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竹の床、再発見

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わたしのライフワークになってきた感のある全国古民家巡り。
って、まぁ、自分だけの仕事の研究も兼ねた楽しみみたいなものなんですが、
でも講演などで紹介すると、みなさん興味を持っていただける。
とくに昔の住宅に残された性能的な工夫というものをお見せすると、
ふしぎと笑顔が広がるんですよね。
なぜなんでしょうか?
考えてみると、やはり先人に対する畏敬の念というもの、
あるいは自分たちのアイデンティティに対する好もしい感情がわき起こるものなのでしょう。
そこには「昔の人たちもものすごく考えていたんだ」という驚きもある。
そういうないまぜのものが感情を刺激してくれるのでしょう。
そんなひとつが、この写真。
関東の古民家、神奈川県の住宅なんですが、
以前、沖縄の離島の住宅で見た「竹の床」がここでもあったのですね。
竹の床って、性能面で見れば、なんといっても通気性に優れている。
屋根や建物本体が夏場の強い日射を遮るので、
相対的には床下の温度は他と比べれば低い。
その温度差をもっと活かせるように、通気させることを工夫する。
温度の低めの床下に入り込んでそこの湿気も含んで気化熱も奪いながら
上昇気流を室内に導入させるのに
この「竹の床」って、たいへん効果的だと考えられます。
たぶん、足下からの空気の流れが、
夏期の室内環境を心地よいものにしてくれていたに違いない。
また、竹踏み健康法じゃありませんが、
肌合いの心地よさはこたられなかったに違いありません。
気候的には、神奈川地域は沖縄とたいして違いのない
海洋性亜熱帯的気候なのでしょう。
そういう条件のもとで、いわば暮らしの心地よさの探究として
このような床仕上げを伝統的に行ってきたのでしょうね。
戦後以降の日本全国画一的家づくりの結果、こういう伝統、
技術的伝承など、多くの「地域の心地よさ」というものも顧みられなくなっていたのでしょう。
今日では、たぶん、こういう床組の仕方の職人的技術も
地域の技術として残っているのかどうか、
残念ながら、残ってはいないだろうと思われます。
地域での心地よい暮らし方、という
当たり前の技術が発展せずに、画一的な住宅「販売」プロセスだけが
全面開花したというのが、ハウスメーカーシステムなのだと思います。
まだ、こういう古民家再生技術としてでも残っている内に
こういう地域らしい心地よさ、の復権を考えていかなければならないと思います。
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