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日本は対米「自立」を選択できるのか

最近になって、孫崎亮さんという
外務省国際状局長だった人が
日米関係、というよりも超覇権国家・アメリカの国家戦略を通しての
戦後国内や世界の動向の見方を
いろいろな書籍で発表されるようになって来た。
これまでもわたしが感じ続けてきたような見方を
具体的な対米交渉を肌で感じ続けてきたひとが発表されると言うことで、
その具体的な様子がわかってきている。
ある意味で、占領国家アメリカが日本社会に対して
どのような「制度的仕掛け」を施してきたのか
ということについては、アンタッチャブルな世界だったと思う。
東京地検特捜部の成り立ちから、その組織的骨格について
明確にアメリカの対日戦略実行部隊であると指摘までしている。
もっとも基軸的な日本社会の規定要素であるのに
それを正面から論ずることは、危険視され続けてきた。
まずマスコミは、アメリカの戦略の走狗の役割を果たしている、
という明解な指摘をされています。
氏が書かれている本は、小学館などの大手から出版されている。
小学館からは「アメリカに潰された政治家たち」という
刺激的そのもののタイトルの本まで出版されている。
興味を持たれるみなさんは読まれるといいと思います。
現場的な書かれ方の説得力によって、
これまでのアメリカ迎合的な論客たちのいいかげんな論説に
いかに惑わされ続けてきたのかが明らかになります。

それとはちょっと別なことなのですが、
では、どうしていままで外務省関係者から出てこなかった見方が
なぜいま、この時点から大きく露出するようになって来たか、
という問題です。
氏の出版活動自体は2009年まで外務省、あるいは
防衛大学校教授を退隠されて以降の執筆ですから
たぶん、それ以降に活発化してきているのだと思います。
なので、そのこと自体は自然であると思うのですが、
このような見方が日本の社会の中で一定の
市民権を得てきているという意味も含めてきわめて興味深い。
氏がテレビのようなメディアに露出してくるようになるのかどうか、
日本の国家民族的利害を貫徹しようと考える自立派に対して、
いまの日本社会を規定しているアメリカ追従派が
どこまでその主張開示を許してくるのかが、まだ見えない。
たぶん、いまもっともホットな論点はここになるのではないかと思われます。
日本自立派、という概念は対立するふたり、石原慎太郎や小沢一郎が
これまでも断片的には言い続けてきた。
政治スケジュール的には小沢一郎への執拗な東京地検特捜部の追求が
この11月12日にも最終的に結審する。
そしてそれ以降、いわば「日本自立派」という勢力が結集できるのか、
そういうことを「半」占領国家アメリカは、
日本に対して許すのかどうか、
戦後から続いてきた大きな底流としての日本の政治の流れが
局面転換していくのかどうか、
この間の状況を見ているとそんな思いがしてきています。

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