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【日本の伝統「木外壁」で防火構造認定取得〜北総研】


写真はわたしの大好きな「海の京町家」と言われる「伊根」の街並み。
日本海に面した湾入り地形そのままに多数の木造民家が連続して
それぞれに船が住まいに接岸されている街並みです。
ながい民族の暮らし、いとなみがそのまま視覚表現されている。
生きていくために漁に出、漕ぎ出した船を見送り、また迎える「木の家」が、
いかにも民の暮らしを支えてきた様子が染み伝わってくる。
これらはみな「木の外壁」で素朴に作られ続けてきたけれど、
これほどの密集形式で建てられていれば、「防火」の問題からは
つねに脅威にさらされてきたことは明白。
日本の住宅政策とは、この「木の家の防火」ということが、
基軸的なことがらとして、いわば民族・民俗的課題として受け継がれてきている。

現代に至っても、とくに直近の「都市大火・消失」経験である戦争末期の大空襲で
首都がほぼ消失した経験から、防火性能が最大の政策課題になった。
つねに「防火」優先の建材開発が至上命題とされてきた。
そういうなかで、この写真のような「民族の風景」は
ノスタルジックではあるけれど、そのままでは「継承しにくい」景観になってきた。
住宅外壁はいま、主軸は防火外壁建材であるサイディングが主流になり、
木の外壁が持っている「時間経過感」からは印象的に隔絶のある
いわば「ツルッとした」外観印象に置き換わってきてしまった。
このようなやむなき「外壁規制」に対し民族的外観デザイン継続を願う
そういった動きはこれまでも数多く試みられてきた。
多くは外壁「防火」を区画範囲上の規制通りに叶え、規制外箇所に木を張る、
っていうような対応策を行ったり、あるいは木の外壁のその下地、内側建材部分で
防火基準を満たすという対応で制度とデザインの折り合いを図ってきた。
そういったなかで日本の住宅工法進化で最先端の北海道では
「あたたかい家」という基本性能は工法開発段階で確保され
その上でこの民族的ノスタルジーの再生に繋がる
「木外壁での防火構造」について、再度の「進化」が計られた。成果として、
地域の工法研究専門組織「北総研」から6月1日に発表された
「北総研防火木外壁(PF仕様)」が、建築基準法における
防火構造の大臣認定を取得し、実用化された。 以下発表概要。

〜(地独)北海道立総合研究機構・建築研究本部 北方建築総合研究所では、
外装材に木材、付加断熱材にフェノールフォーム断熱材(PF)を用いた
「北総研防火木外壁(PF仕様)」を開発し、フェノールフォーム協会
(申請者:旭化成建材株式会社)において、建築基準法に定められる「防火構造」の
国土交通大臣の認定を取得しました。
この「北総研防火木外壁(PF仕様)」は、道総研重点研究「道産資材を用いた
木造高断熱外壁の防耐火構造の開発」(平成29年度~令和元年度)の
研究成果の一部を、旭化成建材株式会社に技術移転したものです。
「北総研防火木外壁(PF仕様)」は、建築事業者に自由にお使いいただけます。
さらにその社会的意義として、
・木材仕上げには、高い人気があり、多くのニーズに対応できます。
・法令の防火規制に適合しつつ、可燃材料である木材を外装材に使用できます。
・北海道で広く普及する高断熱仕様の外壁であり、特殊な施工を要しません。
・道産木材の利用を促進し、道内産業の振興、森林資源の循環に貢献します。

といったポイントが挙げられていました。
新型コロナ禍の最中ですが、日本の木造構造についてのすばらしい「進化」です。
北海道内に限らず、多くの全国の建築事業者に注目していただきたい。

【アベノマスクわが家に到着】


きのう外出先から帰ってきてなにげに〒ボックスを確認したら、
やや薄手の郵便物ですが、ポリシート状のなめらかな質感の封入物があった。
「なにこれ」と取ってみたら、例の「アベノマスク」であります(笑)。
わが家夫婦宛、2枚送られてきた。
今回の事態でもひときわ喧しくメディアなどから攻撃対象になっていたヤツ。
悪口雑言の限りを尽くしてヘイトされてきていた。
こういうことは、ものを大切にする日本人の心性、教育的にもいかがかと
わたし的にはたいへん疑問に思っていた。
むしろそういう雑音を日々発生させ中毒のように毎日情報受容し続けた人が
脊髄反射的な拒否反応しかできない状態をつくっている、
そのことの方が社会として危惧すべき事態ではないかと思っていた。
案の上、そのことをこのブログで書いたら拒否反応もあった。
それ自体はそれぞれの方の感じ方なので自由だと思うし、別に気にもしませんが、
このマスクをヘイトするのが当たり前だ、という危険な匂いの「同調圧力」には
明確にそれはおかしいと思っております。
政府として、市場からマスクが消えてしまっている現実に対して
どう対応すべきかのひとつの策として、批判は覚悟の上で
全国民家庭に布マスクを直接配布するという施策は、とくにおかしくはない。
むしろ市場原理的にはマスク市場に対して肯定的に働いて、
アベノマスクが国民に到着するごとに、市場にはマスクが出回り始めた。
批判するだけの意見からは「必要なかった」みたいな意見も出ていた。
また国の施策であり巨大社会システム特有の齟齬は当然発生する。
個別的にはいくつかの否定的な事実もあったのだろうと思います。
しかしそれはどんなことにもあり得ることであり、常識許容の範囲内のこと。
いまこうして手に取ってみれば、ごくふつうの「チョット小さめ」の布マスク。

<上は何回か洗って使っている「不織布マスク」。下がアベノマスク>
カミさんと「ちょっと小さい」「けど、これから暑くなったらいいかも」
みたいな会話も弾んだ。小さくて似合わないということもあるだろうから、
別にイヤなら使わなければいいだけの話だと思う。
ただ、国費利用なので当然、厚労省からの意見も反映した
必要十分範囲の仕様規格ではあろうと思われます。
わたしはそんなに不具合も感じないし、不織布マスクも「洗っている」現状なので、
洗えて長期間使えるマスクということで、使ってみようと考えています。
なによりも自分たち自身の命と健康の問題であるので
有効性のあるものはしっかり活用し、防衛利用するのが自然ではないでしょうか。

【飛沫防止透明衝立:立派な中華料理店篇】


ほとんど病気になってきたわたしの密かな研究シリーズ。
いまきっと全国の誰もが「新しい日常」の大きな要素として
写真のような「飛沫防止透明衝立」のある風景を見ていると思います。
この衝立にはまだ正式な一般名称もつけられていないのではないか。
そうですね、「言語の創成課程」にも、いまわれわれは立っている(笑)。
内容伝達的には「飛沫防止透明衝立」で正確ではないかと思いますが、
これではどう考えても「一般通称」にはなれないでしょう。
こうした「機能」を短縮表現するとか、カタチからイメージを特定するとか、
さまざまなアプローチがあって、社会的に「定まっていく」ものでしょう。
個人的にはこの感染症の由来を明示させるために「習近 塀」〜しゅうきんぺい〜
いや、もっと機能性を表現すると「集金 塀」というイメージを持っていますが、
たぶん全人代で拒否宣言が発せられ、わたしは密かに弾圧される気もします(笑)。
しばらくは公共交通の駅では線路側には立たない方がいいかも・・・。

おっと、激しくオーバーランであります(笑)。
ようするにこの隔壁について、その構造的ありよう、デザイン性について
いろいろな迫り方がそれぞれに展開されていて、
あるひとつの「文化現象」化しているように思うのです。
「住宅雑誌」発行人としても、建築近縁のワンパートではあり、
万人が一気に体験しているという「経験値の総量」の巨大さに注目するものです。
たぶんこの装置は一過性ではなく、ワクチンや治療薬が開発されるまで
あるいは集団免疫がある程度達成されるまで
この光景を受け入れることが要請されているのだと思います。
そういう意味ではここから1両年は覚悟しておいた方がいい。
今回見たのはある高級そうな中華料理店レジカウンター設置のモノ。
この店はある高級集合店舗群エリアに立地している。
カウンター女性に聞いたら、商業エリア全体でこのデザインになっている、
という情報を聞き及びました。
たぶん不動産のオーナー企業側から、各自店舗で勝手にデザインされ
好き勝手に制作されたのでは、不動産全体の価値に影響すると危惧した可能性。
そこで「高級イメージ」を損なわないようにシャープでモダンな
デザインで機能性を満たすものを一括発注し配置させた。
したがって制作はプロの店舗デザイン系のひとが関わっているように思えた。

端部の詳細アップですが、全体バランスから言ってステンレス素材が
採用されてたいへん統一感が感じられる。構造的には
脚部は木製のようですが、シルバーっぽい被覆処理までされているので
全体としてスッキリとしたデザインに仕上がっている。
透明面材には厚手のビニールが採用されて「張り渡されて」設置されている。
面の縁辺部位に穴が空けられていて、そこに結束用プラスチック素材品を使用。
このようにすることで場合によっては面材の劣化時には交換を
デザイン意図しているのではないかと推測された。長期期間対応力。

こういう装置がそれぞれの店舗や事務所で工夫されてきている。
これはこれで、新型コロナ禍が生み出した「文化」ではある。
正しく怖れつつ、同時にそれをも文化的に咀嚼する、
そういった「したたかさ」がこれらの制作物に感じられております。・・・

【ニトリ繁盛は一過性? House Keep需要の予感】

写真は最近の「テレワーク」需要で自宅にデスク+椅子の用意がなくて
ニトリに大人気商品、デスク(ザッキー)5,083円ナリを購入に行ったけれど
「売り切れ」ということでやむなく購入を諦めた知人が
座卓の脚部にファンシーケースでかさ上げしてデスクとした様子の写真。
なんか「座布団1枚!」って言いたいアイデア(笑)ですが、
(あ、座布団じゃなくファンシーケース1個か。でもチョット足下狭い?・・・)
ことほどさように急に盛り上がった「テレワーク」によるにわか需要が
ニトリ繁盛現象を呼び起こしているとされていますね。
最近「ニトリ繁盛」の理由、という分析をしている方もいて、
ニトリはテレワーク家具、新生活需要等で繁盛しているとのこと。
ちなみに件の在庫切れの人気商品はこちらです。

まさに機能そのまま、無装飾という商品で
テレワークの「作業平面」確保、ほかはとりあえず不用、
というユーザー需要にはまさに「ハマり」。
これがダントツ一番人気というのをよく見ておく必要がある。
従業員さんがあまりの来店客の多さに悲鳴を上げてSNSに書き込んだりと
話題を提供しているニトリさんですが、売上げ「異常」(笑)かどうか不明ですが
最近の発表では対前年比2%アップほどと。
外出自粛と営業時間短縮もあり、実質的にはもっとブームではあるのでしょう。
来場者数と個別商品売上げの推移比較があれば、動向がより明確になって
幅広いユーザーの現状ニーズがもっとわかるでしょうが・・・。
わたしも今次事態で数回買い物に行ったけれど、
3密を避ける行動抑制のなかでも、ニーズが高まっている様子が見られた。
で、昨日も久しぶりに見たテレビのニュース情報コーナーでは、
学校休校で自宅で過ごすことの多かった女子中学生がきょうからの
学校再開で「家での暮らしがここちよすぎたので、学校生活が心配」と
正直な不安を語っていました。
逆にとらえると、今回の新型コロナ禍で「Stay Home」を余儀なくされた日本人は
「House Keep」のいごこちにすっかり目覚めた可能性も高い。
一般的にHouse Keepは「家事」と言われますが、まさに家の事。
家で過ごすことについて、そのいごこち改善気運の盛り上がりと考えたい。
っていうか、住宅企業にしてみるとそこに注目し活用する必要がある。

当面はニトリの在宅勤務用・機能性家具的人気でしょうが、
そこで目覚めたユーザーが「家のいごこち」のどんな側面を発見していくのか
あるいは企業側はどのような「提案活動」が効果を発揮するのか。
失われることが確実な毀損GDP200兆円市場はどう「復元」していくか、
最大の想像力と創意工夫が試されることになると思われます。さて・・・。

【StayHomeが問い直す「住宅の価値」って?】

徐々に「ふつうの暮らしよう」を取り戻すプロセスに入ってきている。
しかし、新型コロナ感染の状況は予断を許さない。
あたらしい日常の全貌はまだこれから手探りしていくことになるのでしょう。

しかし、いくつかの「きざし」のようなものは確実にある。
テレワークの導入・Zoom利用による会議・打合せなどで
ときどき、スタッフの家庭の状況というのが垣間見えるときがある。
先日も子育て中、ようやく出産に伴う休暇から復帰したお母さんスタッフが
テレワーク会議に参加していたとき、産まれたばかりの子どもさんが
突然「自己主張」をはじめたのです。
わたしは育児経験もあるのでその泣き声に「意思」伝達を感じた。
「おい、かあちゃん、なんかオモシロいことやっているな」
「おれにも、参加させてくれよ!」というコミュニケーションのように感じた。
まだ言葉はハッキリしていない段階ですが、様子はわかる。
新米おかあさんスタッフも気付いたのか、膝の上に抱っこしてPC画面前に。
そうしたらテレワーク画面に男の子の大喜びした気分が激しく発散してくる。
両手を大きく振りかぶってパソコン操作キーボードに襲いかかる(笑)。
まだ膂力が足りないので画面が乱れることはなかったけれど
その全体の様子が、なんともほほえましく、
その子の喜んでいる様子が会議の雰囲気全体を一気に支配した(笑)。
「おお、仕事を楽しんでいる・・・」
こういう「句読点」はこれまでの「仕事環境」ではあり得なかった。
会議での打合せは緊張感を持って話し合われるけれど、
こういう「ON-OFF」経験はこれまであまり経験することがなかった。

いろいろな「捉え方」ができる一瞬のことがらだけれど、
住宅を考え続けるという意味では、ある気付きもそこで感じられた。
ようするに「住宅の価値」の実相というもの。
StayHomeは社会がやむなく迫られた緊急避難だったけれど、
わたしたち人間にとって究極の価値感が、住宅には確実に存在することが見えた。
テレワークによってそういう価値感が仕事にフィードバックする可能性もある。
テレワーク会議自体は、各個人がPC画面で表示されるので
むしろ「集中力」という意味では悪くはないといえる。
そしてその画面からはその人間のバックグラウンドも明瞭に「伝わる」。
ホンネの仕事との向き合い方というモノが見えてくるのですね。
そう考えてくると、仕事を通じて住宅の本当の価値感について
かなりクリアにみえてくるものがあると認識させられてきています。
よく「立って半畳寝て一畳」というコトバがあるけれど、
これからは、さらにプラスしてくる部分がある。
その「革新要素」がどのように進展していくのか、
たいへん興味深いポイントにいまわれわれは立っているように思います。さて・・・。

【日本人の靴脱ぎ習慣と衛生意識】

今回の新型コロナ禍は日本人の衛生意識について
「建築的」にも大きな気付き、再認識を促したのだと思う。
これまでは生活習慣、文化の問題として建築的には詰めて考えてこなかった。

玄関という言葉は、「玄関」とは「玄妙の道に入る關門」。
「關門」っていうのが字自体なじみのない字だけれど「関門」でいいらしく、
① 関所の門。また、関所。
② 通過するのに困難を伴うところ
というように意味が読解できるとされている。
文化的には道教とか禅が日本に導入されたときに成立した概念とされるけれど、
言葉としての「言い表し」だけの問題のようで
日本人本来的な文化習慣としての「靴脱ぎ」を意味表現したものとは思えない。
そうすると、日本人の住空間史から考えた方が自然なのではないか。
千年家(せんねんや)として有名な兵庫県の箱木家住宅は数回訪問現認したが、
土間から「上がる」空間というのが、歴史的初源経緯のような気がする。
それは板の間であったりタタミの間であったりの「居間空間」に
土間から「上がる」タイミングが「靴を脱ぐ」習慣に繋がったのだろう。
いまは西洋的な「靴」だけれど、一般的には「草鞋」であり、
それを脱いで、「上がれ」と家人が言って従う一般文化の由だろう。
日本人は土とか埃、芥というものを「穢れ」と考えて
それから隔絶した空間を家に仮託したというように思われる。
他人の家に「土足で上がる」という無道を表現したりもする。
ハダシの足の裏で感じる板の間とかタタミの間が日本的「結界」を構成した。
そういえば草鞋を脱ぐときには足を洗う、拭うという動作も付随した。
「足を洗う」という言葉にも、穢れからの離脱という意味合いが籠もっている。
このあたりに日本人の「結界」意識がどうも凝集しているのではないか。
日本ではヤクザから「足を洗う」という表現を使うけれど、
世界有数の被害を出したイタリアではマフィアから離脱するのに
どういう表現言語があるのか、知ってみたいとふと思う(笑)。
というか、家の中でも靴を脱がない習慣世界では
そういう「清浄世界」意識というのが育たなかったのだろうか。

今回の世界共通体験を通じて、この靴脱ぎ習慣について
建築の世界では大きな変動が起こるような気がしている。
もし日本式の生活文化習慣を導入したいと考えるひとが世界で増えたりすると
この「結界」認識がどのように変容して伝わるのかも
大いに興味を持つべきところだと思っております。さて。

【狭い空間も満喫する「低い視線」は日本文化】


写真はある賃貸住宅での「模様替え」の様子。
現代人はなんでも家具を買いまくるけれど、
発想を変えて、ソファ+ベッドライフスタイルの刷り込みをそぎ落とし、
洋風のフロアでも敷き蒲団を重ね敷きして、ちょっとしたクッションを背もたれに
「低い目線の安楽装置」とした事例。
いかにも日本的座り文化でありながら、それでいてソファのような雰囲気も楽しめる。
しかも目線が低くなるので、天井高が大いに強調される。
狭い空間でもそれなりに「広がり」感が楽しめるのではないか。

ふとんって、カバーを掛けるのが一般的だけれど、
蒲団生地って結構カラフルな図柄が多いと思う。ちょっともったいない。
いまの時代はほとんどカバーを掛けてカバーを定期的に交換して
洗濯して使うわけだけれど、たまにはこんなふうに蒲団生地そのまま
インテリアの主役にさせてみるのも楽しいのではないでしょうか。
世界の寝具の中でも日本のふとんはかなりオリジナル。
あんなふうに「上げ下げ」して毎日たたんで整理収納しながら
さらに時々は天日干しまで心がけるインテリア装置って他国にはあんまりない。
今回のコロナ禍で日本の清潔習慣について触れられる論調が増えているけれど、
この「ふとん」もまことに重要な役者ではないかと思っている。
こんなふうに重ね敷きして使っても、ときどき天日干しでもすれば、
いつも清潔を維持させることが可能。
今回のコロナ禍でもうひとつ、靴を家の中では脱ぐ習慣も着目された。
靴を脱いで裸足になることで、素材の柔らかな質感への感受性も鍛錬された。
蒲団が持っているあの柔軟な反応力は日本人のDNAに深く染みわたっている。
足を組んで座ることで、起居にもリズム感も生まれて
毎日の健康維持にも効果的な側面もありそうだ。

ふとんをもっとインテリア空間で活用する工夫、アイデア、
立って半畳寝て一畳+「座って安楽」みたいな文化、
住宅建築の側から大いに出てきてもいいのではないだろうか?

【自然環境クッキリ・GDP4割減危機】

コロナ禍がはじまって以来、多くの人が気付いていること、
身の回りの自然の美しさのエッジが鮮やかになって来た・・・。
「あれ、このアングルから見た山って、こんなふうに見えたっけ?」
というような体験が増えてきているような気がする。
写真はちょこちょこ行っていた札幌近隣の「小樽カントリークラブ・旧コース」。
たまたま近くを通ったとき、海浜側から山方向、クラブハウス方向を見返した。
そうしたら、山が見たこともないほどに「クッキリ」していた。
見えている山の名前も知らないくらい、見たことがなかった。
海と山との間で、ゆったりボールを追いかけるゴルフ醍醐味も倍加か(笑)。
・・・まぁ要するに、経済活動が急収縮してきて、
飛行機もほとんど飛ばなくなって、自然の美が際だってきたのでしょう。
中国で「世界のものの生産活動」が集約的に行われ、
そこでの「環境破壊」レベルがハンパなく進行していた。
なにごとも過ぎては及ばざるがごとし。
それが、新型コロナ禍という急ブレーキが掛かって、
その束の間、地球環境がその本来の姿をチラ見せしてくれているのではないか。
たぶん、もっと人間活動が収縮すれば、
かつて地球の全大陸に進出したわたしたちの祖先が見ていた
本来の地球の姿がふたたび立ち現れて、人類はその圧倒的な美に
もう一度、本来的な「生きるよろこび」を見出すのかも知れない、
というような妄想も抱いたりする・・・。

しかし、現実はそう甘くはない。日本の直近GDPは約550兆円。
その推移は4半期ごとに発表される。
2019.9-12月度は「対前期比」で約7.1%程度下落。消費税導入の影響。
2020.1-3月度は速報では3.4%程度下落と発表されているけれど、
実質的な数字としては3月度が新型コロナの影響で極端に悪いとされ、
それがこれには反映されていないので実質5%程度の下落という。
そして2020.4-6月期はまさにいま現在で、実質的な経済停止なので、
悲観的見方としてはマイナス25%相当の下落見通し。
そうすると、100×0.929×0.95×0.75=66.2%という驚くべきGDP収縮ぶり。
上下幅を見れば4割減という大方の見方は、そう狂ってはいない。
この基本的な認識から550兆円の約4割相当、
200兆円を超える財政支出政策が打ち出されている。
まさに空前の経済危機であり、放っておけば失業者300万人と言われている。
そして経済危機からの「自殺者」は1万を超えるだろうと言われている。
歴史で参照すれば、戦後にはここまでの危機は存在せず、
まさに世界恐慌までさかのぼる大危機ということになる。
この世界恐慌では日本は高橋是清蔵相主導で、財政出動で乗りきった。
政府のもっとも基本的な役割は国民の命と暮らしを守ること。
本来政治とは、こういう大状況についてどのように「政策運営すべきか」を
その「考え方」を国会で論戦して国民に信任を問うことでなければならない。

そしていま、この約200兆円規模の政府支出策について
さまざまな検討が政府与党サイドで活発に論議されてきている。
現政権は実質的に「安倍・麻生」連立で、安倍さんは反対派からの攻撃への
サンドバッグ役を担いながら、麻生大臣の経済運営に進路が託されている。
まさに令和の高橋是清。政府支出の大胆な「使い方」が日本の運命を左右する。
幸運にも新型コロナでの死者は世界とは隔絶したレベルで推移している。
国富の毀損を回避し、経済を上昇させるのに対応可能な時間と作戦があり得る。
日本に幸運な航路が開けていくことを祈りたい。民の側も努力を一丸となってしたい。

【住宅業界における感染予防ガイドライン 発出】

政府による「緊急事態宣言」を受けて、昨日から「あたらしい行動様式」社会へ。
このコロナ禍がはじまって以来、基本的な行動基準として
3つの密を避ける、という方向性が指標として明示されてきた。
欧米メディアからは日本が宣言解除したことに驚きと羨望に似た
ニュアンスでの報道が相次いでいる。納豆が効いたのでは、というような
言われたこっちが「え??」という指摘も見えたけれど(笑)、
G7の国の先陣を切ってこの事態からの「出口」を見据えられたことは、
国全体でひとりひとりが心がけて来た「行動変容」が基盤的力だと思う。
文句や批判は喧しく湧き起こっても、日常行動レベルでは「一致結束」できる
日本社会の規範準拠・実践力が非常に大きいと思います。
そしてこの「行動変容」の力は、少なくともしばらくの間、日本の最大の安全保障策。
たぶん核兵器以上の「抑止力」「外交的力」なのだと思う。
いざとなれば日本社会は世界最強レベルの抑止力社会だと示せたことは大きい。

さてそういう第1段階の成果は確認できたけれど、
これからはいわば「息の長い」戦いの局面になっていく。
感染症との戦いである以上、有効なワクチン開発まで続けることが絶対条件。
住まいと環境東北フォーラム・吉野博先生から
住宅業界にとって有用と考えられる「行動変容基準」の例示がありました。
「住宅生産団体連合会」作成の事業者向けの「行動変容指針」。
住宅生産団体連合会:新型コロナ感染予防ガイドライン
<クリックするとデータがダウンロードされます。>
一般にも有益有効と思われる「指針」・事業所職場篇も示され参考になる。
以下、気がついた部分を要旨抜粋してみます。
● テレワークや時差出勤等により混雑緩和を図る。
● 机を離して設置、机の間をパーティションで仕切る、正対せず離れて着座。
できる限り2m(最低1m)の間隔を確保する。
● 十分な換気を行う(換気設備がない場合は、1時間に2回以上窓を開けて換気)。
● 執務中はマスクを着用し、こまめに手洗いや手指消毒を行う。
● トイレにタオルを設置する場合は、ペーパータオルを設置する。
(ハンドドライヤー及び共用タオルは使用禁止)。
● 現場見学会、セミナーイベントを企画・実施する場合には、事前予約により
集客対象を限定する等、感染予防に十分注意する。
● 各種公的申請はできる限りオンライン又は郵便等で行う。
● 顧客にオンラインでの資料請求や商品検索等の利用を促し、打合せや商談は
できる限り電話、メール又はオンライン(WEB会議、電子決裁等)で行う。
● 湯茶接待はペットボトルや紙コップで行い、ガラスコップや湯飲みは使用しない。
● 受付等には透明ビニールカーテンを設置する等の感染予防措置を講ずる。

いまや日本社会では「常識」になってきていることでしょうが、
こういった「当たり前」が現実的でもっとも有効な感染症との「戦い方」ですね。

<写真は無関係:明治初年札幌での寒冷地植物研究のガラス屋根温室。>

【テレワークが生み出す人間と仕事の新環境】


昨日安倍首相の会見で日本の「緊急事態宣言」は解除されました。
世界からもとくにトランプ政権から積極的評価の声が発出された。
「あらたな常識」という行動変容を土台にして、
しっかりと経済を回して、人々の生活基盤を再構築していくというアナウンスは
待望久しいモノであり、率直に前向きにとらえていきたいと思います。
とくに自由主義、法の支配という価値感を共有する世界にとって、
日本の緊急事態宣言解除は、その最先行国であり、
今後の世界の政治経済動向にも大きな影響を与えて行くと思います。
国益という観点からは、まことに重要な節目を越えることができた。
きびしい環境の中でも社会の自由を確保して、出口を見据えられた。
北海道札幌は結果として、きびしい状況の中で迎えたワケですが、
今後もこの課題からまっすぐに向き合って、地域として克服する努力を傾けたい。

さて今回の実質的社会封鎖、行動抑制のなかで
とくに「テレワーク」が「行動変容」の最たるものとして受け入れられた。
わたしどもでも国の緊急事態宣言以降、社員スタッフの働き方として
積極的に導入し、おおむね8割や5割といった「分散率」をメドにして
「密」を避ける仕事スタイルとして緊急避難的に導入した次第。
これまでも中小零細企業ながら拠点2箇所間ではテレビ会議などを行っていた。
さらにちょうどWEBビジネスがより深化してきて、
顧客企業先ともテレビ打合せなどが常態化もしていたベースがあった。
そんな中これまでは顧客先企業に「これこれこうで・・・」と説明含めた
サポート的な役割を果たす側面も大きかった。
今回のこの全国民的体験から、緊急避難的に企業顧客先にもこのスタイルが
受容されたことで、一気に「環境整備」が進んだと思う。
当社の場合、複数スタッフによるソフト創造業とでもいえる業態なので
企業顧客先との打合せも一気に加速してきていると実感している。
Zoomというプラットフォームが一気にいわば「常識化」したことで、
まったくストレスなくコミュニケーションを計ることが出来るようになった。
そのような新常識の拡散に今回の事態は、大きな契機を与えた。
たぶん今後、ビジネスの世界ではこちらが常識化して、
そのベースの中でいろいろな進化発展が起こっていくことは間違いない。

このような「行動変容」からどんな業態変換が巻き起こっていくか、
非常に興味深いとワクワクしてきております。
さらに進化していくなかで「恐竜に変わる哺乳動物が出現」するか?