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空気を写真に写し撮る

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きのうは岩見沢の武部建設「結ホール」で開催中の
並木博夫さん写真によるイタリア在住の彫刻家・安田侃さんの写真展を見学。
っていうか、先日観に行ったので、写真家と会いに行ったというところ。
カメラマンさんって、仕事上いろいろに付き合いがあるのですが、
彫刻家・安田侃さんとの仕事について、じっくりと話を聞けました。
ローマで10日間滞在して多くの作品をファインダーに収めてきたのですが、
わたしが興味深かったのは、天候条件のこと。
多くの作品写真は、ふしぎと雨上がりの条件の中で撮影されていることでした。
そのあたりにフォーカスしてお話を振ると、
まるで、玉手箱のように撮影条件と手法について、
とめどない洪水のような思いが表出されてきていました。
お話の中で「やはり」と思えたのが「空気感」というフレーズ。
住宅の写真でも結局同じようなことを考えながら、工夫を凝らしていくのだけれど、
「平面的な意味」の構図を整えながら、
っていうのは、ようするに彫刻であれば、そのプロポーションの発見。
建築であれば、その構成要素への写し撮る側の「了解」を
一枚の写真の中に表現するということ。
その作業もそうたやすいことではない。
なかなか、たとえば「住宅性能」的なことというのは写し撮りにくい。
また、建築の意図、というものもそうは簡単には理解はできない部分がある。
しかし、いずれにせよそれは「感受する」という部分。
一方で、そうした受け身を超えて、その作品なり住宅なりに
真っ正面から写真家が向き合ったとき、
いちばん、求められるのは、臨場感とかいうように語られる部分。
もっといえば、やっぱり「空気感」なんですね。
空気はもちろん、無味無色の存在。
しかし、感受性をとぎすませていけば、その湿度は比較的簡単に理解できる。
ようするに雨とか、曇りとか、晴れとか。
そして、最大のファクターが太陽と、その日射が生み出す表現力。
「現実」という中では、まことに驚くべき多様な表現力を持って、
この太陽光はわれわれに、実に多彩な感動的ビジュアルの一瞬、一瞬を見せている。
さらに風であるとか、水の表現力とか、
そうしたさまざまな要素を「わきまえながら」写真家は与えられたテーマに向き合っている。
それが、写真家・並木博夫さんが撮った安田侃さんの彫刻写真では
まるで、七人の侍のクライマックスシーンのように、雨を利用しているのです。
それも雨が上がったときの、色々な素材の乾燥スピードの違いがもたらす
一瞬の表情が、みごとに感光されているのですね。
というようなことなのですが、
まぁ、わたしのヘタな解説を読むよりは、やはり実際の写真に触れるのがいちばん。
まだ写真展は開催されていますので、
ぜひ、見に行かれることをオススメいたします。
■並木博夫「時間の風景」写真展 
安田侃ローマ野外彫刻展「時に触れる」
(2007年12月14日(金)〜2008年1月13日(日)10:00〜16:00)
開催期間 2007年12月14日(金)〜2008年1月13日(日)
 12/23・24日は並木博夫氏自ら接客します (12/29〜1/7は休館します)
時間   10:00〜16:00
場所   武部建設(株)「結ホール」
     岩見沢市5条東18丁目31
      0126-22-2202
料金   無料

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