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新宿区西落合・自性院

新宿区での取材のときに、すぐ近くに発見したお寺。
境内に入ってみたら、実に美しいプロポーションのお寺で、ついパチリ。
真言宗のお寺で、猫寺という愛称が付けられているそうです。
空海の創建になるという伝えがあるそうですが、
太田道灌の時代に、その庇護を受けて有名になったそうです。
江戸を開いたことで有名な太田道灌は、北条早雲の活躍する以前の関東の
戦乱を戦い抜いた人物で、かれが戦争で疲れ切っていたときに
一匹の黒猫がこの寺に彼を案内してしばしの休息を得て
それから戦争に大勝利したことから、この寺に寄進するようになって
有名になっていったという寺伝なのだそうです。

日本の町、というのはどのように成立していったか、
という本をいま、読んでいますが、
いわゆる境内と、町家というのは一体的関係にあって
解放区としての寺社「境内」にとりつくように民衆の住居ができ、
そういった地域一帯が「町」に成長していく、ということなのだそうです。
地域一番の有力者が参詣することが多い場所周辺に
それに関連する商売が軒を重ねていくというのは、わかりやすい構図。
はじめは屋台のような形式からスタートして
徐々に周辺に建築的な建物が並ぶようになって
いわゆる「寺社町」というような成立をしていったものなのでしょうね。

ということなんですが
惹かれていったのは、この建物の美しさであります。
まぁ、近年になって建てられたものでしょうから
その建築の由来はわかりませんが、屋根が実に美しい。
軒先が盛り上がるという一般的な社寺建築ではなく、
寄せ棟の屋根自体が途中で盛り上がるようなプロポーション。
基本的には屋根の4方向に対して渡される梁は自重もあって、
その中間点は下がっていくのが普通の考え方。
それに対してここでは、中間点が盛り上がっている。
今の建築はどうもコンクリート製のようなのですが、
たぶん、プロポーションなどはそれ以前のものを踏襲したに違いない。
だとすると、こういう形でこの寺はあり続けたのでしょう。
建築というのは、多くの人間が集まってくるというものとして考えたら
やはりわかりやすい美しさというものは必要な要件でしょうね。
それもできれば、単純な形のものが親しみも湧きやすい。
あまりにも説明が必要なものは永続性に乏しい。
こういう単純な造形的美しさを実現したものの方が、
長く愛され続けるという意味では、よほどに大きな意味があると思います。

北のくらしデザインセンター
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