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後藤純男さんと花鳥風月

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きのうは大変素晴らしい好天で、ほんの1週間前からの寒さからは
想像も出来ないくらいの初夏の陽気。
万が一の仕事連絡を考えてクルマに持ち込んで積んでいた愛機ノートPC、
MacBookProをあとで立ち上げたら熱暴走気味の不審な動きを見せるほどの
温度上昇の一日でありました。
ということで、前から行こうと計画していた
上富良野町の「後藤純男美術館」まで鑑賞ドライブに。
高速を札幌から飛ばして、三笠で下りて
そこからは富良野までの国道ですが、
この道はよく知られている緑こぼれるようなドライブルート。
1週間前まで、ことしは春が来ないのではないかと心配しているほどでしたが
木々は、どの個体もじっと信じて遅い春の訪れを信じていたようで
見渡す限りすべての木々がそれぞれに一斉に、みごとに芽吹いてくれていました。
ことしの北海道のさくら、ヤマザクラは、
葉が花よりも先に出てしまう残念な開花でしたが、
それが表すように、木々は、それまでにすべての準備を整えて
気温の上昇を待ち続けていたのですね。
そんな新緑の中を抜けて、富良野から上富良野へ。
写真のような十勝岳連山のふもとの美術館に到着しました。

先日何かの案内で、
ことしから、音声案内を導入したという知らせを受けていたのですが、
多くの作品にそうした画家自身に取材した「解説」がついていて、
深く理解出来て、たいへん楽しかったです。
この美術館は、北海道にあるけれど、
日本美術の最先端に位置することはあきらかで、
そこで画家の大作群を一気に見られるのは、得がたい体験機会。
寺院の子として生まれながら、画業を志して
生涯を貫いてきた軌跡をたどることができます。
東京芸大の主任講師を長く務められ、
日本画界の至宝とも言うべき画家さんなのですが、
あまりにも全国レベル・世界レベルなので、
北海道内ではむしろそれほど知られていない。
きのうも、時折団体観光バスツアーも来館するのですが、
その波が去ってしまうと、わたしとカミさんふたりで作品群を独占鑑賞できる。
まことに豪奢で、たっぷりとした豊かな時間を過ごすことができます。
画家の作品は、日本人的な美意識、花鳥風月の現代でのありようを
鮮明に伝えてくれていると思うのですが、
その最先端的な「花鳥風月」ニッポンが、この厳しい風土条件の北海道で
ふたたび大きな息吹を再体験しようとしている
その大きな現れではないのかと感じています。
画家は、日本の美意識の基本になる奈良・京都の古都のたたずまいを
若いときからずっと取材し、スケッチし続けてきた。
そういうなかから、日本人の作り上げてきた造形感覚の中心的美意識をつかんでいる。
それは、建築化されたような京都の自然と建物のおりなす空間美を
みごとなまでに客観化してみせてくれている。
そうした感性を持って、北海道のこの自然に向き合って、
いわば、拡大した花鳥風月の世界を、新たな日本画作品として描き出している。
日本の側から、北海道への愛を表出した世界なのだと思います。

たいへん楽しい時間をふたたび持つことができました。
帰りに、短時間ですが艦長さんともお話しできました。
深く感謝しています。

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