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風のガーデンハウス

写真は、昨年富良野で見てきた風のガーデンハウス。
なぜか、玄関ドアは全開されていて
風がわたってくる方向に出入りの開口部が開けられている。
その方向に向かってソファが置かれていて
風を映像化するようにレースのカーテンが揺れている。

こういう舞台装置が
現在、富良野プリンスホテルの一角で公開されていて
観光客がみんな見物に来ている。
まことにテレビの影響力というのはすごいもので、
富良野は、年間180万人が押し寄せる観光スポット。
まぁそのベースは「北の国から」の大ヒットであって、
一時は200万人を超えていたというのですから
過疎の町が、ここまで飛躍したのは本当にテレビドラマのお陰です。
北海道に住んでいるものとして、たいへんうれしい。
で、この建物なんですが、
やはりいい。
この開口部からは、イングリッシュガーデンをわたってくる風が
いろいろな植物のかすかな香りを運んでくる。
建物のかたちはごく普通の三角屋根なんですが、
微妙に真壁の表しになった柱が正面に見えていて、
その柱をはさんで左右の壁面がややアンバランスになっていて、
少し、不定形が意識されている。
この不定形が、なにかの呼び水のようで、不思議にいい。
倉本聰さんは、東大で美学を学んだということですが、
建築でもその感覚が表現されている。
スクエアななかに、なにか、不定型な要素が必要である。
っていうような考え方が氏の美学には流れている。
人間のやすらぎには不定型要素が欠かせない、という考え。
この建物は、ドラマの主要テーマである「死」を
予感させるようなたたずまいに満ちている、と感じます。
このように受動的に、受け入れるざるをえないものとして
死はやってくる、風に運ばれて、という感覚。
してみると、ガーデンは天上の楽園というような比喩とも言える。
美しいけれど、そのなかにきびしい掟のようなものがある。

どうも、この建物が好きになっています。

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