本文へジャンプ

【道具と言語は脳の同じ領域活動。さて住宅は?】

きのうの「人類誕生第3回、サピエンスついに日本へ」の続きです。
NHKというのは公共メディア。こういった番組制作では相当の制作予算があるに
相違ないと思われますが、取材の幅の広がりにも驚かされた。
この番組の取材協力先には国立科学博物館の名が挙げられていましたが、
そうした取材先から、最新知見に基づいた取材先選定が行われたものでしょう。
この番組では、人類が寒冷気候を克服するのに「縫い針」を発明する過程が
追跡的に解析されていた。
その解析結果を工程ごとに映像化して、被験者に繰り返し視聴させることで、
いったい人間の脳の中でどの部位がもっとも刺激を受けるかについて
実証実験を繰り返したその結果を伝えてくれていた。
アメリカ・エモリー大学のディートリッヒ・スタウト博士という方が実験された。

門外漢なので、そういった映像を繰り返し見せて、
反応する脳の部位が、そのことに深く関係しているという判断が
妥当なのかどうか、それすらもわからなかった次第ですが、
こうした番組制作上の取材プロセスを想像してみれば、了解可能なのでしょう。
で、この番組の白眉と思われる結果情報として、
人間の脳内領域で「道具」と「言語」は同じ部位で思考されていると。
この情報知見は、たぶん人類進化の最大のキーポイントであるに違いない。
この世界で生き抜いていく、進化していくのに、
人類は石器から始まって、つねに道具とともに歩み続けてきた。
その進化プロセスの推進力が、コトバを司る領域と共有されている。
そういった知見が得られたことが、素晴らしいと思いました。
そして、その機縁が寒冷気候への対応が最大の動機であったことも、
事実としてあるということが、まことに示唆的だと。

わたしは主に、ニッポンの寒冷気候・北海道などでの住宅のあり方という
仕事領域で考えて、情報を編集企画してきた人間ですが、
「住宅の起源」という領域では、こういう研究志向性は乏しかったのではと思います。
いや、ほとんど住宅領域の研究というのはいきなりカタチを考えてきたのでは。
そもそも住宅というと、竪穴からスタートするのが一般的。
しかし、その動機になっただろう「定住」ということはそもそもなぜなのか、
そういった解明もそれほどなされてはいないと思っています。
目的があきらかにされずに、結果としてのカタチが先に存在するような理不尽さ。
そういう意味では以前、「人類史の定住革命」を読んだことが想起されます。
人類進化の過程では住宅を得る、使うというのは
ほんの最後のワンシーンにしか過ぎないのでしょう。
そういった意味では相当に新しい人類的体験領域ということができる。
そして住宅というのは、人類進化のなかでも相当に大きな「道具」。
人間がいごこちよく過ごす工夫が具体的にカタチになったのが住宅でしょう。
これをより良くして行くには、どのような解析があるべきなのか、
そういった興味に対して、今回ある明瞭なヒントが得られたような気がしています。
やはり寒冷などの気候に立ち向かうことで、知見は革新されていくのでしょうか。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.