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北海道での「平屋」ブーム

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ここ2〜3年くらいの傾向なんですが、
Replan誌で「平屋」特集をやると、反応がいい。
「コンパクト」ということへの興味も深まっている。
取材してみると、いろいろな家族模様が浮かび上がってきていますが、
総じて見ると、やはり家族数の決定的な減少が背景として見えてくる。
4人家族が一般的な家族像としてながくニッポンの常識になってきたけれど、
それがどうやら終焉を迎えると同時に
3人、あるいは2人という住まいの人数が一般化してきたからではないか。
4人家族の場合には、やはり個室空間が不可欠なのだろうけれど、
3人では、プライバシーの配慮といっても、
そうは大きく考えなくなってきたようなのだ。
こどもがひとりいたとしても、やがては巣立っていくのだし、
そうであれば、2人暮らしをベースに考えた方が自然。
で、ふたりとなると、限りなく「個人」に近づいてくる。
よく「空気のような存在」と夫婦のことを表現するけれど、
まさにそのようで、いても存在感がお互いに薄くなってきて
大きなワンルーム的な空間で、それぞれの用途をほぼ独占的に利用できる。
そんな家づくりになってくると、視覚的にも動線的にも
ワンスパンで想像力がはたらく、平屋形態がいちばん過ごしやすい。
限りなく「個人主義的」な空間が獲得できてきているのではないか。
本州、関東以南地域では、最低3階建てくらいを考えなければ
十分な「視線の抜け、開放感」が得られない。
しかし北海道は
たとえ平屋であっても、窓の開口からたっぷりした自然への
視線の抜けが十分確保できる。
このような居住環境は、人生を過ごすという「本然の姿」に気付かせてくれる。
しかも、外気温度は年平均で8℃を下回る寒冷地だけれど
家の環境性能、高断熱高気密ぶりは、まことに居心地がいい。
そんな「気付き」がユーザーの間で、かなり顕著になってきた気がする。
年末になって来て、わが家と事務所のある周辺では
2軒も同時に平屋への改修工事が行われていた。
ひとつはもともと平屋だった物件の高断熱高気密化リフォームのようで、
デザインもずいぶんオシャレになっている。
またもう一方は、2階建てを減築しての平屋化。
ふつうに取材に行っても、平屋がなにげに多くなってきている。

ユーザーの欲求としてはあっても
物理的に難しい首都圏地域や関東以南地域ではどうなのか不明だけれど
確実に北海道でおおらかに住み暮らすスタイルとして
高断熱高気密・平屋、というフレーズがひろがってきているのではないか。
そんな気がしてきています。

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