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断熱技術と生活文化デザイン

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日本の住宅って、庭との関係性について
いろいろに考えて設計されていることに驚くことが多い。
メインとしての「見せる庭」には主たる室、たいていはメインゲストのための部屋が
それを眺めるように配置されているけれど、
大きな高級住宅では、さらに茶室なども付けられていて、
その周囲も又、ゲストへの「もてなし」の工夫があって、
非日常的な空間性を意匠していることが多い。
この写真の空間も、茶室への動線を兼ねている縁側が
面白いデザインで配置されていて、中庭との関係性も、
その距離感覚もなkなかにいいなぁと思わされました。
象徴的な植え込みと、その周囲の水屋、井戸といった装置が
コンパクトにまとめられていて、かつ、とっかかり動作がきわめて自然にできそう。
茶室を使い込んでいる様子が伝わってくるかのようです。
こういう建築デザイン文化にふれられる機会、
北海道ではなかなかない。
しかし、やはり住宅の「おもしろさ」というのは、こういった建築デザイン文化の
とっかかりがあったほうが、絶対にわかりやすい。
きのうから、住まいと環境 東北フォーラム一行と、
北海道北部の下川町に来ております。
ここに建てられた「エコハウス」に宿泊して、その住宅性能の意味を再体験して
今後の活動に活かしていこうということなのであります。
わたしは、東北フォーラムの会員でもあるのですが、
このような機会では、北海道側の受け入れ側でもあるという立場。
わたしとしては、むしろいま、北海道の住宅建築が抱えている問題点は
よりデザインや、住宅生産システムに関わるような領域で
生起していくようになるのではないかと感じています。
断熱技術はある「しきい」値を超えて成熟してきていると思うけれど、
その技術はまだ、より本質的な意味での訴求力を獲得してはいない。
たぶんそれは、建築が建てられるときに普遍的で、必然的な与条件としての
「地域性・気候風土性」を読み取り、対応するという
いわば建築の大前提の部分でのことなのだろうと思います。
ほんとうは北海道は、日本に対して
そういう日本建築の環境対応の柔軟性をこそ大きく訴求すべきなのかも知れない。
わたしたち北海道は、このように日本の建築技術を使って
寒冷地での対応を成し遂げました。
その技術を、フィードバックするのには、
温暖地域の建築に対して、そのような技術進化地域として
もっと豊かな北国の住空間を獲得するために
生活文化デザイン、住宅生産システムを学ばせてもらう、という
いわばバーター取引のようなスタンスがいいのかも知れない。

きのう、関東地域からの移住のみなさんの住宅を見学させていただいて、
技術は確かに北国的な技術が使われているけれど、
生活デザイン的には、やはり
北海道的な生活感受性を超えている部分を感じて、
なんとなく、そんなような気分が沸き起こってきています。

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