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和のインテリアと開閉窓

1910

北海道では木製3重ガラス窓が比較的多く普及している。
アルミは劣悪な断熱性能からほぼ駆逐され、樹脂のペアガラスが基本で
いまはそれでも3重ガラスの製品が増えてきている。
性能的にはそれで木製とほぼ同等までなってきたけれど、
しかしデザイン的には枠が木製の方が
いかにも「額縁」的で、周囲の風景切り取り効果・演出性が高い。
で、そのような性能を重視した窓では開閉方法が、
日本人に親しまれてきた「引き違い」ではなく、
より密閉性の高い外開きや内開きドレーキップの開閉窓が一般的。
断熱性重視で選択していくとそれが自然なのですが、
ただそうなると、和風のデザインで仕上げたいときに
使い勝手と、デザインの両面からせめぎ合いが出てくる。

写真は、北海道内での和風住宅の様子。
全体に和を意識した空間で、紙の障子越しのやわらかい採光と
さらに床面からの「バウンド光」を取り入れる地窓が開けられている。
操作は下のハンドル部分を回転させて、押し開く木製窓。
こういったデザインの時に地窓で開け閉めできる窓としては
左右に引き違い出来る方が、使いやすそうに感じるのだけれど、
なかなかに悩ましいところだなと感じる次第。
使い勝手としては、引き違い窓が左右の窓の交差部分の
金物を操作して開閉させ、そのあと左右にスライドさせるのに、
こちらでは、下のハンドルを回転させて押し開くことになる。
その「押し開く」ときに、
やや体動作の自由範囲が制約を受ける可能性がある。
引き違いであれば、ワンタッチ操作であろうところが、
やや制約的な動きに限定される可能性がある。
この辺のことが性能と使い勝手のトレードオフにならざるを得ない。
あと、デザイン的には窓ガラス面積が、アルミが一番大きくとれて、
樹脂や木製では、枠面積が比較すると大きめである、
っていうようなこともある。
そしてもうひとつ大きいのは、
和風の建具、障子などは基本的に引き違いなのに、
最後の窓だけが違う体動作になる、という部分も大きいかも知れない。
左右と前後という意識変化を強いられるのは、
それなりに心理ストレスをもたらすかも知れない。

寒冷地では、このような生活上の選択ポイントで
性能面を優位に考えるのは、ユーザー側も当然と考えるけれど、
和風を考えていくときには、
もう一歩、寒地住宅として工夫があっても良いかもしれない。
ただそのときにも、性能的な不利を受け入れないようにしたい。
このテーマ、けっこう長く続いていると思います。

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