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震災後の家づくり〜仙台にて

さてきのうは、今回の出張の締めくくりのお仕事で
仙台メディアテークでのSAU+という建築家グループのイベントに参加。
課せられたミッションは、4人のパネラーによるディスカッションのコーディネータ−。
全部横文字で見るとよくわからない仕事ですね(笑)。
まぁようするに、一定テーマでの4人の発表を踏まえて、
そこから聞いているみなさんがわかりやすいように、論点を整理して
なるべく、いまの問題点やテーマの本質に迫っていこうという論議形式。
って難しそうなので、あんまり考えてもしょがない、と思って
当日になるまで考えないようにしていたのですが、
案の定、朝から一応打ち合わせたりはしていたのですが、
論点整理まではなかなか、という絶望的な状況。
大体が、パネリストのみなさんも2名の方がなかなか会場に到着しない。
1名は地元の建築家・佐々木文彦さんで日頃からお付き合いがあるので
それはいいのですが、もう1名はまったくの初対面。
ようやく開始30分前にようやく名刺交換できた、というところ。
まぁそんな展開でのスタートとなりました。

宮城県を中心にした被災地域では、
震災以降の1年間で、いわゆる「復興住宅」といえる新築はおおむね3000戸。
これは、阪神淡路大震災の30000戸の約1割にとどまっています。
毀損した住宅総数120000戸に対して見るときに、
いかに「復興」が進んでいないか、が明確に表れた数字だと思います。
それの大きな要因は、今回の震災が津波型であって、
神戸でのように、「建てる場所」が確保されているのと違って、
建てる場所を確保すること、それ自体が困難を極めているという状況を表しています。
そういったなかで、津波被災地での再建をさまざまな理由から諦めて
仙台などの内陸都市機能の充実した地域に建てる、という需要だけが
ようやくにして出てきた、というのが現実だと思います。
で、1年以上が経過して最近、ようやくその需要での建築がデータ的にも現れ、
ここ数ヶ月、宮城県での住宅着工が、ほぼ倍増に近い推移。
これは一見、喜ばしいデータとも言えますが、
しかし、家を建てるユーザー側から見たときには
全然違った光景となって見えてくる。
建てるにも、今度は供給側の対応がきわめて厳しくなっていくということです。
宮城でいえば、通常ベースで月に400棟程度の住宅生産ペースが
突然、700〜800棟といったレベルに上がっているのです。
そのうえ、土木工事などの災害復旧・道路新設公共事業などの平行している。
労働力の不足、資材の値上がり、工事の遅延などが常態化してきつつある。
こういった現実は「売り手市場」ということになって、
ユーザー側にしてみたら、必ずしも有利な状況とはいいにくい。
そういう状況の中で、「いい家」を求め、幸せな家づくりを求めるには、
っていうような視点が必要になってくるのですね。
そしてそういう状況は、今後数年、5年くらいは継続する可能性が高い。

まぁ、おおむねそういった論点整理を行って
イベントを進行させていきましたが、
明確な「こうすればいい」というくっきりとした方向性明示までは
至らなかったと思います。
しかしそういう状況の中では、否応なく「じっくりと家づくりを考えざるを得ない」。
むしろそのあたりに積極的な部分を見いだしていく必要があると思います。
一方でパネラーの方からは、被災し、仮設住宅に入居したみなさんの
「意識変化」についても発表がありました。
・・・難しいテーマだったのですが、
いろいろな方向性の発見も得られたコーディネート役でした。
仙台の建築家のみなさんとの旧交を温め、また秋の活動についての
打合せなども、その後活発に情報交換。さらにこの機会に多くのみなさんとの
新しい出会いもあって、有意義な時間を過ごすことが出来ました。
やれやれ、といったところであります。
これでようやく今回の出張任務は完遂し、本日札幌に帰還できます。
ふ〜〜〜、さてっと。

<写真は先日の帯広での住宅見学でみた、壁面への取り付け型の時計。数字がずれないかちょっと心配してしまいますね(笑)>

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