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床の間の用途

日本の住宅の中に、
こういう床の間って、ある時期まで判で押したように
大量生産されたのでしょうね。
日本の木造在来工法の空間性を象徴的に表すデザインだったのでしょう。
意味がどうこうよりも、床の間がある、というのが、
日本人のどっかに刷り込まれた「豪華さ」だったのだろうと思います。
日本的な絵画美術である掛け軸が掛けられて
その家の精神的風格感を表現して
右側のスペースには、主に、これも家としての格を表現する
美術品などの展示を行っている。
どちらにせよ、抜けがたく、客に対しての配慮とか
家と他者、というような関係性を主旋律にして構成されている気がする。
もし家族だけの閉じられた住宅であれば、
こういった神聖空間は必要がないと思われる。
事実、伝統と言うよりも、生活合理性のほうが進化した
北海道の住まいからは、基本的に和室すら失われていっている趨勢。
このような方向性に対して
その文化のなさを嘆く、という考え方を持つか、
いやむしろ、そういう方が日本人的だというように見るか、
どうも、どちらもアリっていうように思われます。

この写真のような空間性が、
大量消費社会の中で、日本人の基本的なすまい感覚だ、というように
押しつけられたのは、無理もなかったかも知れないけれど、
やはり合理主義で考えれば、
他者との関係性というよりは、個人主義とか
より小さく納まっていった家族構成とかの日本人の暮らし方環境変化が
より家族生活重視の方向を目指しつつあるのは間違いがない。
今の日本人のライフスタイルとしては、
旅行に行くとしても、基本的な宿泊場所はホテルだろうし、
友人の家に泊まりがけというような、そういう濃い関係性は忌避される。
元々の生活スタイルが、個人生活やプライバシー優先になっているので
こういう変化は、そちらの方が無理がない。

でも、やっぱり、こういう空間性自体は
しっくりとくる。
わが家も、全然こういう部屋や空間はないのですが、
私自身は、もう一軒建てるとしたら、
こういった木造らしいハレの空間が欲しいとも思う。
なかなか、微妙だなぁと思いますね。

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