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【震災時、木造仮設大量実現の福島住宅行政】

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きのうは日本でも唯一の、なかばオフィシャルな工務店企業の全国組織、
JBNの全国大会が、福島県いわき市で開催されました。
ことしで9回目の大会で、わたし自身は数回参加していますが、
東北での開催、日頃からお世話になっているエコビレッジ・和田社長が
全国大会のホスト役ということで、取材を兼ねての参加であります。
JBNは、国交省などの国の行政機関とのパイプ役として
工務店企業が意見具申するとき大きなパワーを持っています。
はじめての東北地区での開催に当たって、東日本大震災、
それももっとも厳しい原子力災害に見舞われた福島県の
対策の最前線とも言えるいわき市で開催されたのです。
こういった全国組織大会では、交通の利便性がより優先されるのですが、
今回に限っては、このような象徴性が優先されたと言うことで、
総会の中では何度も「交通の不便な」という枕詞が交わされていました。

っていうような次第でしたが、
きのうの講演では、もと福島県の住宅行政の中核であった
佐々木孝男さんの講演を聞くことが出来ました。
氏は現在は福島県を退職され、「ふくしま建設住宅センター」の
理事長を勤められています。
氏は、震災直後の時期にわたしどもが発行した
東日本震災からの住宅復興ボランティア情報誌で、
福島県の木造仮設住宅の実現経緯についてインタビューさせていただいた。
これまでも震災毎に、なぜか地域工務店は災害仮設住宅建設から
オミットされて、プレハブ協会のみが受注主体になって来ていた。
その不合理な状況に大きな風穴を開けて、
福島県では木造の仮設住宅を大量に実現させたのです。
インタビューでは、地域工務店との協同による地域起こし的な
住宅施策に福島県は大きくカジを切ってきていた経緯が示され、
その大枠の推進構造を活かして踏み切ってきた状況がうかがえました。
あの時期の生々しい状況が再度思い起こされた次第です。
わたし自身、ああいった状況の現場にいたことがまざまざと思い起こされた。
福島県の沿岸地域を取材や訪問していて、
その現場感覚をもう一度、呼び覚まされたような気が致しました。
その後も福島県住宅行政としては進化を続けられていて、
2枚目の写真のように災害公営住宅建設応募について地域工務店に対し、
その「提案内容」について受注した事業者と各社の「獲得点数」を
前者についてはHPで、後者についても各社宛に明示し続けているとのこと。
その「選択基準」も明示しているとのことで、
公明性の確保と、地域工務店の自律的技術向上支援を両立させている。
全国の地方公共団体の中で、北海道を別にすれば、
たいへん目的的な地域工務店支援活動を行っていると思いました。
講演後、佐々木氏と懐かしくお話しさせていただきましたが、
北海道からの工務店グループからも共感が広がっていました。
たいへん有意義なお話しを聞くことが出来ました。
今後にぜひ活かしていきたい地方公共団体の動きだと思います。
住宅をよくするには、建て主利用者と、作り手だけではなく、
行政担当者サイドの意識変化も不可欠なのだと思われます。

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