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家庭用エネルギー比率の国際比較

ある講演会でお聞きした家庭用エネルギーの国際比較です。
写真の説明が見にくいと思うのですが、
グラフで赤い色が「暖房用」、黄色が「給湯」、
緑が「調理」、青が「家電エネルギー」紫が「冷房」です。
2001年段階でのデータなので、10年以上経過している
最新ではまたいろいろに変化していると思うのですが、
傾向としてはこういった状態にあるという認識です。
ヨーロッパ諸国というのは、冬が長くあんまり日照が得られない。
雨が多くて湿潤であるけれど、多雪ではないという気候。
メキシコ湾流という暖流がノルウェイやフィンランドくらいまで流れ込む
そういった条件があって、こういう傾向のようですね。
わたしも真冬のノルウェイに行った経験がありますが、
真冬でもフィッシングに誘われたりしました。
じめじめとした天気が続き、そのうえ高緯度なので
10時くらいまで朝が来ないで、午後3時前には暗くなってくる。
北海道のような乾燥した雪は降らずに、じめじめしたみぞれのような天候。
で、伝統的に暖房の意識が強く、家庭用での暖房費用への関心がきわめて高い。
南ヨーロッパのイタリアですら、日本の倍近い。
ちょうどイタリアの構成がいまの北海道や東北地域に近い。

世界のエネルギー思潮の源流を形成する
こういった欧米諸国の置かれた状態というのをしっかり把握していた方がいい。
「ヨーロッパというのは秋田に近い」
っていうご意見をよく聞くことがありますが、
確かにそう感じられますね。
で、そういう民族意識が新大陸に渡って、獲得した資源が石油で
極論すれば、その資源国としての大量消費を行って大国化したのが
北米のアメリカであり、その生活スタイルと近似したカナダ。
アメリカの成功というのは、エネルギーの大量消費を基本にしたものなのだと思うのです。
こういった事情からすれば、ヨーロッパ世界が
必死になって断熱強化に取り組んでいく流れは良く理解できます。
暖房用エネルギーの削減こそが
社会全体の中で、きわめて肝要な中心軸になるのは理解できる。
一方で、日本は南北に大変長い国土なので、
本来はいくつかの地域に分けてエネルギー戦略を考えるべきだと思うのですが、
ここに示されているのは平均値とした日本と言うことになります。
さらに、この傾向は国民世論という人口的な要因による「調整」が加わりますから
もっともっと、暖房用エネルギーへの過小評価が進むことになります。
日本は暖房の要素がきわめて高い地域の人口はおおむね15%で、
それ以外の地域の人口が85%となっています。
そっちのほうの「常識」が無意識的に前提になる国家社会なんですね。
一枚のデータですが、
さまざまな想念が浮かんでくるデータです。

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