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【感染症と住環境 106年前の「結核予防心得番付」】


全国的には新型コロナ禍、やや減少傾向が見られてきている。
本日、面積的には日本の大部分を占める県域で非常事態宣言が解除される方向。
しかし全国有数の突出地域である札幌を抱える北海道は、道遠しといったところ。
地域として「共存共苦」を受忍し、なんとか乗り越えていきたいと念願します。

写真は知人からメールで送られてきたもの。
「東京都公文書館」のTwitterアカウントから2014年3月26日情報発信された。
1914年(大正3年)3月20日から7月31日にかけて、当時の東京府が主催し、
東京市の上野公園地をおもな会場として開催されおよそ750万人を集めた
「東京大正博覧会」での展示ポスターのようであります。
題して「結核予防(豫防)善悪鑑」。
行司として結核菌の発見者・ドイツの医学者ローベルトコッホさんの名前。
結核はいまでも日本で年間約2万人以上が発症し、
2,000人以上が亡くなる最大級の感染症。
いま話題になっている「BCG」予防接種の機縁となった感染症であり、
日本史の中でも有数の被害をもたらし続けてきた感染症。
そういった感染症に対して、社会としてそれと併存しながら折り合いをつけていく、
という目的から、広く国民に生活習慣レベルでの「注意喚起」を呼びかけていた。
このポスターは、日本人に親しまれている相撲の「番付表」表現形式を
ツールとして利用し、感染症とどう対応すべきかをアピールしている。
感染症は目に見えない敵であり、生活習慣で戦い続けるしかない。
そういった昔人の知恵がここには表現されている。
<表現上、一部を色づけしたのはわたしの操作です。よろしく。>

活字表現が一部不鮮明な部分もあり、推測しながら読解の要がある。
番付らしく「東西」に分かれて、右側が「善の方」左側が「悪しき方」。
●悪い方の横綱は「結核菌と薄弱な体質」が筆頭にあげられている。
張り出し横綱には「結核を不治の病と考えること」という意味と受け取れる記述。
大関は「煩悶幽鬱」とある。なんでも否定的な受け取り方への戒めか。
続いて関脇は「不性」。これは生活態度の乱れを戒める意味でしょう。
さらに「規律のない飲食」とあって、イマドキの夜の街クラスターとも相応するか。
以下、「汚濁・人込(混)み・街路の塵埃」という不衛生が指摘されている。
これもいまの「密を避ける」「接触機会の8割削減」とも通ずるのではないか。
そのあと「蠅多き臺所(台所)」とあるのは、当時の住宅の問題点なのでしょうか。
●一方で、善き方の横綱には「日光と空気」と大書されている。
「張り出し横綱」は読解不明なのだけれど、「結核は遺伝ではない」という考え方のよう。
大関には気の持ちようとして「楽天快活(𤄃)」が上げられている。
この先人たちの指摘は今回の新型コロナ禍では、どうも見落とされ気味のように思う。
どうしてもヒステリー的に危機あおりが横行しているのではないかと・・・。
以下、関脇:潔癖、小結:禁酒節酒、前頭:清新な林野公園の空気とあり、
やはり夜のクラスターには否定的な生活様式が推奨されている。
そういう娯楽は感染症への注意としては一時ガマンすべきなのでしょうね、やはり。
続いて横綱と関連するように「明るき居間」という住宅思想が上げられている。
住宅づくりに関連する考え方として「日射取得・採光、換気の重要性」という
基本事項がしっかりと明記されていることがわかる。
今回の新型コロナ禍でも、換気の重要性が社会的にアナウンスされてきていますが、
百年前もいまに至るも、こうした「感染症と住宅の知恵」は、変わらない基本とわかる。
太陽光取得に素直であり、暑さ寒さにはしっかり防御し、
しかも清浄な空気環境をつねに心がけるというのが先人からの「戒め」。

・・・日本の歴史と感染症、そして住環境のかかわり、
ちょっと掘り下げ、このブログ連載で思いつくまま、探究してみたいと思います。
みなさんもお気付きのことがありましたら、ぜひコメント期待。

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