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北方日本の暖房の歴史_8

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写真は「蓄熱暖房器」の解剖写真です(笑)。
大変単純な構造になっていて、200Vの電熱線が配線されている周囲に
蓄熱のための「レンガ体」が配置されているという原始的とも言える機器。
こういうものなので、メンテナンスというのがほとんどいらない。
まぁ、地震などの時に転倒すると困る、という程度。
そのために建物としっかり固定させる必要がある。
ただし、場所を取る(笑)。
けっこうでかいのですね。
熱を持っているものなので、あまりカーテンと近づけたくはない、
周囲に可燃性のものは置かない方がいい、
などという条件を考えていくと室内の広さが一定必要になる。
っていうようなことが、住宅設計上、注意しなければならないというところ。
きのうも触れましたが、
この暖房方式では、蓄熱の容量が限度があるので、
燃焼機器の暖房のように、必要に応じて暖房をどんどん焚くというわけにはいかない。
必然的に、住宅の性能の方で熱ロスを抑えない限り
安定的な室内環境を維持できない。
ほかの地域の条件とは格段にきびしい条件の中で、
北海道電力や東北電力はオール電化を進めなければならなかった。
要するにビルダーによってはオール電化をお勧めできない場合がある、ということ。
こんなことが、全体としての住宅性能向上に
大いに力になった部分があるのではないかと思います。
実際に、2×4ビルダーとしては地域一番店と思われたビルダーさんの
住宅実例をオール電化初期に取材しましたが、
そこではいま考えると、過剰なまでの台数の蓄熱暖房器が設置されていた。
やはり、万が一寒かったら困る、というプレッシャーは相当だったのですね。
その家ではなんと、真冬でも窓を開けたりして室温を下げていました。
初期にはそのような過剰反応まで出たりしていたのですが、
ビルダーさんの方でも、自分の建てる住宅の性能について
見切りも付いてきて、またそういう性能を数値化して計算も可能になってきて
徐々に、暖房機器の台数は減少していきました。
現在では十勝地方で、1台だけで済ませているケースも出てきています。
しかし、多くのビルダーさんにとって、
オール電化住宅のブームのお陰で自社の住宅性能が向上した、
というのも見逃せない事実なのではないかと推測いたします(笑)。
北海道でのオール電化は、
現在までに約20年くらいの実績が積み重なってきていますが、
考えてみると、こういうこともやがて歴史的なことになっていくものなのだなぁと、
不思議な気持ちになってきますね。
当初は、電気で暖房なんて・・・、
という声が一般的だったものが、
いまでは、新築では常識的にオール電化、という選択になってきている。
まさに隔世の感しきり、といったところです。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び

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