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家と税金

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日本の都市住宅である「町家」は
為政者が庶民に税金を掛けるのに、その富裕の状況を把握する方法として
建物の間口の広さを単純に計量していたことへの
庶民側の対応として生み出されたのだそうです。
間口が問題にされるのなら、奥行きを長くしますよ、という知恵ですね。
現代のように「会社」社会になり、個人の所得が
すべてに近く、国家に把握されているような社会というのは、
ごく最近になって出現した社会形態のようです。
町家という形態は、そういう規格的な背景があって、
目立たないように配慮しようという
庶民の生活防衛の結果の建築的表現と言うこと。
こういう知識はあったのですが、
さらにもっと変わったというか、乱暴な税金の決め方として
「窓税」という概念が、ヨーロッパにも、日本にもあったのだそうです。
ヨーロッパでは個人のプライバシー空間として
建物内部に権力とはいえ、簡単には入り込めず、
税の徴収の基準として、外側から判断できるように、
至極単純な方法として、窓の多さを基準にしたのだそうです。
で、そういう知恵は古今共通らしく、
日本でも戦国期から江戸期に掛けて、実行されていたのだそうです。
まことに権力という存在は無理矢理、考えるものですね。
戦国大名など、領地争いの戦争ばかりして税金を使い続けて
こういうところで税を巻き上げていたのですから、まぁすごい。
で、写真のような江戸期の農家住宅、
一般的に「古民家」と呼ばれるような建物は
どこでも、極端に「採光」が犠牲にされている構造になっている。
今日まで残ってきていて、改修するという場合、
第1にリクエストされるのが、採光条件の改善なのですね。
単純に窓を開けることが極端に少ないのです。
窓を開けるというのが、それほどに大変なことなのかなぁと
技術的な問題なのかと思っていましたが、
実は、そういう技術発展を阻害する要因は別にあったということなのですね。
今日では、所得把握、資産把握が
どんどん進化してきていて、
固定資産税というような概念まであり、
国家が土地の資産価値を値踏みして、本来、換金しなければ支払えないものにまで
税金を掛けている。
事業資産として、それで商売をしているのならまだしも、
ただ暮らしている生活の場に税金を掛けています。
自然状態で人間が家に住んでいると、それだけで税金がかかる。
世界的な宇宙物理学者ホーキンスさんが、税金の仕組みだけは
あまりにも不合理で理解できないという話を聞いたことがありますが(笑)・・・。
近年では、とくに地方都市などで
地価というような概念自体がどうなのか、と疑問が出るような状況です。
売買が成立したときの価格に一定の掛け率を掛けて
固定資産税を評価するわけですが
いまや住宅用の土地で売買が成立するかどうかは不明。
また、どんどんと地価が下落してきているのに、
そういう意味では、「取りすぎていた税金」を還付する
という考え方は、絶対に権力機構の側からは発信されてこない。
現状の経済状態に、権力構造が合わなくなってきているのではないでしょうか。
先日、政治家たちの討論を聴いていて
なんのために税を取って、権力を運営するのか、
そのあたりのことすらも、どうも再検討すべきなのではないかと
いろいろ思い至る部分を感じた次第です。
北のくらしデザインセンター
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