
そういった動きにプラスに働いているのだと思いますが、
長年、目に触れられなかった北海道の建築研究者や、建築家に
注目してきているような動きがあるようです。
「彰国社」さんから、相次いで、
寒冷地住宅研究のパイオニア・荒谷登さんや、小室雅伸さんに
発刊の注文が来たというのは、たいへん喜ばしいことだと思います。
ぜひ、読まれることをオススメいたします。
一応、他社の出版物ですので(笑)、ここから直接通販サイトにはいけません。
悪しからず。
この本の内容について、しばらく雑感を不定期シリーズで書き続けたいと思います。
よろしくお願いいたします。

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