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建築探訪・LAKAGU〜隈研吾

2018

今回の旅では、神楽坂の「LAKAGU」に期待していました。
隈研吾さんは、北海道大樹町の「メム・メドウス」を見学した体験があり、
そこでは寒冷地を意識したユニークな建築デザインが実験されていて
たいへん好感を抱いておりました。
アイヌチセを設計モチーフにして、床面をコンクリート蓄熱体にして、
テント建築だけれど、2重構造にして断熱し空気層も確保させていた。
ひとが住むという原初的な姿を見せてくれていて
非居住ではあるけれど、「建築を通してなにかを感じる」
という意味合いでは、伝わってくるものを感じた次第です。
いわゆる「デザイン至上主義」的な意味不明さは感じられなかった。
ということで、今回のツアーで
東京都内・神楽坂に新潮社の「倉庫」建築を再利用して、
サザビーリーグが運営する商業施設というふれこみの
「LAKAGU」が建設されたので、見学したいと思った次第なのです。
神楽坂は、知人の南雄三さんがスケッチ展をするので、
何度か訪問したこともあり、あの街の雰囲気のなかで
隈研吾建築がどのように現れるものか、
非常に興味を抱かせられた次第です。
かれはこの街で住んでもいるのだそうです。
隈研吾さんの建築は、わたしとしては
実用的な建築と言うよりも、むしろディレッタントとして見るのですが、
商業建築、それも運営するサザビーリーグが主導権を握っているようなので、
そういう意味合いでも、興味深かった。

2018-2
2018-1

現地を訪れた日は、雨模様でやや残念な雰囲気。
神楽坂のメーン道路に対して、いまは駐車場になっている場所が
どうも旧新潮社社屋跡地のようです。
その裏手、やや小高い土地にLAKAGUは建っています。
外観写真は事前に確認していましたが、
もと書籍倉庫の再利用と言うことで、基本的には目を奪うようではない。
建物のフォルムはごく一般的なもの。
ただ、表層には木が張られ、小高い敷地に沿って
木製階段が敷き詰められている。
写真でしか見ていないけれど、スターバックスの木組みデザインを
彷彿とさせるデザイン仕上げだと思います。
内部もボリュームはごく控えめなもので、
1階にはサザビーの小物類のコンセプトショップとビュッフェショップ。
2階にも家具のコンセプトショップとイベントスペース。
内装は、たぶん鉄骨の構造がそのまま表されて、
木毛板の内壁に白くペイントされた簡易な仕上げの空間です。

感想としては、その置かれている環境に大きな違いがあって
北海道大樹町と、東京神楽坂という差異が
落差として、強くこころに残りました。
東京神楽坂の醸し出す日常性は、なかなかに手強い。
手法としての書籍倉庫再利用という表現手段は、
この日常性に対して、強いメッセージ性は
刻印しにくかったのかも知れません。
また、他の建築も体験してみたいと思った次第です。

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