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住田町役場新築庁舎

1791

久しぶりに、というか、1年半ぶりくらいでの
岩手県住田町訪問でしたが、
びっくりさせられたのが、「新庁舎」が立派に完成寸前だったこと。
旧庁舎はとなりにありましたが、古式ゆかしい
「町役場」という言葉そのままのたたずまいで、
しかし、そういうなかでつつましく地域の生き残りを必死に願っているさまが
訪問する人に伝わってきている建物でした。
何回か、その旧庁舎に伺ったことがある人間からすると
場違いなほどにステキなモダンデザインと美しい木の町にふさわしい外観。
気仙杉と気仙大工の里らしく、豊かな木質感がデザインされていて
こんな背景の中で美しいフォルムを見せている。

住田町は、東日本大震災勃発後すぐに
町内で生産される木材を使って木造での応急仮設住宅づくりに立ち上がった。
隣接する大船渡市・陸前高田市とは「気仙」地域の共同体でもあり、
住田がまず助けなければ、という使命感が
町を突き動かした動機だったのだと思います。
すぐに出来上がった木造応急仮設住宅は、いまでも熟成すら感じさせる
街並み景観をもたらしていて、
プレハブ仮設住宅のみすぼらしさからはまったく異次元。
その後、福島県での木造応急仮設住宅の動きに大きな起動力を与えました。
いま、復興住宅も町内に建設され、
気仙地域らしいたたずまいの街並みが構成されている。
東日本大震災を契機として、露わになった現実の中で
未来に繋がっていく大きな芽も育っているのだと思わされる。
建物としてはおおむね出来上がっているけれど
まだ使用されていないようなのですが、
現代に、気仙大工の心意気が力強く蘇ったような気がします。

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