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自然素材だけの空間性

1眼レフ写真であります。
こういうワイドの表現領域でも、タテ横に大きな狂いが生じない。
日本的空間美には、しっかりとした木材の構成力のたくましさを感じさせてくれる
基本的にこういう架構の美しさが存在する。
西欧のような石造りの壁による基本構造とは明確に違った、
こういう凜とした緊張感が、その底に存在していると感じる。
なのでどうしても、このような写真での表現力が必要になる。

そういう表現のことはきょうは置いておきまして
こういう空間美は、日本人の情緒性のイレモノとしての
住宅の親和力、とでも言えるような部分に、
やはり深く関係していると感じられる次第であります。
で、この空間を構成している素材を数え上げてみると、
基礎には、きっとそこらに存在していたけれど、
形を吟味して、機能性を満たすと判断された自然石が使われています。
そこから柱が立ち上げられ、梁が水平力に対応しています。
中心近くにある柱は、
やや曲がりのあるものが使われ空間デザインのポイントになっている。
こんな「自然なデザイン」って、他に考え得るだろうか?
土間は土が踏み固められたもの。
壁も、竹木舞下地の上から土が塗り上げられています。
天井には木の小屋組の上に竹が縦横に渡されて、
その上に、自然のストロー内包素材である萱が積み上げられている。
自然界に存在するなかでも相当に「断熱性」の高い素材。
それらを緊結させているのは、植物繊維の縄です。
数少ないけれど効果的な位置に配された開口部には、
木の桟で組み上げられた和紙が使われている。紙を通した光という
ガラスとはまた違った感受性を涵養する素材。
食事の準備をするかまども、土で造作され
いろりを囲むように敷かれた敷物も植物繊維を編み上げたもの。
そして全体のデザインとして、
やはり日本人にやすらぎをもたらせる木造の木組みが心地よい。

こういう空間に勝てるような日常性のなかのデザイン表現など、
存在するのだろうか。
こういう空間があって、その土間に親しい人間が訪れてくれる。
そして、囲炉裏を囲んで地酒を酌み交わし、
地物の野菜類を中心にした食事をいっしょに食べる。
そういう種類のいごこちの良さに、敵うような暮らしの快美感があるのだろうか?
日本人には「自然との調和」という考え方が、抜けがたく民族的に存在する。
こういった背景装置の上に、花鳥風月の美が日常を彩ってくれるわけだ。
しかし、北海道では実はこのような空間美はそのままではあり得ない。
こういう空間美に心惹かれていくのは、
いつか、こういう空間でしかも高断熱高気密が一般化することを
強く願ってきているということなのでしょうか?

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