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天然アスファルトの古代交易

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いやぁ、すごい発見があったのですね。
以下、26日の北海道新聞からの抜粋です。
貝殻跡付いたアスファルト塊 国内で初めて出土 
函館・南茅部の縄文遺跡(06/26 09:15)
<アワビによく似た貝殻の跡が付いたアスファルト塊>
 国宝中空土偶の出土で知られる函館市南茅部地区で、中空土偶が作られたのと同時期の縄文時代後期後半(約三千五百−三千二百年前)の豊崎(とよさき)B遺跡から、アワビとみられる貝殻の痕跡が付いた天然アスファルトの塊が国内で初めて出土した。<中略>天然アスファルトは、本州から交易で道内に持ち込まれた。南茅部地区には九十一カ所もの縄文遺跡があり、そのうち磨光(まこう)B遺跡などから出土したアスファルトの塊は秋田産であることが確認されている。
天然のアスファルトは、矢尻などの修復に使用されたのではないかと推測されているけれど、
狩猟採集が基本的な食料獲得手段だった時代に、
貴重な道具類を長く使うために、魔法のような材料として利用されたのだろう。
そして、その産地から、厳重に保存されながら「輸出」された。
その方法が天然の貝殻に詰め込んで、
というあたり、まさに目のくらむような知恵に驚かされる。
まぁ、人間がやってきたことなので、
こうした交易の実態局面での、知恵と工夫の実際に触れると、
まさに畏敬の念に深く打たれざるを得ない。
そして、こういう交易品についての知恵が語り伝えられるネットワークも存在していたのだろう。
秋田県から、北海道南部の地方まで、というのは
当時の活発な漁業と海運の様子が生き生きと想起される。
北海道でしか発掘されない黒曜石が、高級な狩猟のための石器として珍重され、
それが広く本州日本海地域から、北東アジアまで発見されるというお話を聞きましたが、
こういう時代の道具を巡っての知恵と交流の様子が
まるで、現代の交易とそう違いのない感覚で理解されます。
やはり、北海道の育ちの人間なので、
文字を持たない時代の営みのことも含めて、
ものすごく興味深い。
いろいろに周辺的な歴史事象から、想像していくしかないのが、
北海道のひとびとの歴史なんですが、
いろいろ知識が積み重なってくると、
東北の「蝦夷」たちとの交流の深さというのが基本のように思う。
そして、さらに北方世界の北東アジアの沿岸少数民族との交流。
そうした流れの中で、
こうした天然資源やら、北東アジアからもたらされたと推測できる
馬の交易ルートなど、豊かな交易の実態がほの見えてくる。
そうしたものが、歴史に登場してくるのが
安倍氏・清原氏・藤原氏といった東北地方の時代なのでしょう。
まさにヤマト朝廷にとって、魅力的な豊かさに満ちた交易品が
きら星のように輝き、決定的だったのが金の産出だったのかも知れません。
いよいよ、古代北方世界の探求、面白くなってきたところです(笑)。
写真は先日触れた「達谷窟」の崖面に刻印された仏像。
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