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江戸情緒の街並みにて

東京では下町の門前仲町に泊まることが多い。
出掛ける前に散歩するにも、
深川八幡(富岡八幡宮)とか、深川不動尊とかの
「門前町」の風情を楽しむことが好きなんです。
きのうも朝、街を歩いていたら
「深川丼」という店前で思わず足が止まってしまった。
間口が1間半くらいしかない小さな店なんですが、
何年前から商売をしているのか、といういい風情。
深川というのは、江戸の頃は、というか、いまも
「江戸前」の海に面している街なので
名物として「あさり」がたくさん獲れていた。
それを漁師たちが「まかない」として、
初めは味噌汁をめしにぶっかけて食べていたものが始まりなんだとか。
それが段々に変化していって、煮込んだあさりを具材にして
工夫を凝らした味わいのドンブリにしているのだそうです。
っていう店先なんですが、
なんともまぁ美しい鉢植えが店前に置かれている。
ほとんど気付かないくらいのさりげなさで置かれている。
千両万両、っていうような名前が頭によぎりますが、
よくわからない。
けれど、丹精ぶりが伝わってくるような姿・かたち。
それも色合いがなんとも微妙で、絶妙。
まるで宝石のような美しさをたたえております。
店前に置いておくようなものですから、
そう高価なものではないでしょうが、
わたし、みたことがない植栽だったので、目を奪われた次第。
道を歩く人もあんまり気付かないようなんですが、
こういった小さな点景が、街並みのそこかしこに点在する。
街に暮らしているさまざまな庶民の
街を彩ろうとする小さな創意工夫が、調和を見せている。
決してきらびやかで豪華ではないけれど、
それでも輝きを持って伝わってくるものがある。

日本の「街並み」ということですね。
盆栽や鉢植えというのは、江戸下町を彩る重要な要素だったと
なにかで見聞きしたことがあります。
こういう全体、街の雰囲気全体として情緒性がきわめて高い。
しかもいまでもそのまま、庶民の生活が生き続いている。
「街並みがない」と言われ続けてきた
北海道人として、こういう部分では確かに学び取りたいと思います。
それにしても、美しい・・・。

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