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東京脱出移住者の「資産価値」観

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面白いテーマ性をもった住宅を見学してきました。
ブログではふれられなかったのですが、
今週火曜ー水曜には、北海道の工務店ネットワーク・アース21の
旭川での例会に参加しておりました。
この会の例会では毎回、会員工務店の住宅を見学します。
最近、旭川市近郊の東川町は、移住先としての人気が高まっていますが、
見学した住宅は、そういうケースで
建て主さんは、東京の足立区に保有していた住宅を売却して
この町に移住を決めたという方。
お仕事はIT関係で、ブロードバンドの環境があれば、
どこにいても仕事はできるという仕事だそうです。
選ばれた土地は、東川でも人口密集地ではない山の中で
2つの山を包含した広大な土地を購入されました。
片方の頂のあたりを土木的にも「開発」されています。
近接する道路まで、自分で接道させる私道すら土木工事が必要な場所。
インターネットへのブロードバンド接続は地元のケーブルテレビが提供している。
仕事の関係で必要な「電波環境」的には、好立地だということ。
しかしたぶん、ヒグマの生活圏とも高い確率で重なることが想像できる。
また、冬には、除雪している道路まで、自力での除雪作業も必要になりそう。
っていうような環境を選択されたのです。
そして、そこで「資産価値の減衰しない家」を志向されて
住宅を建築されたと言うことなのです。

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見学にうかがった時間にちょうど、強烈な雷雨が襲ってきて
外観写真は、上の1枚しか撮影できませんでした(笑)。
まさか雨が来るとはほとんどの人が予想もしていなかったので
この写真を撮り終わってからは、全員、全力疾走で建物まで駆け上って行った(笑)。
室内は、大きな平屋空間で素材の質感が迫ってくる空間。
山暮らしの静寂観のなかで、薪ストーブの存在感がきわだつかのようです。
高窓から自然採光を取り、塗り壁の質感を通して
この地での日の光のうつろいを、室内からやわらかく感受することができる。

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そういった暮らしの価値感を支えているのは、
重厚な断熱という北国住宅の技術力。
窓は全部が木製3重ガラス入りサッシで、断熱は壁で300mmという仕様。
こうした「資産価値の減衰しない」住宅の中で
自然の営み、四季の輪廻と共生するような「生活の価値感」が伝わってきます。
東京から脱出移住される方には、こういう暮らしの素器が
確かさのある「資産価値」というように認識されるのだと感じました。

一方で、北海道にいると、人口は減少していくし、
住み続けていく家の資産価値という側面を考えると、
同時に過疎の問題というものが眼前の壁になってくるととらえるのですが、
このような移住決断者のみなさんは、少し違う認識。
どうやら地震の多発などから、大都会での暮らしに危険を感受して
そこからの脱出を考え、その上で住み暮らす「資産価値」というものについて
北海道人とは違う考え方をされるのですね。
いわゆる「住む」ということ自体についての価値感に於いて、
そんなふたつの「資産価値」への考えが、渦を巻いて想念として駆け巡っていた。
そんなユニークな住宅の見学体験でした。

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