本文へジャンプ

【モダンアート 美的価値と社会性】


わたしはどっちかというと伝統的な美感・感受性の方が好きではある。
そういうことなので、毎朝の散歩も北海道神宮とかの
長い時間、民族的感受性が込められた「集合芸術的空間」ともいえる
神社空間などの方に魅せられる方だと思っております。
散歩道途中神宮のごく近くに毎朝、意識せず鑑賞せざるをえないモダンアート。
ま、キライではないけれどすごく共感するタイプでもない作品。
で、この建物。写真は横長すぎるのでちょっと加工して
上下で2枚の写真を重ね合わせています。
別に上下写真での「間違い探し」ではありません、悪しからず(笑)。

ただ、毎日見ることが重なってくるので、
それほど共感はできないまでも、一応「これどんな建物なのか」という
疑問は持ち続けておりました。
どうも「美術館」らしくて、教会も併設された庭園美術館で、
そういう結婚式もできますよ、というコンセプトのようなのです。
ということで、目に触れてから数千日経過後、ついにアートの概要書きを見た。
それが2枚目の写真であります。
どうやら高名そうな海外現代画家によるビル壁面絵画だそうであります。
説明書きでは、このアートが描かれたのは2011年なので、
「数千日」というわたしの認識はそうおかしくはなく、約9年の歳月。
しかしこの間、札幌の人々の人口に膾炙した記憶は残念ながらないと思います。
敷地はけっこうクルマ通りの多い幹線道路に面している一等地。
興味に惹かれ「一回は見学してみようか」と思っていたけれど、
いつその気になっても展示会開催などの案内は表示されない。
玄関入口に行っても、その手の開館情報はまったく明示されていない。
どうも現在は「閉館」しているそうで、今後どうしようかという段階とのこと。
先日ふと気付いたら、工事関係車両のようなものがあり、
声掛けしたら、「・・・検討中みたいですよ」とのこと。
市場原理というもので、社会評価が定まりつつあるように思われます。

現代というのは、個人という存在が非常に重んじられる社会。
なかでもアートというものは、そのことが過重なまでに尊重される。
しかし当然、社会はさまざまな個人による複眼的な価値感の世界でもある。
壁面絵画、それも長期間人目にふれる絵画というものに対しては、
「公共性」という概念も大きくならざるを得ないのではないか。
またそれ以上に「市場原理」という風圧も絶対に避けられない。
どうも芸術と社会との関係が迷路に差し掛かっている危惧を感じる。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.